循環器トライアルデータベース

DAPT-STEMI
Randomized, Open Label Trial of 6 Months Versus 12 Months DAPT After Drug-Eluting Stent in STEMI

目的 現行ガイドラインでは,PCI後のステント血栓症予防のため,薬剤溶出性ステント(DES)留置後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の推奨期間を12か月以上としているが,依然として大出血リスクの増加が懸念されている。
DAPT-STEMIでは,第2世代DES留置後にイベント発生のないST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者における短期DAPT後のaspirin単剤療法(SAPT)は現行DAPT(12か月以上)に対し非劣性を示すという仮説を検証する。

一次エンドポイントは,追跡期間中の全死亡,心筋梗塞(MI),血行再建術,脳卒中,ランダム化後18か月時点の血栓溶解療法による大出血の複合。
コメント 冠動脈インターベンションは技術として確立された。手術としてのインターベンション後の血栓性イベントも低減した。抗血小板薬は血栓イベント予防に重要な役割を演じるが, aspirinとclopidogrelの併用で十分となった。長期に継続すると重篤な出血イベントが起こるとはいっても, 6か月と12か月では大きな差がない。研究的な領域というよりもルーチンで施行される確立された手技となったことが本研究でよくわかった。(後藤
デザイン 無作為割付け,非盲検,多施設(オランダ,ノルウェー,ポーランド,スイスの17施設),intention-to-treat(ITT)解析。
期間 ランダム化後の追跡期間は,18か月(PCI施行後24か月)。
登録期間は,2011年12月~2015年6月。
対象患者 第2世代DES(zotarolimus溶出ステント)によるPCIを受けた18~85歳のSTEMI患者1,100例。
■患者背景:平均年齢 SAPT群59.8歳 vs. DAPT群60.2歳,男性 78% vs. 76%。
既往:PCI施行(7% vs. 4%),MI(6% vs. 5%),末梢動脈疾患(4% vs. 2%),うっ血性心不全(ともに4%),脳卒中または一過性脳虚血発作(3% vs. 2%),CABG施行(2% vs. 0.5%)。
試験開始時点でのP2Y12阻害薬使用状況:clopidogrel(ともに42%),prasugrel(29% vs. 30%),ticagrelor(29% vs. 28%)。
梗塞責任血管:左冠動脈前下行枝(39%* vs. 43%),右冠動脈(ともに41%),回旋枝(21% vs. 16%)。
* うち1例は左主幹部。
治療法 ランダム化前,PCI後のSTEMI患者1,100例に6か月間の短期DAPTを実施。期間中にイベント**を発生しなかった870例を,aspirin単剤療法(SAPT)群:433例,DAPT(aspirin+P2Y12阻害薬)群:437例にランダム化††
ランダム化前の短期DAPTは,現行の国際的ガイドラインに準じた(aspirin;ローディングドーズ150~300 mgを経口投与または250~500 mgを静注,維持量は75~100 mg/日。P2Y12阻害薬:prasugrelはローディングドーズ60 mg+維持量10 mg/日,ticagrelorは180 mg+維持量90 mg/日,clopidigrelは600 mg+維持量75 mg/日)
** 死亡,MI,脳卒中,ステント血栓症,標的病変または血管の冠血行再建術,出血など。
prasugrel,ticagrelor,clopidogrelのいずれか。
†† SAPT群のうち14例は6か月以上DAPTを継続したが,心有害イベントは発生しなかった。
結果 861例(99%)が追跡を終了。
[一次エンドポイントと非劣性の検証]
一次エンドポイント発生率:DAPT群にくらべSAPT群で低かった[4.8% vs. 6.6%,ハザード比(HR)0.73,95%信頼区間(CI)0.41~1.27; P =0.26]。
非劣性の検証:Cox比例ハザードモデルを用い,一次エンドポイントHRの95%CI上限値が事前に設定した非劣性マージン1.66を下回ったことより,SAPTのDAPTに対する非劣性が認められた(非劣性のP =0.004)。
[二次エンドポイント:18か月時点の安全性および出血イベントの複合]
二次エンドポイント発生率:DAPT群にくらべSAPT群で低かった(3.2% vs. 4.3%,HR 0.75,95%CI 0.37~1.49; P =0.40)が,有意差は示されなかった。
個別項目でも群間で有意差は示されなかった(全死亡:0.7% vs. 1.4%; P =0.33,心臓死:
0.5% vs. 0.9%; P =0.43,MI:ともに1.8%; P =0.97,ステント血栓症:0.7% vs. 0.9%; P =0.72,脳卒中:ともに0.7%; P =0.99,血栓溶解療法による大出血:0.2% vs. 0.5%; P =0.58)。
★結論★第2世代DESによるPCI施行後のイベント発生のないSTEMI患者において,6か月間の短期DAPT後のaspirin単剤療法は,12か月間のDAPTに対して非劣性を示した。
ClinicalTrials.gov No: NCT01459627
文献
  • [main]
  • Kedhi E, et al: Six months versus 12 months dual antiplatelet therapy after drug-eluting stent implantation in ST-elevation myocardial infarction (DAPT-STEMI) : randomised, multicentre, non-inferiority trial. BMJ. 2018; 363: k3793. PubMed

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収載年月2018.11