循環器トライアルデータベース

PRIMA II
Can NT-ProBNP-Guided Therapy During Hospital Admission for Acute Decompensated Heart Failure Reduce Mortality and Readmissions? II

目的 慢性心不全患者においてN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)ガイド下治療の有効性を検討した試験はあるが,急性心不全患者における相対的NT-ProBNP目標値を用いた治療を評価した試験はない。
急性の非代償性心不全患者において,退院時にNT-proBNP>30%低下を目標とする相対的NT-ProBNP目標値ガイド下治療が従来治療とくらべて6か月後の転帰を改善するか検討する。

一次エンドポイントは180日後の全死亡,心不全による入院の複合エンドポイントおよび退院後の生存日数。
コメント BNPガイドの心不全治療の有用性については賛否両論があるが,今回のPRIMA II試験は,NT-ProBNPガイドは予後(6か月)改善に無効との結果である。本試験は,心不全入院後,病態の安定した時点でNT-ProBNP値が試験者に通知され,>30%低下を目標に治療を強化するプロトコルであるが,退院後のBNP値はその後の治療方針には関与しない。むしろ,退院後のきめ細かいBNP測定が,心不全の増悪を早く捉え心不全再入院を抑制するのに有用であると考えられるが,海外での心不全診療は,わが国ほどきめ細かくはなく医療環境の相違は無視できない。(
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。
登録期間は2011年11月~’16年15年9月。
対象患者 404例。急性非代償性心不全入院患者で,入院から24時間以内のNT-proBNP値が>1,700ng/L。
除外基準:呼気肺活量1秒量<1Lの重症慢性閉塞性肺疾患(COPD),入院前1か月以内の肺塞栓症,左室機能不全によらない肺高血圧,透析例;入院前日まで,または入院中からランダム化直前までのCABG・PCI・心臓再同期治療・弁置換術予定例など。
■患者背景:年齢中央値(NT-proBNPガイド下治療群78歳,従来治療群77歳),男性(47%, 54%),血圧(134/78, 130/79mmHg[中央値]),既往:糖尿病(35%, 33%);高血圧(65%, 62%);COPD(17%, 23%);心房細動(AF)(48%, 50%);冠動脈疾患(39%, 36%);脳血管疾患,一過性脳虚血発作(18%, 16%)。
うっ血性心不全既往(60%, 62%),虚血性(46%, 41%),12か月以内の心不全による入院(45%, 44%),拡張性(EF>45%)心不全(27%, 30%),EF(36%, 38%);EF軽度~中等度低下(25~45%;51%, 47%);重度低下(<25%;21%, 24%),NYHA II度(17%, 21%);III度(52%, 53%);IV度(29%, 24%),頸静脈怒張(54%, 60%),肺ラ音(79%, 76%);心拍数(86, 90bpm[中央値]),AF既往(48%, 50%),入院時AF(36%, 41%)。
治療法 入院日から治療医の判断で安定するまで心不全の治療を開始,あるいは継続し安定後にランダム化した。ランダム化時の>30%低下例は退院,追跡を可とした。
NT-proBNPガイド下治療群(201例):ランダム化日のNT-proBNP値を担当医に伝え,低下が≦30%だったものは,NT-proBNPを再測定し>30%の低下を目標に,心不全治療薬(ACE阻害薬,β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬,利尿薬)をtitration投与,侵襲治療(心臓再同期治療,診断冠動脈造影,電気的除細動)を実施し,治療の調整は担当医に一任した。
従来治療群(203例):ランダム化日のNT-proBNP値は治療医に伝えないこととし,退院と追跡の判断は治療医に委ねた。
結果 [治療]
入院からランダム化までの時間は両群とも5日,ランダム化から退院は3日,入院から退院までは9日(いずれも中央値)。
ランダム化時のNT-proBNPの低下≦30%例(71例)で>30%低下を目標とした治療を開始したもの(4例は開始したが副作用により中止)は68%で,ACE阻害薬/ARB,利尿薬の投与開始あるいは増量はNT-proBNPガイド下治療群のほうが有意に多かった。
退院時の薬物の服用率,用量に有意な両群間差はなく,腎機能などにも違いはなかった。また4週以内の侵襲的治療は少なく両群間差はなかった。
[NT-proBNP]
入院からランダム化時のNT-proBNP>30%低下例に両群間差はなかった(64% vs 63%)が,退院時はNT-proBNPガイド下治療群のほうが従来治療群より有意に多く(80% vs 64%, p<0.001),入院時とくらべNT-proBNPガイド下治療群で有意な相対的,絶対的低下が得られた。しかし,退院時のNT-proBNP値は両群間に有意な違いはみられなかった。
[一次エンドポイント]
NT-proBNPガイド下治療群での有意な一次エンドポイントの低下は認められなかった(36% vs 36%:ハザード比0.96;95%信頼区間0.72~1.37, p=0.99)。また退院後の生存日数も同群での有意な延長はみられなかった(178日 vs 179日[中央値])。
[その他]
NT-proBNPガイド下治療群における二次エンドポイント(心不全による再入院:24% vs 26%,全死亡:19% vs 17%)の改善も示されなかった。
女性でNT-proBNPガイド下治療群の有効性が示されたのを除き,一次エンドポイントの結果はサブグループで一貫していた。
★結論★急性非代償性心不全入院後の安定例において,NT-proBNP低下>30%を目標とした心不全治療による6か月後の転帰の改善は認められなかった。
文献
  • [main]
  • Stienen S et al: NT-proBNP (N-Terminal pro-B-Type Natriuretic Peptide)-guided therapy in acute decompensated heart failure: PRIMA II randomized controlled trial (can NT-ProBNP-guided therapy during hospital admission for acute decompensated heart failure reduce mortality and readmissions?). Circulation. 2018; 137: 1671-83. PubMed

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収載年月2018.06