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CARES
Cardiovascular Safety of Febuxostat and Allopurinol in Patients with Gout and Cardiovascular Morbidities

目的 痛風は高尿酸血症,痛風結節,関節炎,尿路結石を特徴とする慢性疾患で,心血管(CV)および慢性腎臓病(CKD)のリスクが高く,痛風患者における死亡を含むCVリスクは非痛風患者にくらべ非常に高い。2008年にFDAが新規糖尿病治療薬にCVの安全性評価の指針書を発表した際に,痛風治療薬の試験もCVの安全性を評価するようになった。
FDAが心血管疾患(CVD)に対する安全性の検証を求めていることを受け,CVD既往の痛風患者において,痛風患者の高尿酸管理に使用されている尿酸生成を抑制するキサンチンオキシダーゼ阻害薬フェブキソスタット(febuxostat*)が主要CVイベントにおいてアロプリノール(allopurinol)に対し非劣性であるかを検証する。
* 開発中にプラセボ,allopurinolとくらべややCVイベントリスクが高かった

一次エンドポイントは,CV死,非致死的心筋梗塞(MI),非致死的脳卒中,緊急血行再建術を要する不安定狭心症初発の複合エンドポイント。
コメント 痛風は心血管疾患やCKDの危険因子であり,FDAでは新規抗痛風薬の心血管疾患に対する安全性試験を義務付けている。アロプリノールと違ってフェブキソスタットは選択的に酸化型も還元型もキサンチンオキシダーゼ酵素を阻害し尿酸低下作用が強く,腎機能による用量調節は不要である。しかし,過去の多数例の検討ではプラセボやアロプリノールよりもフェブキソスタットは心血管イベントが多いと報告されている。
本研究は,FDAの要求により痛風と心血管疾患を有する症例におけるフェブキソスタットとアロプリノールの主要心血管イベントに対する非劣性を証明したが,突然死による心血管死はフェブキソスタット群で有意に多かった。フェブキソスタット投与量は日本(10mg/day)の4倍量から開始しているが,心拍リズム,心機能,心筋代謝には影響しないと報告されており,死亡率上昇の原因は不明である。本研究の問題点は,多数の対象者が治療を継続していないこと,follow upがなされていないことである。両治療群でfollow upできなかった割合は同じで,投薬期間中のイベント評価でも結果には大きな変化はないが,治療群間の有意な差が隠れる可能性は否定できない。あくまでもサブグループ解析であるが,NSAIDs内服例やNSAIDs内服例が多く含まれるアスピリン非内服例においてフェブキソスタット群に心血管死が多いことは何を意味しているのであろうか。(星田
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(北米の320施設),modified intention-to-treat解析。
期間 追跡期間中央値32か月(febuxostat群968日,allopurinol群942日)。
登録期間は2010年4月~’17年5月。
対象患者 6,190例。米国リウマチ協会(American Rheumatism Association)の基準を満たした痛風患者で,主要CVD(MI,不安定狭心症による入院,脳卒中,一過性脳虚血発作による入院,末梢血管疾患,大血管・細小血管疾患の証拠がある糖尿病)既往例。血清尿酸塩≧7.0mg/dL,あるいはコントロールされていない痛風患者の場合はそれまでの痛風治療のwash-out(1~3週間)後の尿酸塩≧6.0mg/dL。
■患者背景:年齢*(febuxostat群64.0歳,allopurinol群65.0歳);≧65歳(48.9%, 51.3%),男性(84.1%, 83.8%),痛風期間(11.8年,11.9年),血清尿酸塩(両群とも8.7mg/dL),痛風結節(21.6%, 21.0%),体重*(97.7kg, 97.3kg),BMI(33.6, 33.4kg/m²),白人(69.7%, 69.2%);黒人(17.8%, 19.2%),CV危険因子および既往:細小血管疾患を有する糖尿病(38.5%, 39.2%);高血圧(92.4%, 92.2%);高脂血症(86.4%, 87.4%);MI(38.6%, 39.8%),不安定狭心症による入院(27.6%, 28.1%),冠動脈血行再建術(36.4%, 38.2%),うっ血性心不全(20.1%, 20.4%),脳卒中(14.8%, 13.3%),末梢血管疾患(13.3%, 12.1%),CKD:ステージ1~2(47.1%, 47.2%)・推定クレアチニンクリアランス*:(75.0, 73.0mL/分);ステージ3(52.9%, 52.8%)・両群とも46.0mL/分。* 中央値
治療法 febuxostat群(3,098例):40mg/日で投与を開始し,2週後に血清尿酸塩<6.0mg/dLになればこの用量を継続。2週後に≧6.0mg/dLの場合は,80mg/日に増量し投与を継続した。
allopurinol群(3,092例):腎機能によって用量を調整。推定クレアチニンクリアランス≧60mL/分の場合は300mg/日で投与を開始し,尿酸塩<6.0mg/dLになる,あるいは600mg/日になるまで毎月100mg増量,30~<60mL/分の場合は200mgで投与開始,尿酸塩<6.0mg/dLになるか,400mg/日投与になるまで毎月100mg増量とした。
スクリーニング時に,容認できないcolchicineの副作用がない限りすべての尿酸塩低下治療は中止し,痛風flare予防のためにcolchicine 0.6mg/日を投与。colchicine治療による副作用が容認できない場合は推定クレアチニンクリアランス≧50mL/分の場合はnaproxen 250mg×2回/日とlansoprazole 15mg/日を投与。いずれも投与不可の場合はその他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID),またはprednisoneを予防薬として使用,あるいは担当医が痛風flare発生時に対処した。
結果 [用量,アドヒアランス,生化学検査]
最終調整投与量は,febuxostat群:40mg;61.0%, 80mg;39.0%,allopurinol群:200mg;21.8%, 300mg;44.6%, 400mg;25.2%, 500mg;4.3%, 600mg;4.1%。投与期間の中央値は,febuxostat群728日,allopurinol群719日。
試験薬投与中止率は56.6%(febuxostat群57.3%,allopurinol群55.9%),追跡非完了率45.0%(45.0%, 44.9%)。
2週後の血清尿酸塩<6.0mg/dL例はfebuxostat群のほうが多く(60.8% vs 50.2%),その後の維持率も同群のほうが高かったが,両群間差は大きくなかった。さらに同群では<5.0mg/dL例も試験期間を通して多かった。
電解質,糖,脂質,血圧,痛風flare(0.68 vs 0.63/患者・年)に有意な両群間差はなかった。
[一次エンドポイント]
febuxostat群335例(10.8%)のallopurinol群321例(10.4%)に対する非劣性が示された(ハザード比1.03*;片側98.5%信頼区間の上限1.23,非劣性マージン1.3;非劣性p=0.002)。
[その他]
全死亡(1.22;1.01~1.47),CV死(1.34;1.03~1.73)はfebuxostat群のほうが高かった。
治療中あるいは治療中止から30日以内は,一次エンドポイント:7.8% vs 7.7%:1.00*,全死亡:3.0% vs 2.3%:1.2),CV死:2.0% vs 1.3%:1.49。* 97%信頼区間
★結論★CVDを合併した痛風患者において,有害CVイベントにおけるfebuxostat群のallopurinol群に対する非劣性が示された。全死亡率,CV死亡率はallopurinol群よりfebuxostat群のほうが高かった。
ClinicalTrials gov No: NCT01101035
文献
  • [main]
  • White WB et al for the CARES investigators: Cardiovascular safety of febuxostat or allopurinol in patients with gout. N Engl J Med. 2018; 378: 1200-10. PubMed

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収載年月2018.04