循環器トライアルデータベース

REHEARSE-AF
Assessment of Remote Heart Rhythm Sampling Using the AliveCor Heart Monitor to Screen for Atrial Fibrillation

目的 心房細動(AF)は脳卒中の重大な危険因子であり,AFによる脳卒中は動脈疾患に起因する虚血性脳卒中にくらべ予後が不良である。AFに関連する脳卒中のリスクは年齢とともに上昇し,経口抗凝固薬(OAC)治療により大幅な抑制が可能であるものの,特に高齢者におけるAFは非定型または無症候性であることも多い。
脳卒中の危険因子を有する≧65歳の患者において,WiFi対応のiPodに接続した心電図(ECG)遠隔診断システムAliveCor Kardiaを使用した週2回のモニタリングによるAFのスクリーニングを通常のケアと比較した。

一次エンドポイントはAF診断までの時間。
コメント AFの既往のない65歳以上でCHA2DS2-VAScスコア≧2点のものに週2回の定期的ECGモニタリング(30秒間)を行うと,通常の診療に比べて1年間の追跡期間中にAFの新規発症を4倍の高頻度で診断できることが示された。4倍の高頻度とは言っても,19/500と5/501と実際の頻度はそれほど高いものではない。血栓塞栓イベントの発生率は6/500 対 10/501で両診断群とも低く,また両群間に差はなかった(AFとの関係が示唆されたイベントは16件中2件にすぎなかった)。
臨床的に問題とならないAF(subclinical AF)の意義についてはまだ確立されているとは言い難く,塞栓症と関係するAF持続時間に関しても成績は分かれている。本研究では1件のAF診断に10,000ドルの費用がかかっているが,これが果たして費用対効果の面からみて意味のある診断と言えるのか明らかではない。
本研究で用いられたECG記録の忍容性は良好であるので,本診断法の有効性に関してはさらなる研究が必要である。(井上
デザイン 無作為割付け。
期間 追跡期間は52週間。
対象患者 1,001例。65歳以上,CHA2DS2-VAScスコア≧2,OAC治療非実施例で,AF診断例・抗凝固薬禁忌例・永久ペースメーカー植込み例以外のもの。
■患者背景:平均年齢72.6歳,女性(iECG群52%,RC群55%),高血圧(54%, 55%),糖尿病(26%, 28%),脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)(7%, 6%),血管疾患(14%, 16%),CHA2DS2-VAScスコア(両群とも3.0)。
治療法 iECG群(500例):AliveCor Kardia(AliveCor社)システムを使用し,週2回(月曜と水曜を推奨)および症状自覚時に30秒の単極誘導ECGの記録をWiFi経由で送信し,ECGに異常を見付けた場合には心臓専門医が解析した。
通常ケア(RC)群(501例):一般開業医による通常のフォローアップ。
新規のAF診断例についてはOAC治療の開始など,英国の現行ガイドラインに基づいて治療し,RC群では担当医による診断を心臓専門医が確認した。
結果 [iECG群のコンプライアンス]
試験期間中のECGの記録は60,440件,全ての週に送信を行った患者は74%。平均39/52週で週2回以上,48/52週で週1回以上の送信が行われた。週2回送信に年齢層による有意差はなかった(65~75歳:77%,75~79歳:73%,≧80歳:74%)。
[新規のAF診断]
iECG群19例 vs RC群5例(ハザード比3.9;95%信頼区間1.4~10.4, p=0.007)。iECG群の10例は診断時の心拍数>100拍/分,9例は60~100拍/分。同群のコンプライアンスにAF診断例と非診断例で有意差はみられなかった。正常と判定されたiECGデータ(76%)のうち最終的にAFと診断されたものはなく,判定不能のデータ(21%)のうち最終的なAF診断は6件だった。
発作性AFと持続性AFの比率はiECG群で63% vs 37%,RC群で0% vs 100%。診断時の症状はiECG群で無症状42%,動悸21%,その他37%,RC群で動悸40%,その他60%。
多変量回帰分析でAF診断と有意に関連したのはCHA2DS2-VAScスコア≧4のみだった。
iECG群でのAF診断1件あたりの費用は10,780ドル(8,255ポンド)。
[臨床イベント]
脳卒中/TIA/全身性塞栓症は6例 vs 10例(0.61;0.22~1.69, p=0.34)。
全死亡(3例 vs 5例),その他の重篤な有害事象(臨床的に重大な出血:2例 vs 1例,その他の心血管イベント:8例 vs 13例,整形外科・筋骨格・転倒イベント:両群とも14例,消化器系イベント:両群とも10例など)にも両群間に有意な差はなかった。
[意識調査]
試験終了時の調査では,他群への割付け希望がiECG群にくらべRC群で有意に多かった(平均スコア1.9 vs 6.2, p<0.0001)。
iECG群のデバイス(AliveCor Kardia)については大部分の患者が使用上の不安や生活の制限を感じることがなく,全般的に満足と回答した。
★結論★≧65歳のAFおよび脳卒中の高リスク例において,単極誘導iECGを用いた週2回の遠隔モニタリングは,通常ケアにくらべ12か月間の新規AF診断がほぼ4倍になることが示された。
文献
  • [main]
  • Halcox JPJ et al: Assessment of remote heart rhythm sampling using the AliveCor heart monitor to screen for atrial fibrillation: the REHEARSE-AF study. Circulation. 2017; 136: 1784-94. PubMed
    Waldo AL and Camm AJ: Atrial fibrillation: atrial high-rate events (AHRES): look and you will find-then what? Circulation. 2017; 136: 1795-97. PubMed

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収載年月2018.03