循環器トライアルデータベース

LEVANT 2
Lutonix Paclitaxel-Coated Balloon for the Prevention of Femoropopliteal Restenosis 2

目的 経皮的血管形成術による末梢動脈疾患(PAD)の治療は初期の血流再開には有効であるが,血管リコイルや新生内膜肥厚による再狭窄が1年以内に約60%の患者に発生する。薬剤コーティングバルーン(DCB)はステントを用いずに抗増殖薬を動脈壁に直接送達することができ,再狭窄を抑制することにより開存性を改善する可能性がある。paclitaxel DCBは,症候性大腿膝窩動脈PAD患者での臨床データ(LEVANT 1: JACC Cardiovasc Interv. 2014; 7: 10-9. PubMed)から,標準的バルーンにくらべ遠隔期損失径が58%少なく,安全性には差がないことが示されている。この結果をより大規模な試験で検証した。

有効性の一次エンドポイントは,12か月後の標的病変の一次開存(binary再狭窄なし,または標的病変再血行再建術[TLR]回避)。
安全性の一次エンドポイントは,30日以内(周術期)の全死亡,12か月後の治療肢関連死・切断・再治療。
コメント 症候性大腿膝窩動脈PAD患者に対するパクリタキセルバルーンの標準的バルーンに対する優位性はランダム化比較試験LEVANT 1(一次エンドポイント:遠隔期損失径)で報告されている。本研究は同様の対象症例に対して施設数や症例数を大幅に増やし,1年後の標的病変一次開存を一次エンドポイントとしてパクリタキセルバルーンの有用性を明らかにした。二重盲検法が出来ないバルーンなので単盲検法で行っているが,これまでの小規模試験と異なり臨床的に重要な標的病変再血行再建術の発生率には差を認めていない。今回標準的バルーン群のイベント発生率はこれまでの報告より低いことがその理由としてあげられる。時代とともに内科治療や手技の向上などで対照群のイベント発生率が低下することは他の介入試験でも生じている。予期せぬステント植込みが標準的バルーン群のほうが有意に多いことも影響しているかもしれない。標的病変再血行再建術の発生率を一次エンドポイントとし,さらに多数の症例数で長期間追跡するLEVANT 3が望まれる。
下肢動脈病変に対してパクリタキセルステントは標準的バルーンより再狭窄率が低いとする最近の報告もあるが,ステント治療が理想的であるとはいえない。下肢近位部病変ではパクリタキセルバルーンとパクリタキセルステント・標準的バルーンとの直接比較試験が必要である。いずれにしても,パクリタキセルバルーンが日本で普通に使用できall-comerでの結果が出ることが最も重要である。(星田
デザイン 無作為割付け,単盲検,多施設(米国と欧州の54施設),modified intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月。
登録期間は2011年7月20日~’12年7月10日。
対象患者 476例。中等度(Rutherford分類[範囲0~6;高値ほど不良]ステージ2)・重度(ステージ3)の間欠性跛行,または安静時疼痛(ステージ4)を有し,浅大腿動脈または膝窩動脈に血管造影上の重大なアテローム性動脈硬化病変(狭窄率≧70%)を認める患者。総治療病変長≦15cm,標的血管参照径4~6mmのもの。
■患者背景:平均年齢68.2歳,女性37.0%,白人88.9%,BMI 28.7kg/m²,現喫煙34.7%,過去喫煙45.6%,糖尿病42.9%,高血圧88.7%,高コレステロール血症88.4%,冠動脈疾患既往49.2%,心筋梗塞既往19.1%,冠動脈血行再建術既往40.8%,標的肢治療歴21.4%,Rutherford分類(ステージ2:31.1%, 3:60.9%, 4:8.0%),標的肢の足関節上腕血圧比(ABI)0.74,平均病変長62.8mm,総治療病変長107.9mm,閉塞病変21.0%。
治療法 roll-in症例でpaclitaxel DCBによる血管形成術を訓練後,登録例を2:1にランダム化。
paclitaxel DCB群(316例),標準的血管形成バルーン群(160例)。
aspirinを手技前75~325mg/日,手技後75~100mg/日無期限投与。clopidogrelまたはprasugrelを手技前にローディング投与し,手技後はclopidogrel 75mg/日またはprasugrel 5~10mg/日(体重換算)を1か月以上投与。
結果 [手技成績]
手技成功率はpaclitaxel DCB群88.9%,標準的血管形成バルーン群86.8%,provisional stentingは2.5%, 6.9%(p=0.02),血栓形成は0.6%, 1.9%(p=0.21)。
[有効性の一次エンドポイント]
12か月追跡終了は96.6%, 95.9%,評価可能症例は83.5%, 84.4%。
一次開存率はpaclitaxel DCB群が有意に高かった(172/264例[65.2%] vs 71/136例[52.6%], p=0.02)。Kaplan-Meier生存解析の結果も同様であった(73.5% vs 56.8%, p<0.001)。
[安全性の一次エンドポイント]
評価可能症例は90.5%, 89.4%。
周術期(手技後30日以内)の全死亡,12か月後の治療肢切断・再治療・関連死回避患者の割合に群間差はみられなかった(83.9% vs 79.0%:群間差4.9%;95%信頼区間-2.6~12.3;非劣性マージン5%,非劣性p=0.005)。
周術期の全死亡,治療肢関連死は両群ともに認められず,切断はpaclitaxel DCB群の1例のみ,再治療はそれぞれ15.4%, 21.0%であった。
[二次エンドポイント]
安静時ABI,Rutherford分類は両群ともにベースラインから有意に改善した。
Walking Impairment Questionnaireスコア(範囲0~100;低値ほど不良)も両群で同等に改善したが,「歩行距離」スコアの改善のみpaclitaxel DCB群が良好であった(31.5 vs 22.2:群間差9.3)。
TLR(12.3% vs 16.8%),標的血管再血行再建術(13.3% vs 18.2%),死亡(2.4% vs 2.8%),大切断(0.3% vs 0%),再治療を要する血栓(0.4% vs 0.7%)は両群で同等であった。
★結論★症候性大腿膝窩動脈PAD患者において,paclitaxel DCBによる経皮的血管形成術は12か月後の一次開存率が標準的バルーン血管形成術より有意に高かった。また安全性においては,標準的バルーンに対する非劣性が示された。
ClinicalTrials gov. No: NCT01412541
文献
  • [main]
  • Rosenfield K et al for the LEVANT 2 investigators: Trial of a paclitaxel-coated balloon for femoropopliteal artery disease. N Engl J Med. 2015; 373: 145-53. PubMed

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収載年月2015.10