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LEGACY
Long-term Effect of Goal Directed Weight Management in an Atrial Fibrillation Cohort: a Long-term Follow-up Study

目的 体重と危険因子の積極的な管理は心房細動(AF)アブレーション後の洞調律維持を改善することが示されているが,減量の閾値はどれくらいか,初期の減量効果は長期間持続するか,また体重の変動が不整脈に及ぼす影響は明らかではない。
肥満を有する症候性AF患者において,長期の減量および体重変動がリズムコントロールに及ぼす影響を検討する。

一次エンドポイントは,AF burden(AFSSで評価した症状およびAF非再発)。
コメント 疫学研究から,肥満がAF発症の危険因子であることが示されており,減量がAFを抑制することも示されているが,本研究によって減量の効果が長期間(>4年)持続することが示された。肥満は様々な機序を介してAF発生を促す。例えば,左房拡大,左室肥大,高血圧,糖代謝異常,炎症などである。本研究では減量の程度が大きく,また直線的な体重の減少(減量程度の変動が少ない)で,AFが抑制されることが明らかにされた。減量に伴い左房拡大や左室肥大の軽減,血圧の低下,糖代謝の改善などが認められており,AF抑制の主たる原因が何であるのかを決めることは本研究の結果からでは困難である。系統立った減量プログラムの重要性が示された結果である。本研究の参加者のBMIは33kg/m²であり,もっとも減量が大きかった群ではそれが28kg/m²に減少している。日本人ではこれだけのBMIを示す患者は少なく,本研究で示された結果が,肥満と言ってもBMIの低い日本人にどの程度適用できるかは明らかではない。(井上
デザイン 観察研究,単施設(オーストラリア)。
期間 追跡期間は,≧10%減量群48.4か月,3~9%群46か月,<3%群48.3か月。
参加者 355例。症候性AF,BMI≧27kg/m²の連続症例。
除外基準:永続性AF,12か以内の心筋梗塞(MI)または心臓手術既往,重度の弁膜症・心室機能低下・活動性悪性腫瘍,自己免疫疾患・全身性の炎症性疾患,重度の腎または肝機能障害,追跡期間<24か月。
■患者背景:平均年齢(≧10%減量群65歳,3~9%群63歳,<3%群61歳),男性(64%, 63%, 71%),BMI(33.6, 32.7, 32.9kg/m²),収縮期血圧(147, 144, 146mmHg),発作性AF(53%, 55%, 52%),高血圧(81%, 73%, 78%),糖尿病(30%, 27%, 29%),高脂血症(49%, 44%, 48%),冠動脈疾患(16%, 12%, 9%),AHI(Apnea Hypopnea Index: 無呼吸低呼吸指数)>30(51%, 50%, 52%),アルコール>30g/週(31%, 34%, 29%),喫煙(37%, 40%, 40%),服用抗不整脈数(1.1, 1.0, 0.9),服用降圧薬数(1.0, 1.0, 1.1)。
調査方法 体重・危険因子管理の重要性に関するカウンセリングのほか,任意で医師主導の減量専門クリニックでの管理または自己管理による減量プログラムを実施。食事療法は高蛋白・低グリセミック指数・カロリー制限食とした。食事・運動日記をつけるように指示。3か月後の減量<3%の場合は,1~2食/日を超低カロリー食に変更。初期目標(≦10%減量)達成後は食事を以前の減量食に戻し,目標BMI≦25kg/m²とした。運動は軽めの運動20分×週3回から開始し,中等度の運動≧200分/週まで強化。高血圧,耐糖能,睡眠時無呼吸,飲酒,喫煙をガイドラインに従って管理した。
AF症状はAF Severity Scale(AFSS)で評価し,AF非再発は7日間ホルター心電図で確認。AFはAF専門クリニックで管理し,レート・リズムコントロールは医師に一任。
結果 [減量とAF]
≧10%減量は135例,3~9%は103例,<3%は117例。
減量率が高いほど減量専門クリニック受診率が高かった(≧10%群84% vs 3~9%群57% vs <3%群30%;p<0.001)。
1年目に≧10%減量した患者の66%が長期にわたり(34.5か月)減量を維持。これらの85%が減量専門クリニック受診者であった(p<0.001)。
AFの発生頻度,持続期間,症状,重症度スコアは,≧10%群と3~9%群で<3%群にくらべ有意に低下した(p<0.001)。
AF再発回避生存率は≧10%群が有意に高く(86.2% vs 65.5%, 39.6%, p<0.001),リズムコントロール(内科治療,アブレーション)無しの場合も同群が高かった(45.5% vs 22.2%, 13.4%, p<0.001)。
アブレーション回数に群間差はなかったが,抗不整脈薬服用数は≧10%群が他2群より有意に少なかった(p<0.001)。
多変量解析で,<3%群はAF再発の独立した予測因子であった(≧10%群と比較したハザード比5.9;95%信頼区間3.4~10.3, p<0.001)。
[体重変動とAF]
体重が直線的に低下したのは141例,直線的な増加は24例,体重変動は179例で,このうち>5%変動は57例,2~5%は68例,<2%は54例。
<2%群は他2群より減量専門クリニック受診率が高かった(69% vs 55%, 30%, p<0.001)。
多変量解析で,>5%変動群は<2%群にくらべAF再発リスクが有意に高かった(2.06;1.0~4.3, p=0.02)。
★結論★肥満を有するAF患者において,長期の持続的な減量と体重変動の少なさはAF burdenの減少および洞調律維持と関連した。

[主な結果]
  • Pathak RK et al: Long-term effect of goal directed weight management in an atrial fibrillation cohort: a long-term follow-up study (LEGACY). J Am Coll Cardiol. 2015; 65: 2159-69. PubMed

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収載年月2015.06