循環器トライアルデータベース

PARAMEDIC
Pre-hospital Randomised Assessment of a Mechanical Compression Device in Cadiac Arrest

目的 機械的胸部圧迫デバイスは質の高い心肺蘇生(CPR)の維持に有用な可能性があり,使用頻度は増加しているにもかかわらず,有効性のエビデンスは少ない。
機械的胸部圧迫デバイスLUCAS-2を救急車に搭載した場合,非外傷性院外心停止例の生存率が用手的CPRより改善するかを検証する。

一次エンドポイントは30日後の生存率。
コメント 機械的胸部圧迫デバイス(本研究ではLUCAS-2)は,一定のリズムで途切れることなく胸部圧迫を行えるという優れた特徴をもっている。しかし,用手的なCPRと比較した研究の結果は必ずしも一致していない。特に,無作為化した比較研究ではデバイス群が優れた生存率を示すことができなかった。本研究の結果でも,LUCAS-2は用手法と変わらない生存率であった。CPR開始までの時間,CPRの中断・遅延(デバイス装着までの時間)などが成功率に影響しているが,これらの情報が必ずしも明らかになっていない。デバイスの性能そのものでなくて,デバイスによるCPRの質が影響している可能性がある。(井上
デザイン 群ランダム化(cluster-randomised),オープン,多施設(英国の都市部およびその近郊91の救急車待機ステーション),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月。
試験期間は2010年4月15日~’13年6月10日。
対象患者 4,471例。18歳以上で,院外心停止が確認され,CPRが実施された患者。
除外基準:外傷性心停止,妊婦。
■患者背景:平均年齢(LUCAS-2群71.0歳,用手的CPR群71.6歳),男性63%,心原性心停止と推定された例(86%, 87%),心停止発生場所:家庭(81%, 83%);公共の場(14%, 13%),目撃された心停止(61%, 62%),救急医療システム(EMS)到着前の居合わせた人によるCPR実施(43%, 44%),最初に記録された調律:心室細動(22%, 21%);無脈性電気活動(24%, 25%);心静止(50%, 49%)。
緊急通報から救急車到着までの時間(中央値6.5分,6.3分),薬物静注(83%, 80%),挿管(45%, 46%),ラリンジアルマスクあるいは声門上気道器具(両群とも26%),病院搬送(67%, 66%),病院引渡し時のCPR継続例(39%, 38%)。
治療法 現場に最初に到着した救急車(418台)をランダム化の単位とし(cluster),LUCAS-2群と対照群に1対2の割合でランダム化した。
LUCAS-2群(救急車147台・1,652例):用手的CPRを行いながら,LUCAS-2(Physio-Control,Jolife AB社。深さ40~53mmで,毎分102回,圧迫間の胸郭の完全リコイル;圧迫・解除は同じ持続時間)に切替えた。
用手的CPR群(271台・2,819例):標準的なCPR(深さ50~60mmで,毎分100~120回,圧迫間の胸郭の完全リコイル;圧迫・解除は同じ持続時間を目標)を実施。
結果 心停止に対するCPR実施数は,LUCAS-2群1,737/4,192件(41%),用手的CPR群2,953/6,980件(42%)で両群間差はなかった。
LUCAS-2群でのLUCAS-2使用率は985例(60%)。非使用の理由はトライアル関連272例(EMS職員が訓練を受けていなかった78例,EMS職員による間違い168例,LUCAS-2非搭載26例),使用不可256例(使用が不適切)102例,デバイスの問題14例,使用不可140例),不明110例。
一方,用手的CPR群でLUCAS-2が使用されたのは11例(<1%)で,すべてが職員の間違いによるものであった。

[一次エンドポイント]
30日後の生存率は,LUCAS-2群104例(6%) vs 用手的CPR群193例(7%)で両群で同等だった(調整オッズ比0.86;95%信頼区間0.64~1.15)。
[おもな二次エンドポイント]
自己心拍再開(ROSC)は522例(32%) vs 885例(31%)(0.99;0.86~1.14)。
死亡回避イベント(受入れ病院への入院あるいはメディカルスタッフへの引渡しまでのROSCの持続)は377例(23%) vs 658例(23%)(0.97;0.82~1.14)。
3か月後の生存率は6% vs 6%(0.83;0.61~1.12),1年後は5% vs 6%(0.83;0.62~1.11)。
[その他]
神経学的評価良好例(脳機能分類[Cerebral Performance Category: CPC]1~2)は,LUCAS-2群のほうが少なかった(5% vs 6%)。
有害事象はLUCAS-2群で7例(胸部挫傷3例,胸部裂傷2例,口腔内出血2例),用手的CPR群では発生しなかった。
LUCAS-2使用中にデバイス故障が15件発生した。
心停止の目撃者の有無,居合わせた人によるCPRの実施などのサブグループによる30日生存率の違いはみられなかった。
[Complier Average Causal Effect:CACE解析]
プロトコルを遵守し,実際にLUCAS-2を使用した患者における効果を推定するために,CACE解析を実施した結果も,同様であった。
★結論★院外心停止例において,LUCAS-2による機械的CPRの用手的CPRにくらべた30日後の生存率の改善は認められなかった。
文献
  • [main]
  • Perkins GD et al for the PARAMEDIC trial collaborators: Mechanical versus manual chest compression for out-of-hospital cardiac arrest (PARAMEDIC): a pragmatic, cluster randomised controlled trial. Lancet. 2015; 385: 947-55. PubMed
    Ong ME and Anantharaman V: Out-of-hospital cardiac arrest: manual or mechanical CPR? Lancet. 2015; 385: 920-2. PubMed

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収載年月2015.07