循環器トライアルデータベース

ODYSSEY LONG TERM
Long-term Safety and Tolerability of Alirocumab in High Cardiovascular Risk Patients with Hypercholesterolemia Not Adequately Controlled with Their Lipid Modifying Therapy

目的 抗PCSK9モノクローナル抗体のalirocumabは,スタチン治療中の患者においてLDL-Cを低下することが示されているが,長期の安全性および有効性データはない。
alirocumabの長期LDL-C低下効果および安全性を評価するとともに,post hoc解析で心血管転帰にもたらす効果を解析した。

一次エンドポイントは,LDL-C(Friedewald式により算出)のベースラインから24週後までの変化率。
コメント PCSK9の単クローン抗体(Mab)を用いた長期試験としては,OSLER試験とほぼ同様の試験目的と結果である。本試験はMabとしてはalirocumabを用いた78週間の長期試験である。その有効性はスタチン標準治療に対して約62%のLDL-C低下率と,ほぼevolocumab(OSLER試験で用いられたMab)と同様であり,安全性についても同様である。
そして,本来の目的ではない心血管イベントの発症率もスタチン標準治療に対して78週目で約48%抑制されたということであり,これもOSLERとほぼ同様の結果である。この独立した,しかも異なるMabを用いた試験で同様のことが示されたことは,これまでのLDL-Cのthe lower, the better を再確認するものである。さらに,いったいどこまでLDL-Cを低下させても安全なのかというクリニカルクエスチョンがあるが,本試験ではLDL-Cが<25mg/dLにまで低下した症例が37%(575例)もあり,そのグループでも目立った副作用はなかったということは特筆すべきでことである。しかし,やはり,まだこれは本来のイベント抑制試験ではないことも認識すべきであるし,治療前の状態がわが国とは異なる可能性があることは再認識すべきである。また,さらに長期に観察しないと安全性にお墨付きを与えられないということはOSLER試験と同様である。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(アフリカ,欧州,北・南米の27か国320施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間はalirocumab群80.9週,プラセボ群80.1週。
対象患者 2,341例。18歳以上のヘテロ接合型家族性高コレステロール血症,冠動脈疾患(CAD)あるいはCAD相当リスク例,LDL-C≧70mg/dL,最大忍容量のスタチンを単剤または他の脂質低下薬と併用投与している心血管イベント高リスク患者。
■患者背景:平均年齢60歳,女性37.8%,CAD 68.9%,ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症17.7%,スタチン99.9%,高用量スタチン46.8%,他の脂質低下薬28.1%,白人(alirocumab群92.8%,プラセボ群92.6%),BMI(30.2kg/m², 30.5kg/m²),2型糖尿病(34.9%, 33.9%),現喫煙(20.9%, 20.2%)。
治療法 alirocumab群(1,553例):150 mg(1mL) 1回/2週皮下投与×78週。
プラセボ群(788例)。
スタチン±他の脂質低下薬に追加。全例に,試験期間中ガイドラインに準じた食生活改善を継続するよう指示。
結果 アドヒアランスはalirocumab群98.0%,プラセボ群97.6%,試験薬の中止は28.2%, 24.5%。
[一次エンドポイント]
最小二乗平均LDL-Cの変化(ベースライン→ 24週後)はalirocumab群122.8→ 48.3mg/dL,プラセボ群122.0→ 118.9mg/dL,平均変化率はそれぞれ-61.0%, 0.8%で,両群間差は有意であった(-61.9パーセンテージポイント;p<0.001)。alirocumab群のLDL-Cの低下は4週後には認められ,78週後まで持続した。
[二次エンドポイント]
24週後のLDL-C<70mg/dL達成率は79.3% vs 8.0%(p<0.001)。
alirocumab群は24週後の他の脂質値の変化も大きかった:non-HDL-C(群間差:-52.3パーセンテージポイント),アポリポ蛋白B(-54.0),総コレステロール(-37.5),リポ蛋白(a)(-25.6),空腹時トリグリセライド(-17.3),HDL-C(4.6),アポリポ蛋白A1(2.9):すべてp<0.001。
[安全性]
解析対象は試験薬を投与したalirocumab群1,550例,プラセボ群788例。
有害事象(81.0% vs 82.5%),重篤な有害事象(18.7% vs 19.5%),有害事象による投与中止(7.2% vs 5.8%)。
alirocumab群の発生率が高かった有害事象は,注射部位反応(5.9% vs 4.2%),筋肉痛(5.4% vs 2.9%),神経認知イベント(1.2% vs 0.5%),眼科イベント(2.9% vs 1.9%)。
alirocumab群でLDL-C値が2回連続して<25mg/dLであった患者は575例(37.1%)で,有害事象発生率はalirocumab群全体と変わらなかった。
[心血管転帰]
post hoc解析で,主要有害心血管イベント(CAD死,非致死的心筋梗塞,致死的・非致死的虚血性脳卒中,入院を要する不安定狭心症の複合エンドポイント)の発生率はalirocumab群のほうが有意に低かった(1.7% vs 3.3%:ハザード比0.52;95%信頼区間0.31~0.90, p=0.02)。
★結論★alirocumabの最大忍容量のスタチンへの追加78週間で,LDL-Cは有意に低下した。post hoc解析ながら,alirocumab群で主要有害心血管イベントの低下が認められた。
ClinicalTrials Gov No: NCT01507831
文献
  • [main]
  • Robinson JG, et al.; ODYSSEY LONG TERM investigators: Efficacy and safety of alirocumab in reducing lipids and cardiovascular events. N Engl J Med. 2015; 372: 1489-99. PubMed
    Stone NJ and Lloyd-Jones DM: Lowering LDL cholesterol is good, but how and in whom? N Engl J Med. 2015; 372: 1564-5. PubMed

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収載年月2015.04