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Danish Nationwide Cohort Study

目的 デンマークの治療,入院患者データを用いて下記を検討した。
(10) 成人先天性心疾患(CHD)患者の認知症リスクを一般成人と比較する。

(1) 安定冠動脈疾患合併心房細動(AF)患者における抗血栓療法
(2) 血管疾患を合併した心不全患者における抗血栓療法
(3) 心不全の重症度と糖尿病発症リスク
(4) 降圧薬単剤治療とAF発症リスク
(5) 慢性腎臓病(CKD)合併心房細動(AF)患者における抗血栓療法
(6) 糖尿病患者におけるスタチンと細小血管症リスク
(7) AF患者における頭蓋内出血後の抗凝固療法再開と脳卒中,死亡との関連
(8) AF非合併心不全患者におけるCHA2DS2-VAScスコアの虚血性脳卒中,血栓塞栓症,死亡予測能
(9) 抗凝固薬投与歴のないAF患者におけるNOAC 3剤
コメント 1) Circulation. 2014; 129: 1577-85. →詳しく
安定したCAD(心筋梗塞またはPCIの既往)を有する心房細動患者の抗血栓療法として,(1) VKAは2剤抗血小板療法より優れており,(2) VKAに抗血小板薬を加えても更なるベネフィットは得られないことから,VAK単独療法がベストであることを示した。
(1)は,ACTIVE W試験で示されており,(2)はWOEST試験やWARIS II試験の成績と矛盾しない。安定CAD+心房細動患者の抗血栓療法はエビセンスの乏しい領域だけに,本コホート研究の成績は示唆的である。もちろん,この結論を出すには前向きのRCTが複数必要であるが,心房細動における凝固能亢進はVKAの最適の標的なのかも知れない。(

2) J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 2689-98. →詳しく
心不全+血管疾患患者を対象とした観察研究において,心不全合併例は予後が不良で非心房細動例に比し血栓塞栓症のハザード比も高いことが示されたのは予想通りの結果と言える。心房細動例では抗血小板単独群はVKA群より有意に血栓塞栓症が多く,VKA投与の必要性が確認された。一方,大出血はVKA投与群とりわけ,抗血小板薬との併用例で多く,これは当然の結果と言える。心房細動例ではVKAの方が抗血小板単独投与より心筋梗塞の発症が少なく心腔内血栓による心筋梗塞がその原因となる可能性が示唆された。しかし,あくまでも,観察研究の限界は認識しておく必要がある。(

3) Diabetologia. 2014; 57: 1595-600. →詳しく
本観察研究で心不全の重症度に応じて糖尿病の発症が多くなることが示された。また,糖尿病の合併は死亡率を上昇させることも示された。心不全の重症度とループ利尿薬の用量増加は一般に相関するが,原因か結果か明らかでない。ACE阻害薬による糖尿病の発症抑制もすでに報告されており,本論文はそれらをコホート研究で確認したものである。(

4) Eur Heart J. 2014; 35: 1205-14. →詳しく
高血圧は心房細動の基質因子として重要であるが,本研究でRAAS抑制が心房細動の発症抑制に貢献していることが示唆された。ACE阻害薬,ARBがβ遮断薬や利尿薬による降圧よりも心房細動の発症を有意に抑制していたことによるが,後ろ向き解析であることに注意が必要である。しかし,本研究は高血圧の影響を検討するために心不全,虚血性心疾患,糖尿病,甲状腺機能亢進症を除外している強みはある。RAAS抑制による心筋局所のアンジオテンシンの抑制とそれに伴う心筋線維化の抑制が寄与しているものと考えられる。(
デザイン コホート研究
期間 結果参照
参加者 結果参照
調査方法 結果参照
結果 (10) 追跡期間中の認知症診断例は両コホートで1,072例,80歳時の累積発症率は4%だったが,全死亡リスクはCHDコホートのほうが比較コホートより高かった(60% vs 35%)。→詳しく

(1) 安定CAD合併AF患者において,VKAに抗血小板薬を追加してもCAD再発,血栓塞栓症の低下はなく,出血リスクが上昇。→詳しく
(2) VDとAFを合併した心不全患者において,VKAと抗血小板薬の併用による血栓塞栓症・心筋梗塞の増加はないが,出血リスクが増大。→詳しく
(3) 心不全患者において,心不全の重症度は糖尿病発症リスクと関連。→詳しく
(4) 心不全,虚血性心疾患,糖尿病,甲状腺機能亢進症のない高血圧患者において,ACE阻害薬またはARBの単剤投与は,β遮断薬,利尿薬にくらべAF発症リスクの低下と関連。→詳しく
(5) AF患者において,CKD合併は脳卒中リスクレベルを問わず脳卒中・血栓塞栓症(TE)リスク上昇と関連。warfarinの脳卒中予防効果はCHA2DS2-VASc≧2の高リスク患者で大きい。→詳しく
(6) 糖尿病診断前のスタチン使用と細小血管症発症リスクの上昇の関連はみられず。→詳しく
(7) 再開により虚血性脳卒中,全死亡が有意に減少。→詳しく
(8) CHA2DS2-VAScスコアは虚血性脳卒中,血栓塞栓症,死亡リスクと関連。→詳しく
(9) NOAC 3剤の虚血性脳卒中はwarfarin群と同等,rivaroxaban群は全身性塞栓症との複合リスクが低いが出血リスクは同等,apixaban群,dabigatran群は複合リスク同等,出血リスクは低かった。→詳しく

[主な結果]
  • (10) Bagge CN et al: Risk of dementia in adults with congenital heart disease: population-based cohort study. Circulation. 2018; 137: 1912-20. PubMed
  • (1) Lamberts M et al: Antiplatelet therapy for stable coronary artery disease in atrial fibrillation patients taking an oral anticoagulant: a nationwide cohort study. Circulation. 2014; 129: 1577-85. PubMed
  • (2) Lamberts M et al: Antithrombotic treatment in patients with heart failure and associated atrial fibrillation and vascular disease: a nationwide cohort study. J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 2689-98. PubMed
  • (3) Demant MN et al: Association of heart failure severity with risk of diabetes: a Danish nationwide cohort study. Diabetologia. 2014; 57: 1595-600. PubMed
  • (4) Marott SC et al: Antihypertensive treatment and risk of atrial fibrillation: a nationwide study. Eur Heart J. 2014; 35: 1205-14. PubMed
  • (5) Bonde AN et al: Net clinical benefit of antithrombotic therapy in patients with atrial fibrillation and chronic kidney disease: a nationwide observational cohort study. J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 2471-82. PubMed
  • (6) Nielsen SF and Nordestgaard BG: Statin use before diabetes diagnosis and risk of microvascular disease: a nationwide nested matched study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014; 2: 894-900. PubMed
  • (7) Nielsen PB et al: Restarting Anticoagulant Treatment After Intracranial Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation and the Impact on Recurrent Stroke, Mortality, and Bleeding: A Nationwide Cohort Study. Circulation. 2015; 132: 517-25. PubMed
  • (8) Melgaard L et al: Assessment of the CHA2DS2-VASc Score in Predicting Ischemic Stroke, Thromboembolism, and Death in Patients With Heart Failure With and Without Atrial Fibrillation. JAMA. 2015; 314: 1030-8. PubMed
  • (9) Larsen TB et al: Comparative effectiveness and safety of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study. BMJ. 2016; 353: i3189 PubMed

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収載年月2014.12
更新年月2018.06