循環器トライアルデータベース

TAO
Treatment of Acute Coronary Syndromes with Otamixaban

目的 早期PCI施行予定の非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)患者において,新規の抗凝固薬である経静脈的第Xa因子阻害薬otamixabanの有効性と安全性を未分画heparin(UFH)+血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬eptifibatideと比較する。

有効性の一次エンドポイントは,7日後の全死亡,新規発症心筋梗塞(MI)の複合エンドポイント。
安全性の一次エンドポイントは,7日後のTIMI大・小出血。
コメント 標準治療により血栓イベント発症リスクが十分下がっている状態での新規抗血栓薬の開発は難しいことを改めて示した。(後藤
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(55か国568施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。
登録期間は2010年4月~’13年2月。
対象患者 13,229例。3日以内に血管造影とPCIを施行予定のNSTE-ACS患者。
おもな除外基準:血行再建術既施行,急性ST上昇型心筋梗塞,ランダム化前に経静脈的抗凝固薬を>24時間投与,abciximab治療。
■患者背景:年齢中央値62歳,女性(otamixaban群30.3%,標準治療群30.0%),白人(87.2%, 86.7%),BMI中央値(27.7kg/m², 27.6kg/m<²),既往(糖尿病:27.9%, 28.9%,高血圧:71.0%, 71.5%,現喫煙:33.7%, 33.3%,脳卒中/一過性脳虚血発作:両群とも5.2%,MI:18.9%, 19.3%),TIMIスコア(0~2:31.3%, 30.8%, 3~4:49.0%, 48.1%, 5~7:19.7%, 21.1%),GRACE リスクスコア(<96:14.5%, 14.0%, 96~112:18.4%, 18.5%, 113~133:28.5%, 27.9%, >133:38.6%, 39.6%),冠動脈造影(99.0%, 99.4%),PCI(65.2%, 65.0%),PCI/CABG非施行例(28.9%, 29.0%),ランダム化から冠動脈造影までの時間(中央値:239分,241分)。
治療法 最初にotamixaban低・高用量群と標準治療群の3群にランダム化。各群1,969例以上を登録し,7日追跡した時点で中間解析を実施し,至適用量として高用量を選択(otamixaban群)。この時点で低用量群への割付けを終了。
otamixaban低用量群(2,657例):0.08mg/kgボーラス→ 0.100mg/kg/hr持続点滴静注。
otamixaban高用量群(5,106例):0.08mg/kgボーラス→ 0.140mg/kg/hr持続点滴静注。
標準治療群(5,466例):UFH 60IU/kgボーラス投与→ 12IU/kg/hr 持続点滴静注(PCI終了まで。活性化部分トロンボプラスチン時間1.5~2.0倍に維持)+eptifibatide 180μg/kg PCI直前ボーラス→ 2.0μg/kg/min持続点滴静注→ 10分後180μg/kgボーラス(点滴はPCI施行から18~24時間後または退院まで)。
PCIを行わない場合はeptifibatideを投与せず,otamixaban+プラセボ,またはUFH+プラセボによる抗凝固療法を4日以内または退院まで実施。全例にaspirinとADP受容体拮抗薬(clopidogrel, prasugrel, ticagrelor)を投与。
結果 [治療状況]
ランダム化から退院までの薬物治療は,スタチンが91.9%, 92.4%,ACE阻害薬/ARBが76.7%, 77.6%,β遮断薬が82.5%, 82.1%。
[有効性の一次エンドポイント]
有意な群間差は認められなかった(otamixaban高用量群279/5,106例[5.5%] vs 標準治療群310/5,466例[5.7%]:相対リスク0.99;95%信頼区間0.85~1.16, p=0.93)。
全死亡(53例[1.0%] vs 47例[0.9%]:1.21;0.82~1.78)とMI(239例[4.7%] vs 276例[5.0%]:0.93;0.78~1.10)にも有意差は認められなかった。
[安全性の一次エンドポイント]
otamixaban群のほうが有意に多かった(159例[3.1%] vs 80例[1.5%]: 2.13; 1.63~2.78, p<0.001)。
[その他]
・有効性
二次エンドポイントである7日後の全死亡+MI+脳卒中は5.8% vs 5.9%(0.98;0.85~1.15),30日後の全死亡+MIでもotamixaban群の抑制効果は認められなかった(6.9% vs 7.0%:1.02;0.89~1.17)。
手技関連血栓性合併症は4.0% vs 4.6%(0.88;0.70~1.10),ステント血栓症が1.3% vs 1.6%(0.81;0.55~1.20)。カテーテル/ガイドワイヤー血栓症は0.1% vs 0.3%(0.12;0.02~0.94)であった。
・安全性
出血による抗凝固薬の中止はotamixaban群のほうが有意に多かった(242例[4.7%] vs 95例[1.7%], p<0.001)。出血以外の有害事象に群間差はなかった。
[サブグループ解析]
有効性,安全性はサブグループ(患者背景,疾患・治療既往,ランダム化前の24時間以下の抗凝固療法,治療[PCI,CABG],TIMI/GRACEリスクスコア,発症からランダム化までの時間,試験薬投与時間など)でも一貫していた。
★結論★早期PCI施行が予定されているNSTE-ACSにおいて,otamixabanのUFH+eptifibadeにくらべた虚血性イベントの抑制効果は認められなかった。一方で,出血は増加した。
ClinicalTrials.gov No.:NCT01076764
文献
  • [main]
  • Steg PG et al for the TAO investigators. Anticoagulation with otamixaban and ischemic events in non-ST-segment elevation acute coronary syndromes: the TAO randomized clinical trial. JAMA. 2013; 310: 1145-55. PubMed

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収載年月2013.11