循環器トライアルデータベース

SAFE-ICD
Safety of Two Strategies of ICD Management at Implantation

目的 植込み型除細動器(ICD)の植込みにおいて,心室細動(VF)を誘発し,ICDがそれを停止させるかどうかを検査する除細動テスト(DT)は標準的な手順とされてきたが,近年は行われないことも増えてきた。これはDTに関連する重症合併症リスクを考慮してのことと考えられる。DTにより臨床転帰が改善するという信頼性の高いデータはないものの,DTを行うかどうかは任意であり,DTの安全性も十分に立証されていない。
新規のICD植込み例において,植込み時にDTを実施する場合(DT+)と実施しない場合(DT-)とで安全性を比較する。

一次エンドポイントは,ICD植込み時の重症合併症*と追跡期間中のイベント**の複合エンドポイント。
* 3回以上のショックを要するVFまたはEMD(電気収縮解離)による心肺停止,一過性脳虚血発作/脳卒中,心原性ショック,肺水腫,血栓性イベント,無酸素性昏睡,心タンポナーデ,死亡。
** 心突然死,適切なICDショック無効後の蘇生手技の実施。
コメント ICD植込み時の除細動テストには,低頻度ではあるが合併症が起こりうる。昨今のICD技術の進歩によりICDの信頼性が増したこともあり,植込み時に除細動試験が省略される頻度が高くなってきた。本研究の結果は,このような近年の方針を支持するものであるが,一部の例においては除細動テストを実施することが求められる(ただし,実施時期は植込み時とは限らない)。(井上
デザイン 観察研究,多施設(イタリアの41施設)。
期間 追跡期間は2年。
登録期間は2008年4月~’09年5月。
対象 2,120例。18歳以上,通常のICD適応基準,ICDまたは両室ペーシング付きICD(CRT-D)初回植込み連続症例。
■患者背景:平均年齢(DT+群66歳,DT-群67歳),虚血性心筋症(56%, 57%),拡張型心筋症(30%, 31%),うっ血性心不全既往(48%, 59%;p=0.001),NYHA心機能分類(I度:19%, 12%,II度:49%, 41%,III度:30%, 44%;p=0.001),EF(32.1%, 31.0%;p=0.02),心拍数(70拍/分,71拍/分;p=0.02),心筋梗塞(MI)既往(52%, 53%;p=0.042),CABG/PCI歴(45%, 41%),心房細動既往(27%, 32%;p=0.007),糖尿病(23%, 28%;p=0.01),高血圧(44%, 58%;p=0.001),腎機能障害(22%, 24%)。
服薬状況:ACE阻害薬/ARB(66%, 71%;p=0.02),β遮断薬(65%, 70%;p=0.02),利尿薬(69%, 78%;p=0.001),アルドステロン拮抗薬(両群とも24%),digitalis(10%, 14%;p=0.004),抗凝固薬(23%, 32%;p=0.001),抗血小板薬(45%, 41%),スタチン(36%, 42%;p=0.01),ICD適応(一次予防:69%, 70%),CRT-D植込み(35%, 46%;p=0.001)。
調査方法 DT実施,非実施については,施設の現行の手順に従った。
結果 DT+群は836例,DT-群は1,284例で,DT実施率は39%。
[一次エンドポイント]
複合エンドポイントの発生率には有意な群間差は認められなかった(DT+群18例[2.1%] vs DT-群16例[1.2%];p=0.11)。植込み時の重症合併症は12例(8例 vs 4例,p=0.10),追跡期間中のイベントは22例(10例 vs 12例,p=0.58)。
推定年間発生率はそれぞれ1.15%(95%信頼区間0.73~1.83)vs 0.68%(0.42~1.12)で,群間差は0.47%/年(-0.15~1.10)とわずかだった。
[二次エンドポイント]
2年後の全死亡(108例 vs 188例)は両群で同等(調整ハザード比0.97;95%信頼区間0.76~1.23, p=0.80)。
適切なICDショック無効後の蘇生手技なしにもかかわらずDT+群1例,DT-群2例が生存。
★結論★初めてICDまたはCRT-Dを植込む患者において,植込み時に除細動テストを行った場合と行わない場合とでイベント発生率は同等で,ともに非常に低かった。 ICD植込み時に除細動テストを全例で行うことは妥当でなく,大多数の例では植込み時の除細動テストを省略してもよい。
ClinicalTrials gov. No: NCT00661037
文献
  • [main]
  • Brignole M et al on behalf of the SAFE-ICD study investigators: Clinical evaluation of defibrillation testing in an unselected population of 2,120 consecutive patients undergoing first implantable cardioverter-defibrillator implant. J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 981-7. PubMed

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収載年月2013.02