循環器トライアルデータベース

TARGET
Targeted Left Ventricular Lead Placement to Guide Cardiac Resynchronization Therapy

目的 心臓再同期療法(CRT)において,左室リードの至適留置部位を心エコーガイド下で決定することの有効性を検討する。

一次エンドポイントは6か月後のCRTに対するレスポンス(左室逆リモデリング;左室収縮末期容積[LVESV]減少≧15%)。
コメント CRTの効果を発揮させるには,左室興奮(収縮)が最も遅い部位にリードを留置させる必要があるが,この研究では瘢痕部を避ける工夫をした。伝導遅延が最大かつ非瘢痕部にリードを留置させる方法の優れていることが実証されたが,このような至適部位に実際にリードを留置させることができたのは,2/3の例に留まっている。冠状静脈の解剖学的な制約もあり,本法の限界を打ち破る工夫が必要であろう。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(2施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は2年。
登録期間は2009年4月~2010年7月。
対象患者 220例。進展した心不全患者連続症例;収縮機能の低下した(EF≦35%)洞調律;心室内伝導遅延(QRS幅≧120ms);心不全至適薬物治療にもかかわらずNYHA心機能分類III~IV度。
除外基準:ストレイン解析に不適な二次元画像。
■患者背景:年齢*72歳,男性(Target群77,対照群80%),NYHA III度(95, 93例),QRS幅*(157, 159ms),LVESV*(152, 149mL),前壁中隔-後壁伝導遅延*187, 177ms)。
* 中央値
治療法 標準2D心エコー実施後,スペックルトラッキング法による短軸心筋ストレイン評価後,ランダム化。
Target群(110例):心エコーガイド下(スペックルトラッキング法で得られた左室収縮の最も遅れた部位で収縮度合>10%の部分でペースメーカーを植込む。
対照群(110例):スペックルトラッキング法で得られたデータは参照せず,従来通りに植込む。
結果 冠状静脈洞解離などによるリード留置不成功は7例,うち4例がTarget群。
解析例は207例(Target群103例,対照群104例)。
[一次エンドポイント]Target群は対照群に比べ良好。
CRTに対するレスポンス率はTarget群のほうが高く(70% vs 55%, p=0.031),両群の絶対差は15%(95%信頼区間2~28%)。左室リード留置部位を心エコーガイド下で決めることでCRTに対するレスポンスを改善させるためのNNTは6.6。
[その他]
除細動器植込みに両群間に差はなかった(43.7% vs 39.4%)。
二次エンドポイント:NYHA(心機能)のI度以上の改善はTarget群で多かったが(83% vs 65%, p=0.003),2年間の死亡は22例(10%)で両群間に差はみられなかった(p=0.301)。心不全による入院は18件(8%)。
リード留意部位別解析:リード留置部位が至適(最大伝導遅延部位)であった例の死亡は6例(5%),心不全による入院を合わせると12例(10%)で,至適部位近傍留置例(それぞれ9%, 21%),遠位留置例(24%, 15%)に比べリスクが低かった。
左室ペーシング部位の瘢痕の有無による解析:瘢痕部にリードが留置された例は死亡29%,心不全による入院を合わせると38%で,非瘢痕部留置例(6%, 5%)に比べリスクが高かった。
★結論★スペックルトラッキング法使用の心エコーにより左室リード留置部位を決めると,RCT治療のレスポンス率を有意に改善し,死亡,心不全による入院を抑制した。
ISRCTN 19717943
文献
  • [main]
  • Khan FZ, et al: Targeted left ventricular lead placement to guide cardiac resynchronization therapy: the TARGET study: a randomized, controlled trial. J Am Coll Cardiol. 2012; 59: 1509-18. PubMed

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収載年月2012.06