循環器トライアルデータベース

ARISTOTLE
Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation

目的 脳卒中の危険因子を有する心房細動患者において,新規経口抗凝固薬である第Xa因子阻害薬アピキサバン(apixaban)の脳卒中および全身性塞栓症予防効果を標準治療(用量調整warfarin)と比較する。

有効性の一次エンドポイントは,脳卒中(脳梗塞,脳出血)または全身性塞栓症。
安全性の一次エンドポイントは,重大な出血。
コメント ■コメント 堀 正二
■コメント 井上  博

N Engl J Med. 2011; 365: 981-92.へのコメント
心房細動患者に対する直接Xa因子阻害薬apixabanの第III相大規模臨床試験(ARISTOTLE試験)の結果は,warfarinに対する非劣性のみならず,優越性を示す良好な内容であった。有効性エンドポイント(脳卒中および全身性塞栓症)を21%抑制すると同時に大出血のリスクを31%抑制し,層別解析において日本を含むアジア・太平洋地域住民における有効性も安全性も優れた結果を示唆したことはさらに歓迎すべき成績であった。本試験によって,トロンビン阻害薬(dabigatran)およびXa因子阻害薬(rivaroxaban,apixaban)の心房細動患者における心原性塞栓症の予防効果が明らかにされ,これらの新規抗凝固薬がいずれもwarfarinの欠点を克服しているのみならず,その有効性においてもwarfarinを超える成績が得られたことは,抗凝固療法の新しい時代の幕開けを確信させた。
これらの新規薬剤の比較については,3試験間の試験デザイン,患者背景(CHADS2スコアなど),薬剤投与方法(用量・用法),warfarin群のTTRなどの差異があるため単純比較は困難であり,2剤間の突合試験を待たねばならないが,共通して明らかになったことは,これらの新規抗凝固薬がwarfarinに比し,頭蓋内出血を著明に抑制している一方,本来期待される虚血性脳卒中(脳梗塞)の抑制は弱く,有効性のかなりの部分が出血性脳卒中の抑制によることである。これは,warfarinが頭蓋内出血・出血性脳卒中を特異的に増加させていたことによるのかも知れないが,新しい抗凝固薬が有効性と安全性においてwarfarinより特段に優れた薬剤ではないことを銘記する必要があろう。(


Xa阻害薬のアピキサバンが,塞栓症リスクを1つ以上もつ心房細動患者の脳卒中,全身性塞栓症の予防においてワルファリンよりも優れており,かつ出血性合併症が少ないことが示された。さらには,死亡リスクもワルファリンに比べて低かったことは注目すべき結果である。これまでは心房細動塞栓の予防(経口薬)にはワルファリンしか手段がなかったが,直接抗トロンビン薬に加えてXa阻害薬の有効性が示され,我々の選択肢が大きく広がった。(井上
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(日本を含む39か国1,034施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1.8年(中央値)。
試験期間は2006年12月~2011年1月。
対象患者 18,201例。登録時に心房細動/粗動,または過去12か月間に2週間以上の間隔で2回以上の心房細動/粗動が心電図で記録されたもので,次の脳卒中危険因子(≧75歳;脳卒中・一過性脳虚血発作[TIA]・全身性塞栓症既往;3か月以内の症候性心不全あるいはEF≦40%;糖尿病;薬物治療を要する高血圧)を1つ以上保有するもの。
主な除外基準:可逆性の原因による心房細動;中等度~重度の僧帽弁狭窄;人工弁など抗凝固薬が必要な心房細動以外の症例;7日以内の脳卒中;aspirin>165mg/日あるいはaspirin+clopidogrel投与が必要なもの;重症腎機能障害(血清クレアチニン>2.5mg/dLあるいは推定クレアチニンクリアランス<25mL/分)。
warfarinあるいはその他のビタミンK拮抗薬を連続して30日以上投与されていなければ,warfarin非投与とみなし,非投与例を40%以上登録することを推奨した。
■患者背景:年齢70歳(中央値),女性(apixaban群35.5%,warfarin群35.0%),欧州(40.3%, 40.4%);北米(24.7%, 24.5%);ラテンアメリカ(19.1%, 19.0%);アジア太平洋地域(16.0%, 16.1%),収縮期血圧130mmHg(中央値),体重82kg(中央値),既往:心筋梗塞(14.5%, 13.9%);臨床的に意義のある,あるいは自然の出血(両群とも16.7%),30日を超え連続したビタミンK拮抗薬投与歴(57.1%, 57.2%)。
心房細動:発作性(15.1%, 15.5%);持続性あるいは永続性(84.9%, 84.4%)。
危険因子:≧75歳(31.2%, 31.1%);脳卒中・TIA・全身性塞栓症既往(19.2%, 19.7%);心不全,EF低下(35.5%, 35.4%);糖尿病(25.0%, 24.9%);治療を要する高血圧(87.3%, 87.6%);CHADS2スコア(両群とも2.1)。
治療状況:ACE阻害薬/ARB(70.9%, 70.1%),amiodarone(11.1%, 11.5%),β遮断薬(63.6%, 62.6%),aspirin(31.3%, 30.5%),digoxin(32.0%, 32.1%),Ca拮抗薬(30.1%, 31.1%),スタチン(45.0%, 45.1%),制酸薬(18.5%, 18.4%)。
腎機能:正常(クレアチニンクリアランス>80mL/分:41.2%, 41.4%);軽度障害(>50~80mL/分:41.9%, 41.5%);中等度障害(>30~50mL/分:15.0%, 15.2%)。
治療法 apixaban群(9,120例):5mg×2回/日経口投与。ただし,次のうち2つ以上を有するものは2.5mg×2回/日経口投与とした:≧80歳;体重≦60kg;血清クレアチニン≧1.5mg/dL。
warfarin群(9,081例):目標INR 2.0~3.0となるよう用量調節。
ビタミンK拮抗薬投与例はランダム化の3日前に投与を中止し,INR<2.0になってから試験薬を投与することとした。
結果 [試験薬]
2.5mg×2回/日またはプラセボが,apixaban群では428例(4.7%),プラセボ群では403例(4.4%)に投与。
投与中止はapixaban群のほうが少なかった(25.3% vs 27.5%,うち死亡による中止は3.6% vs 3.8%;p=0.001)。
warfarin群でINRが治療域内(2.0~3.0)であった時間の割合(TTR)は,最初の7日間および試験薬中断期を除くと66.0%(中央値,平均値は62.2%)であった。
[有効性の一次エンドポイント:脳卒中,全身性塞栓症]
apixaban群のwarfarin群に対する非劣性,優越性が認められた。
apixaban群212例(1.27%/年) vs warfarin群265例(1.60%/年):ハザード比0.79;95%信頼区間0.66~0.95(非劣性 p<0.001,優越性 p=0.01)。
脳卒中(199例[1.19%/年] vs 250例[1.51%/年]):0.79;0.65~0.95(p=0.01)。
・脳梗塞,タイプ不明(162例[0.97%/年] vs 175例[1.05%/年]):0.92;0.74~1.13(p=0.42)。
・脳出血(40例[0.24%/年] vs 78例[0.47%/年]):0.51;0.35~0.75(p<0.001)。
全身性塞栓症(15例[0.09%/年] vs 17例[0.10%/年]):0.87;0.44~1.75(p=0.70)。
[安全性の一次エンドポイント:重大な出血]
327例(2.13%/年)vs 462例(3.09%/年):0.69;0.60~0.80(p<0.001)。
・頭蓋内出血(52例[0.33%/年] vs 122例[0.80%/年]):0.42;0.30~0.58(p<0.001)。
・その他の部位(275例[1.79%/年] vs 340例[2.27%/年]):0.79;0.68~0.93(p=0.004)。
・消化管出血(105例[0.76%/年] vs 119例[0.86%/年]):0.89;0.70~1.15(p=0.37)。
[全死亡]
603例(3.52%/年) vs 669例(3.94%/年):0.89;0.80~0.998(p=0.047)。
[正味の臨床転帰]
・脳卒中,全身性塞栓症,重大な出血
521例(3.17%/年) vs 666例(4.11%/年):0.77;0.69~0.86(p<0.001)。
・脳卒中,全身性塞栓症,重大な出血,全死亡
1,009例(6.13%/年) vs 1,168例(7.20%/年):0.85;0.78~0.92(p<0.001)。
[サブグループ,その他]
危険因子,腎機能などの全21サブグループで一次エンドポイントに対するapixaban群の有効性が一貫してみられ,交互作用は認められなかった(p>0.10)。
有害事象(81.5% vs 83.1%),重篤な有害事象(35.0% vs 36.5%),肝機能異常,肝臓関連の重篤な有害事象にも両群間差はみられなかった。
★結論★心房細動患者の脳卒中,全身性塞栓症予防においてapixabanはwarfarinより優っており,出血,死亡リスクは低かった。
ClinicalTrials gov. No: NCT00412984
文献
  • [main]
  • Granger CB et al for the ARISTOTLE committees and investigators: Apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2011; 365: 981-92. PubMed
    Mega JL: A new era for anticoagulation in atrial fibrillation. N Engl J Med. 2011; 365: 1052-4. PubMed
  • [substudy]
  • 弁膜症とapixaban-全例の1/4以上に中等度以上の弁膜症が認められたが,apixaban群のwarfarin群を上回る有効性に弁膜症の有無による違いはなかった。
    除外基準(中等度~重度の僧帽弁狭窄,機械弁)に該当しない弁膜症患者の割合と特徴を評価し,弁膜症の有無により臨床転帰を解析した結果:弁膜症(中等度以上の弁膜症の既往・ベースライン心エコー所見,外科的弁置換・形成術既往と定義)は4,804例(26.4%;既往67.3%,心エコー所見77.4%,外科術既往5.2%)で,多くは僧帽弁逆流(73.3%)や三尖弁逆流(44.2%)であった。
    弁膜症患者は非弁膜症患者より脳卒中・全身性塞栓症(3.2% vs 2.4%:ハザード比1.34;95%信頼区間1.10~1.62, p=0.003),死亡(9.1% vs 6.2%:1.48;1.32~1.67, p<0.001)リスクが高かった。大出血リスクも高い傾向にあったが有意差はなかった(4.6% vs 4.3%:1.11;0.95~1.29)。
    apixaban群のwarfarin群にくらべた有効性は弁膜症の有無を問わず認められた:脳卒中・全身性塞栓症(弁膜症患者:0.70;0.51~0.97,非弁膜症患者:0.84;0.67~1.04;交互作用p=0.38),全死亡(1.01;0.84~1.22, 0.84;0.73~0.96;交互作用p=0.10),大出血(0.79;0.61~1.04, 0.65;0.55~0.77;交互作用p=0.23)。頭蓋内出血などの他の出血の結果も同様であった:Circulation. 2015; 132: 624-32. PubMed
  • 抗不整脈薬amiodaroneの併用と転帰-併用例は11%で,脳卒中・全身性塞栓症が多く,warfarin群でTTRが短縮。apixabanの有効性はamiodarone併用の有無を問わなかった。
    warfarinの代謝に影響を及ぼすamiodaroneの併用が血栓・出血イベントに及ぼす影響を検証した結果(17,907例):amiodarone併用例は2,051例(11.4%;apixaban群1,009例,warfarin群1,042例)で,非併用例にくらべ若く(中央値68歳,70歳),心不全,EF低下例が多く,糖尿病,脳卒中・全身性塞栓症既往が少なく,CHAD2(2.0, 2.1),CHA2DS2-VASc(3.2, 3.4)スコアが有意に低かった。またwarfarin群でのINRが治療域内であった時間の割合(TTR)が短かった(56.5%, 63.0%, p<0.0001)。
    propensityマッチング法で併用例と非併用例(1:3)を比較すると,脳卒中・全身性塞栓症は併用例のほうが有意に多かったが(1.58% vs 1.19%/年:調整ハザード比1.47;95%信頼区間1.03~2.10, p=0.0322),その他のイベントには有意差はなかった。
    脳卒中・全身性塞栓症は,amiodarone併用例でapixaban群1.24%/年 vs warfarin群1.85%/年(0.68;0.40~1.15),非併用例で1.29 vs 1.57%/年(0.82;0.68~1.00)でamiodarone併用の影響は認められず,全死亡,大出血などの他のイベントについても試験治療とamiodarone併用の交互作用は認められなかった:J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 1541-50. PubMed
  • GDF-15の予後予測能-大出血,死亡,脳卒中/全身性塞栓症の危険因子。
    酸化ストレス,炎症のマーカーであるgrowth differentiation factor 15(GDF-15)の予後予測能を検証した結果(生化学マーカーを測定した14,798例;追跡期間中央値1.9年):GDF-15中央値1,383ng/L(>1,200ng/L:60.4%, >1,800ng/L:32.3%)。
    脳卒中・全身性塞栓症は396例(1.40%/年)。GDF-15高値ほど年間発症率は有意に高く,最高四分位例(>2,052 ng/L)は2.03%,最低四分位例(≦977ng/L)は0.90%(p<0.001)であった。大出血はそれぞれ4.53%, 1.22%(p<0.001),死亡は7.19%, 1.34%(p<0.001)。この関係は危険因子,CHA2DS2VAScスコアで調整後も有意であった。その他の心臓マーカーで調整後,脳卒中・全身性塞栓症の予測能は減弱したが,死亡,大出血の予測能は変わらなかった。
    apixaban群の脳卒中,死亡,出血の低下はGDF-15値を問わなかった:Circulation. 2014; 130: 1847-58. PubMed
  • apixaban群の転帰と年齢-年齢を問わずwarfarin群より良好。加齢によるリスク増加を考慮すると,高齢者ほど絶対ベネフィットは大きい。
    apixaban群のwarfarin群とくらべた有効性,安全性を年齢別に解析した結果(事前に予定されたサブ解析):<65歳(5,471例・30%),65~74歳(7,052例・39%),≧75歳(5,678例・31%)の3群に分類。≧80歳は2,436例(13%),うち90歳代は84例。
    ≧75歳は女性,脳卒中・出血既往,腎機能障害が多く,うっ血性心不全・糖尿病既往が少なく,CHADS2,HAS-BLEDスコアが高かった。投与中止の割合と,warfarin群のINRが治療域内であった時間の割合は,<65歳にくらべわずかに高かった。
    脳卒中,全身性塞栓症の年間発症率は,高齢者ほど高かった(<65歳:0.93%, 65~74歳:1.49%, ≧75歳:1.86%)。各年齢層におけるapixaban群のwarfarin群にくらべたハザード比はそれぞれ1.16, 0.72, 0.71で,年齢の有意な影響は認められなかった(交互作用p=0.11)。全死亡,重大な出血,全出血,頭蓋内出血,ネット臨床イベントも年齢による有意な違いはなく,これは≧80歳例でも同様で,さらにapixabanの用量と有効性との有意な交互作用もみられなかった:Eur Heart J. 2014; 35: 1864-72. PubMed
  • 抗凝固治療下でのAF除細動後のイベントリスク-除細動施行までの治療時間はapixaban群243日,warfarin群251日で,両群ともに除細動後30日間の脳卒中,全身性塞栓症の発症なし。
    心房細動(AF)に対する電気的除細動施行例(540例・743回:apixaban群265例,warfarin群275例)において,除細動後のイベントリスクを検証した結果(追跡期間30日):除細動施行例の平均年齢は67.2歳,非施行例は69.1歳(p<0.0001)。除細動施行回数は1回;414例,2回;87例,≧3回;39例。
    試験開始から初回除細動施行までの平均時間は,apixaban群251日,warfarin群243日後で,除細動時の試験薬投与例はそれぞれ84%,80%。
    初回除細動後30日間に脳卒中,全身性塞栓症は発生しなかった。死亡は両群それぞれ2例,心筋梗塞,重大な出血は両群でそれぞれ1例であった:J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 1082-7. PubMed
  • 高感度トロポニンT(hs-TnT)の予後予測能-hs-TnT高値は転帰と独立して関連。apixaban vs warfarinへの影響は認められず。
    14,897例においてhs-TnTの予後予測能を評価した結果(事前に計画されたサブ解析;追跡期間中央値1.9年):hs-TnT値が評価可能だったのは93.5%(平均14.5ng/L;中央値11.0ng/L)。多変量モデルにおいてhs-TnT高値はすべての転帰と独立して有意に関連した。hs-TnT最高四分位群(>16.7ng/L)は最低四分位群(≦7.5ng/L)にくらべ脳卒中+全身性塞栓症(2.13 vs 0.87%/年:調整ハザード比1.94;95%信頼区間1.35~2.78, p=0.0010),心臓死(4.24 vs 0.46%/年:4.31;2.91~6.37, p<0.0001),重大な出血(4.21 vs 1.26%/年:1.91;1.43~2.56, p=0.0001)のリスクが有意に高かった。
    hs-TnT値をCHA2DS2VAScスコアに加えると,C統計量は有意に改善(脳卒中+全身性塞栓症:0.620→0.635[p=0.0226],心臓死:0.592→0.711[p<0.0001],重大な出血:0.591→0.629[p<0.0001])。
    apixabanのwarfarinと比較した脳卒中,死亡,重大な出血リスクの低下に対するhs-TnTの影響は認められなかった(交互作用p>0.10):J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 52-61. PubMed
  • aspirinの併用と転帰-apixabanのwarfarinとくらべた有効性,安全性に併用は影響せず。
    aspirinの併用が主解析結果に及ぼす影響を評価した結果(事前に予定されていた解析):aspirin併用例(初日のaspirin投与例4,434例[24%]:ベースライン時の併用例は5,632例[31%]だったが,初日のaspirin中止例が多かったためそれらを除外)は,非併用例(13,669例)にくらべ男性,糖尿病,高血圧,心筋梗塞(MI)/PCI/CABG/末梢動脈疾患既往が多かった。追跡期間中に併用例の25.7%がaspirinを中止(中央値92日後)した一方,非併用例の5.4%が投与を開始(264日後)。warfarin群でINRが治療域内にあった時間は併用例と非併用例で同等だった。
    脳卒中/全身性塞栓症のリスクは,aspirin併用の有無を問わずapixaban群が低かった(併用例:apixaban群1.12% vs warfarin群1.91%,ハザード比0.58;95%信頼区間0.39~0.85,非併用例:1.11% vs 1.32%, 0.84;0.66~1.07;交互作用p=0.10)。虚血性脳卒中(交互作用p=0.19),MI(p=0.19),死亡(p=0.23)に対してもaspirin併用の影響はなかった。重大な出血は併用例,非併用例で同様にapixaban群が低かった(3.10% vs 3.92%, 0.77;0.60~0.99, 1.82% vs 2.78%, 0.65;0.55~0.78;交互作用p=0.29)。動脈血管疾患の有無によるサブグループ解析結果も変わらなかった。
    ベースライン時の交絡因子で調整後,脳卒中/全身性塞栓症,虚血性脳卒中,MI,死亡リスクはaspirin併用例と非併用例で同等であったが,出血リスクは併用例が高かった。さらに割付け後のaspirin使用に関連する変数で調整すると,死亡リスクは同等であったが,脳卒中/全身性塞栓症,虚血性脳卒中,MI,出血のリスクは併用例のほうが高かった:Eur Heart J. 2014; 35: 224-32. PubMed
  • 心房細動患者におけるNT-proBNPの予後予測能-脳卒中,心臓死の予測に有用な可能性。CHA2DS2VAScスコア*に加えると予測能が改善。
    * CHADS2スコアの年齢(75歳以上)を1点から2点に増やし,さらに3因子(血管疾患,年齢[65~74歳],女性;それぞれ1点)を追加。
    ランダム化時の血漿サンプルのある14,892例でNT-proBNPを四分位(第1四分位;≦363ng/L,第2四分位;364~713ng/L,第3四分位;714~1,250ng/L,第4四分位;>1,250ng/L)に層別し臨床転帰との関連を検討した結果:NT-proBNPは年齢,性,その他の心血管疾患,糖尿病,腎機能低下と関連。特に心房細動(AF)の病型と最も強く関連,持続性・永続性AFのNT-proBNP値は発作性AFの3倍以上だった。またCHADS2およびCHA2DS2VAScスコアの高いものはNT-proBNP値も高かった。
    1.9年間(中央値)の追跡で脳卒中,全身性塞栓症は397例(1.40%/年),死亡1,075例(3.69%/年),心臓死547例(1.88%/年),大出血674例(2.61%/年)。
    脳卒中,全身性塞栓症の発症率は第1四分位0.74% vs第4四分位2.21 %/年:第4四分位例の調整ハザード比2.35(95%信頼区間1.62~3.40, p<0.0001),心臓死発生率は,0.86% vs 4.14%/年:2.50(1.81~3.45, p<0.0001)。NT-proBNP高値と大出血リスクの上昇は関連しなかった。
    NT-proBNPをCHA2DS2VAScスコアに加えると, c統計量が改善した(脳卒中,全身性塞栓症発症:0.62→0.65,心臓死:0.59→0.69)。
    apixaban群ではNT-proBNP値にかかわらず,脳卒中,死亡率,出血率が低かった:J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 2274-84. PubMed
  • 心房細動患者におけるapixabanのwarfarinを上回る脳卒中,全身性塞栓症抑制効果は脳卒中・出血リスクの程度を問わず一貫している。
    脳卒中,出血リスクを評価する3スコア別に検証した結果:CHADS2スコア(1[6,183例],2[6,516例],≧3[5,502例],CHA2DS2VAScスコア(1[1,604例],2[3,771例],≧3[12,826例]),HAS-BLEDスコア(0~1[7,461例],2[6,568例],≧3[4,172例])のいずれにおいてもリスクレベルによる結果の違いはみられず,apixabanは一貫してwarfarinより一次エンドポイントを抑制した(それぞれの交互作用のp値は,CHADS2スコア:0.4457, CHA2DS2VAScスコア:0.1210, HAS-BLEDスコア:0.9422)。
    apixaban群では大出血発生率が低かったが,リスクスコアによる差は認められなかった(それぞれの交互作用のp値は,0.4018, 0.2059, 0.7127):Lancet. 2012; 380: 1749-58. PubMed

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収載年月2011.08
更新年月2015.10