循環器トライアルデータベース

TASMINH2
Telemonitoring and Self-management in the Control of Hypertension Trial

目的 コントロール不良の高血圧患者において,血圧の自己管理(電話回線を使用した血圧の遠隔モニタリング+患者による血圧測定および降圧薬の用量調整)により,1年にわたって通常治療に比べ良好な血圧コントロールが得られるかを検討。
一次エンドポイントは6か月および12か月後の平均収縮期血圧(SBP)の変化。
コメント 血圧の自己管理が降圧薬治療開始および降圧薬服薬アドヒアランス向上に役立つという一つのエビデンスである。(桑島
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(イギリス24施設)。
期間 追跡期間は12か月。
登録期間は2007年3月~2008年5月。
対象患者 480例。35~85歳(高齢者でも本試験が可能であることが明らかになったため,3か月後にそれまで75歳までだった年齢基準を85歳まで引き上げた)。2剤以下の降圧薬による治療中で血圧>140/90mmHgのもの,血圧モニタリングおよび降圧薬titrationの自己管理を行う意志のあるもの。
除外基準:血圧>200/100mmHg,起立性低血圧(SBPの低下>20mmHg),末期の疾患,認知症,short orientation memory concentration testスコア>10,家庭医による血圧管理を受けていないもの,登録患者の配偶者。
■患者背景:年齢(自己管理群66.6歳,対照群66.2.歳),男性(両群とも47%),血圧(152.1/85.0mmHg, 151.8/84.5mmHg),白人(95%, 97%),既婚(74%, 76%),index of multiple deprivation (IMD) 2007スコア(範囲0.37~85.46:16.7, 17.3),喫煙中(8%, 6%),不安スコア(STAI-6)(10.1, 9.7),既往:冠動脈疾患(9%, 10%);糖尿病(8%, 7%);慢性腎臓病(7%, 11%),降圧薬服用数(1.50, 1.54)。
治療法 各家庭医が電子カルテ検索により確認した参加可能な患者(1施設あたり8~56例)のうち,登録基準を満たした患者をランダム化。
自己管理群(263例):患者は2回のトレーニングを経て,毎月第1週に血圧を自動血圧計で自己測定し,自動血圧計に接続したモデムを電話機のソケットに差し込み測定値をトライアルチームへ送信。測定は5分間隔で2回行い,2回目の測定値を送信した。
目標値(130/85mmHg,糖尿病例では130/75mmHg)の超過が4日以上の月が2か月連続した場合は,予め家庭医と設定した用量調整スケジュールに従って2回まで薬剤を変更または増量。
対照群(264例):家庭医による通常の高血圧治療(国内ガイドラインでは年1回の血圧モニタリングと生活習慣,症状,薬物治療の検討を推奨)。
全例にBritish Hypertension Societyによる降圧のための非薬物的介入に関する情報,全家庭医にNational Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)ガイドラインを支給。
結果 6,12か月後の追跡を完了した患者は91%(自己管理群234例,対照群246例)。
自己管理群のうち70%が12か月間に1回以上の薬剤変更を行い,処方された降圧薬の数は対照群より6か月後に0.32剤(95%信頼区間0.21~0.43),12か月後に0.46剤(0.34~0.58)多かった(各p=0.001)。
SBPのベースライン時からの低下は,6か月後に自己管理群12.9mmHg(10.4~15.5) vs 対照群9.2mmHg(6.7~11.8):群間差3.7mmHg;0.8~6.6(p=0.013),12か月後に17.6mmHg(14.9~20.3) vs 12.2mmHg(9.5~14.9):5.4mmHg;2.4~8.5(p=0.0004)。
副作用のうち下肢腫脹の頻度が自己管理群74例(32%)で対照群55例(22%)に比べ多かったが(p=0.022),その他の副作用に群間差はなかった。不安スコアは試験期間を通じて両群間に差異はなかった。
12か月後に好ましい血圧モニタリングの方法として自己管理を選択した患者は,自己管理群71%,対照群43%であった(p<0.0001)。
★考察★高血圧の自己管理と血圧値の遠隔モニタリングの組み合わせにより,6,12か月後に通常治療と比べ著明な血圧低下が認められ,プライマリケアにおける高血圧コントロールの重要な付加的方策となることが示された。
International Standard Randomised Controlled Trial No: ISRCTN17585681
文献
  • [main]
  • McManus RJ et al: Telemonitoring and self-management in the control of hypertension (TASMINH2): a randomised controlled trial. Lancet. 2010; 376: 163-72. PubMed

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収載年月2010.11