循環器トライアルデータベース

J-ACT II
Japan Alteplase Clinical Trial II

目的 発症から3時間以内の脳梗塞(中大脳動脈閉塞)患者において,遺伝子組換え型rt-PA alteplase 0.6mg/kg静注の有効性を評価するphase IV試験。
有効性の一次エンドポイントは6時間後および24時間後MR血管造影(MRA)によるmodified Mori Grade 2,3の再開通,3か月後の良好な転帰(modified Rankin Scale [mRS] 0~1) 。
安全性の一次エンドポイントは36時間以内の症候性頭蓋内出血。
コメント 日本では企業主導の「治験」の成果が英文論文として発表されることは少なかった。NEJM, JAMA, Lancetなどの欧米一流誌に発表される「臨床エビデンス」の多くは「欧米の治験」の結果である。日本でも質の高い「治験」結果は積極的に英文論文化すべきである。
本論文は協和発酵キリン,田辺三菱製薬のスポンサーによる市販後調査である。しかし,丁寧な画像診断によりt-PAの効果を明らかにした意義は大きい。日本は脳血管疾患の画像診断では世界をリードする国である。(後藤
デザイン 前向きコホート研究,オープン,多施設(日本の15施設)。
期間 追跡期間は3か月。
試験期間は2007年3月~2008年7月。
対象患者 58例。MRAで中大脳動脈閉塞が認められた発症から3時間以内の脳梗塞。評価はCTおよびMRAのみに基づいた。
除外基準:NINDS rt-PA Stroke study,J-ACT試験の基準に倣った他,National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)≧23,MRI禁忌,MRAで中大脳動脈以外の血管の閉塞が認められたもの,Alberta Stroke Program Early Computed Tomography Score (ASPECTS)≦6。
■患者背景:平均年齢70.3歳,女性39.7%,体重62.1kg,NIHSS 12,脳梗塞分類:心原性脳塞栓症84.5%;アテローム血栓性梗塞8.6%;その他/不明6.9%,M1部の閉塞70.7%,血圧148.5/81.2mmHg。
治療法 alteplase 0.6mg/kgを静注:用量の10%をボーラス静注後,残りを1時間で連続注入。
MRAを発症から6時間後と24時間後に実施。
結果 [経過時間]
発症からalteplase静注まで;2.2時間,発症から6時間後MRAまで;5.9時間,tPA静注終了から6時間後MRAまで;2.7時間,発症から24時間後MRAまで;27.1時間,tPA静注終了から24時間後MRAまで;23.9時間。
[一次エンドポイント]
再開通率は6時間後MRAで51.7%(95%信頼区間38.9~64.6),24時間後MRAで69.0%(57.1~80.9)に認められた。6時間後MRAによるmodified Mori Grade 0;21例(36.2%),1;7例(12.1%),2;3例(5.2%),3;27例(46.6%),24時間後MRA:それぞれ12例(20.7%),6例(10.3%),4例(6.9%),36例(62.1%)。
3か月後に良好な転帰が認められたのは46.6%。
症候性頭蓋内出血は発生しなかった。
[再開通と転帰の関連]
ロジスティック回帰モデルによると,6時間後および24時間後MRAで認められた再開通は,ベースライン時のNIHSSスコアとともに臨床転帰の独立した予測因子であった:6時間後MRA:再開通・転帰良好(mRS 0~1)例20例(66.7%) vs 再開通・転帰不良例(mRS≧2)10例(33.3%),非再開通・転帰良好7例(25.9%) vs 非開通・転帰不良20例(74.1%):血管・臨床転帰オッズ比5.714(1.814-18.004, p=0.003)。
24時間後MRA:25例(62.5%) vs 15例(37.5%),2例(11.8%) vs 15例(88.2%):12.500(2.503~62.428, p<0.001)。
★結論★alteplase 0.6mg/kg静注による中大脳動脈閉塞の早期再開通により,良好な転帰が期待できる。再開通率,良好な転帰率はすでに報告されている0.9mg/kgと同等である。
文献
  • [main]
  • Mori E et al for the J-ACT II group: Effects of 0.6 mg/kg intravenous alteplase on vascular and clinical outcomes in middle cerebral artery occlusion: Japan Alteplase Clinical Trial II (J-ACT II). Stroke. 2010; 41: 461-5. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2010.07