循環器トライアルデータベース

HeartMate II

目的 心移植不適格の重症心不全患者において,左室補助デバイス(LVAD)の有効性を定常流型と拍動流型とで比較する。
複合一次エンドポイントは2年後の生存,障害の残る脳卒中(Rankin score>3)非発生,デバイス不具合非発生。
コメント 定常流型LVADは拍動流型LVADに比べて,1) 小型,2) 機器損傷が少なく寿命が長い,3) 静か,4) 赤血球の損傷が少ないという利点がある。抗凝固薬を使用すれば血栓形成のリスクは両タイプで同等である。
本研究の結果,定常流型LVADを用いた重症心不全例の生命予後は,拍動流型LVADに比べて有意に改善することが示された。わが国では,心臓移植の実施はまだ十分とは言えず,今後も必要数を満たすことは難しいように思われる。定常流型LVADは,心臓移植に代わりうる重症心不全の治療手段として期待される。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(米国の38施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は2年。
ランダム化期間は2005年3月~’07年5月。
対象患者 200例。心臓移植に不適格であり,至適薬物治療が無効であった重症心不全患者;EF<25%;最大酸素消費量<14mL/kg/分または予測値の<50%;NYHA心機能分類IIIb~IV度の症状が登録前60日間のうち45日以上,14日間以上の強心薬,7日間の大動脈内バルーンポンプ(IABP)使用。
除外基準:不可逆性の重症腎・肺・肝機能障害,感染症。
■患者背景:年齢(中央値:定常流型LVAD群64歳,拍動流型LVAD群65歳),男性(81%,92%),虚血性心不全(66%,68%), EF(17.0%,16.8%),血圧(両群とも104/61mmHg),強心薬静注(77%,83%),利尿薬(92%,86%),ACE阻害薬(32%,33%),β遮断薬(53%,58%),両室ペースメーカー(63%,59%),ICD(83%,79%),IABP(22%,23%),destination therapy risk score(10.4,9.9)。
治療法 定常流型LVAD群(134例):HeartMate II,拍動流型LVAD群(66例):HeartMate XVEに2:1にランダム化。
全例にaspirinを投与,定常流型LVAD群でwarfarin(目標INR 2.0~3.0)による抗凝固療法。
結果 一次エンドポイントは定常流型LVAD群で拍動流型LVAD群より多かった[62例(46%)vs 7例(11%),ハザード比0.38,95%CI 0.27~0.54,p<0.001]。2年の生存率は定常流型LVAD群で拍動流型LVAD群に比べ有意に高かった(58% vs 24%,相対リスク0.54,95%CI 0.34~0.86,p=0.008)。デバイス修理・交換は定常流型LVAD群で拍動流型LVAD群に比べ有意に少なく[13例(10%)vs 24例(36%),p<0.001],拍動流型 LVAD群のデバイス交換例(21例)のうち18例が定常流型LVADへの交換であり,2年後に拍動流型LVADを使用していたのは2例であった。
主要な有害事象(デバイス関連・非関連の感染症,右心不全,呼吸不全,腎不全,不整脈)の発生率は定常流型LVAD群の方が拍動流型LVAD群より有意に低かった。脳卒中の発生は両群同等であった(0.13イベント/人・年 vs 0.22イベント/人・年,p=0.21)。再入院率は定常流型LVAD群で拍動流型LVAD群よりも38%低下した。NYHA心機能分類,6分間歩行距離,QOL(Minnesota Living with Heart Failure questionnaireスコア,Kansas City Cardiomyopathy questionnaireスコア)は両群でベーライン時に比べ有意に改善した(各p<0.001)。
★結論★重症心不全患者において,定常流型LVADによる治療は拍動流型LVADに比べ2年後の脳卒中およびデバイス不具合非発生生存率を有意に改善した。QOLおよび機能状態は両デバイスで有意に改善した。
文献
  • [main]
  • Slaughter MS et al: Advanced heart failure treated with continuous-flow left ventricular assist device. N Engl J Med. 2009; 361: 2241-51. PubMed
    Fang JC: Rise of the machines--left ventricular assist devices as permanent therapy for advanced heart failure. N Engl J Med. 2009; 361: 2282-5. PubMed

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収載年月2010.01