循環器トライアルデータベース

MADIT-CRT
Multicenter Automatic Defibrillator Implantation Trial with Cardiac Resynchronization Therapy

目的 収縮機能の低下した(EF≦35%)重症心不全(NYHA III~IV度)で心室内伝導遅延(≧120ms)を合併した患者では心室再同期療法(CRT)の有用性が確認されている。QRS幅の拡大した軽症患者でも,予防的CRT-除細動器(ICD)が死亡,心不全リスクを低減するかICD単独治療と比較する。

一次エンドポイントは全死亡あるいは非致死的心不全。
コメント N Engl J Med. 2014; 370: 1694-701. へのコメント
心室内伝導障害(QRS幅≧130msec)のある例でも,左脚ブロック例でCRTの長期生存率改善が認められ,右脚ブロックやその他の心室内伝導障害では効果は明らかではなかった。本来,CRTは遅れた左室の興奮を同期させることが理論的根拠であり,この理論が改めて支持された。この成績はCRTの適応を考慮するうえで重要である。単にQRSの幅ではなく,QRS波形(左脚ブロック)の意義(例,MADIT-CRT, Circulation 2011; 123: 1061-72.)を再確認したものである。(井上

N Engl J Med. 2009; 361: 1329-38. へのコメント
左室収縮能低下,QRS幅延長がある症状の軽い心不全例に対してCRT-ICD治療が,ICD単独治療に比べて心イベントの発生を有意に抑制することが示された。editorial commentにもあるように,この結果をもって直ちにCRT-ICD治療の適用を拡大するには問題が多い。まず,効果は大部分が非致死的心不全の発生が「CRT」により,しかもQRS幅≧150msecの例でみられていることで,これは以前の報告(REVERSE試験など)の結果に合致する。死亡率についてはCRT+ICDとICD群で差がなく,費用が高いことも合わせれば,症状の軽い例に対するCRTの適用はQRS幅≧150msecに限るという慎重な対応が求められよう。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(110施設:米国88施設,カナダ2施設,欧州20施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間2.4年。
登録期間は2004年12月22日~2008年4月23日。
対象患者 1,820例。21歳以上;虚血性心筋症(NYHA I~II度)または非虚血性心筋症(NYHA II度);洞調律;EF≦30%;QRS≧130ms;ガイドラインによるICD適応患者。
除外基準:CRT適応,ペースメーカー/ICD/CRT植込み例,NYHA III~IV度,CABG/PCI既往,発症後3か月以内の心筋梗塞,1か月以内の心房細動など。
■患者背景:平均年齢(ICD群64歳,CRT-ICD群65歳),男性(75.6%, 74.7%),白人/黒人/その他(90.7/7.7/1.5%, 90.4/8.0/1.6%),虚血性心疾患(NYHA I度:15.5%, 14.0%;II度:39.4%, 41.0%),非虚血性心疾患(II度:両群とも45.1%),降圧治療中(63.2%, 63.7%),発症後1か月以上の心房細動(12.6%, 11.1%),糖尿病(30.6%, 30.2%),喫煙(12.8%, 11.4%),BMI≧30kg/m²(36.4%, 35.9%),CABG(28.5%, 29.1%),血圧(121/71mmHg, 124/72mmHg),QRS≧150ms(65.1%, 64.2%),EF(両群とも0.24),6分間歩行距離(363m, 359m),左室拡張終期容積/収縮終期容積(251mL/179mL, 245mL /175mL)。
治療状況:アルドステロン拮抗薬(30.9%, 32.3%),amiodarone(7.0%, 7.2%),ACE阻害薬(両群とも77.0%),ARB(20.2%, 20.8%),β遮断薬(93.2%, 93.3%),I群抗不整脈薬(0.4%, 1.1%),digitalis(24.2%, 26.7%),利尿薬(72.9%, 75.7%),スタチン系薬剤(67.2%, 67.5%)。
治療法 CRT-ICD群(1,089例):心室再同期のデバイス(Boston Scientific社)+ICDを植込んだ。ヒステレーシス機能off,下限レート40bpm,DDDモードに設定。
ICD群(731例):ICD植込み。下限レート40bpm,ヒステレーシス機能off,ペーシングモードはVVI(single chamber units)またはDDI(dual chamber units)に設定。
ベースライン時と1年後に2次元心エコーを実施。
心不全関連諸症状の診断は非盲検下に主治医が行ったが,最終的な心不全の診断は割付けを開示されていない委員会が判定。
結果 中間解析でCRT-ICD群のICD群に対する優位性が,事前に設定した範囲を超えたため,独立したデータ安全性モニタリング委員会の推奨を受け,2009年6月22日,試験は予定より早く終了した。
[CRT植込み]
CRT-ICD群の11例(1.0%),ICD群の19(2.6%)がデバイス植込みをされなかった。
クロスオーバーは173例:ICD群の91例(12.4%)がCRTを植込み(一次エンドポイント発生前が30例,心不全発生後が61例),CRT-ICD群の82例(7.5%)がCRTを植込まなかった。CRT-ICD群の14例(1.3%),ICD群の5例(0.7%)が試験期間中にデバイスを除去。途中脱落はCRT-ICD群で44例(4.0%),ICD群で55例(7.5%)だった。
[一次エンドポイント:全死亡あるいは非致死的心不全]
CRT-ICD群187例(17.2%) vs ICD群185例(25.3%)と,CRT-ICD群で有意に低かった(ハザード比0.66;95%信頼区間0.52~0.84, p=0.001)。
心不全はCRT-ICD群151例(13.9%) vs ICD群167例(22.8%)でCRT-ICD群で有意に低かったが(0.59;0.47~0.74, p<0.001),全死亡は74例(6.8%)vs 53例(7.3%)で両群間に有意差は認められなかった(1.00;0.69~1.44, p=0.99)。
[サブグループ解析]
一次エンドポイント発生リスクに虚血性心疾患患者と非虚血性心疾患患者間に差は認められなかった。有意な相関がみられたのは性別とQRSであり,男性よりも女性(p=0.01),QRS<150msよりも≧150ms(p=0.001)のほうがCRTの有効性が大きいことが示された。
[左室リモデリング]
1年後の左室拡張終期容積,左室収縮終期容積はCRT-ICD群のほうがCRT群より有意に減少し(ともにp<0.001),EFは有意に増加した(p<0.001)。
[有害事象]
植込み後の入院中にCRT-ICD群の1例が肺塞栓症のため死亡。植込み30日後までの重篤な有害事象は,気胸(CRT-ICD群1.7%,ICD群0.8%),感染症(1.1%, 0.7%),除去を要するポケット内の血腫(3.3%, 2.5%)。CRT-ICD群で植込み中に5例(0.5%)で心膜液貯留を伴う冠静脈解離がみられ,CRT-ICD植え込み後30日間で44例(4.0%)が左室リードを挿入し直した。
★結論★EFが低下しQRS幅が広い無症候性あるいは軽症患者において,ICDと併用するCRTは心不全リスクを低下する。
ClinicalTrials.gov No: NCT00180271
文献
  • [main]
  • Moss AJ et al for the MADIT-CRT trial investigators: Cardiac-resynchronization therapy for the prevention of heart-failure events. N Engl J Med. 2009; 361: 1329-38. PubMed
    Jessup M: MADIT-CRT -- Breathtaking or time to catch our breath? N Engl J Med. 2009; 361: 1394-6. PubMed
  • [substudy]
  • 左脚ブロック患者でのCRT-ICD,ICDによる4.6年後の死亡,心不全リスクは,併存疾患数の多い症例が高いが,併存数にかかわらずCRT-ICD のほうがリスクが低下。
    左脚ブロック患者において,併存疾患とCRT-ICDのICDを上回る有効性の関係を評価した結果(post hoc解析):1,214例(併存疾患数;0[147例],1[304例],2[324例],≧3[439例]。併存疾患非保有例にくらべ保有例は有意に高齢(併存疾患なし57.0歳 vs 3疾患併存例67.7歳)で,女性が少なかった(38% vs 24%)。最も多かった疾患(危険因子)は高血圧755例(CRT-ICD群32%,ICD群33%),次いで虚血性心筋症(530例。既往:心筋梗塞385例;CABG 265例;PCI 260例),糸球体濾過量>60mL/分/1.73m² 394例(32%, 33%),糖尿病362例(両群とも30%),心房性不整脈既往133例(9%, 13%),現喫煙132例。
    併存疾患数と左室収縮・拡張末期容積,EF,左房容積の改善に逆の関係がみられ,弱かったが左室同期不全(dyssynchrony)にも傾向がみられた。治療に関係なく,併存疾患が増加すると死亡,非致死的心不全(HF)リスクが上昇した(p<0.001)。
    平均4.65年の追跡結果,全併存疾患数群で死亡,非致死的HFリスクはCRT-ICD群がICD群より低下し,治療(CRT-ICD,ICD)と併存疾患数とに有意な交互作用はみられなかった(p=0.943)。併存疾患数が多い(2,≧3)例におけるCRT-ICD群のICD群とくらべた絶対リスク低下は,疾患数が少ない(0,1)例よりも大きかった:J Am Coll Cardiol. 2017; 69: 2369-79. PubMed
  • 不整脈基質とICDショック後の死亡-適切なショック作動例における死亡リスク増大に心筋の器質的変化が関与している可能性が示される。
    ICDを植込んだ1,790例において心筋の器質的変化(不整脈基質)とICDショック,死亡の関連を検討した結果(post hoc解析;平均追跡期間3.3年):適切なショック作動例(198例),不適切ショック作動例(95例),適切+不適切ショック作動例(28例),ショック非作動例(1,469例)の4群に層別。非作動例にくらべ,適切なショック作動例はICD群への割付け例が多く,左脚ブロックが少なく,男性,心室性不整脈の既往,MI既往,虚血性心筋症既往,抗不整脈薬の服用が多かった。
    Kaplan-Meier推定による4年累積ショック作動率は適切なショック13%,不適切なショック6%,適切+不適切なショック2%。3年累積死亡率は適切なショック例23%,不適切なショック例16%で,ショック非作動例と比較すると,適切なショック例(ハザード比2.28;95%信頼区間1.47~3.54)と適切+不適切ショック作動例(5.10;2.34~11.12,ともにp<0.001)はリスクが高かった。一方,適切な抗頻拍ペーシング(ATP)のみ,不適切なショック,不適切なATPのみは死亡と関連しなかった。
    心エコー評価では,適切なショック例において心筋の器質的変化の進行(ベースライン時の左房容積および左室収縮末期・拡張末期容積が大きく,1年後のリモデリングが減弱)を認めたが,不適切ショック例またはショック非作動例では認められなかった。この1年後の心エコー上の変化で調整しても,適切なショック作動例は死亡リスクが高かった(2.8;1.51~5.27, p=0.001):Eur Heart J. 2014; 35: 106-15. PubMed
  • 7年後の結果-左脚ブロック例でCRT-ICD群の長期生存率良好。
    7年後の生存率を左脚ブロックの有無により比較した結果(追跡期間中央値:本試験2.4年+試験終了後5.6年):本試験終了時の生存例1,691例(phase 1:2009年6月~’10年9月10日まで追跡),長期追跡に同意した854例(phase 2:’10年10月~’13年9月)の2段階で追跡。本試験終了後のクロスオーバーは,ICD→CRT-ICDが9%,CRT-ICD→ICDが5%。phase 2参加者の患者背景は両群で同等。
    左脚ブロック例における7年後の累積死亡率は,CRT-ICD群が有意に低く(18% vs ICD群29%;調整ハザード比0.59;95%信頼区間0.43~0.80;p<0.001),この結果は心筋症の原因(虚血の有無),性別,QRS幅の影響は認められなかった。一方,非左脚ブロック例では,CRT-ICD群では死亡リスクの低下はみられず,増加の可能性が示された(1.57;1.03~2.39;p=0.04;治療と左脚ブロックの交互作用p<0.001)。
    本試験終了時以降のランドマーク解析でも,左脚ブロック例ではCRT-ICD群で死亡リスクが低下したが,非左脚ブロック例では低下しなかった(交互作用p=0.02)。
    非致死的心不全イベントの結果も同様であった(交互作用p<0.001): N Engl J Med. 2014; 370: 1694-701. PubMed
  • β遮断薬と不適切なICD作動-3.4年で不適切なICD作動は14%。carvedilol投与例はmetoprolol投与例にくらべ不適切なATP,ショックが少なかった。
    ICDを植込んだ1,790例において,不適切なICD作動(不適切な抗頻拍ペーシング[ATP],ショック)に対するcarvedilol,metoprololの影響を評価した結果(平均追跡期間3.4年):β遮断薬の使用は93%でアドヒアランスは良好であった。
    不適切なICD作動は253例(14%)で,CRT-ICD群とICD群間に差はなかった。
    carvedilol投与例は,metoprolol投与例よりもリスクが36%有意に低かった(ハザード比0.64;95%信頼区間0.48~0.85, p=0.002)。carvedilol投与例での低下は不適切なATP(0.66;0.48~0.90, p=0.009),ショック(0.54;0.36~0.80, p=0.002)のいずれでもみられた。また,心房細動に対する不適切な作動率(86例[5%])も同例で低く(0.50;0.32~0.81, p=0.004),これはおもにATP低下によるものであった:J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 1343-50. PubMed
  • CRT-ICD,ICDとβ遮断薬-carvedilol投与例はmetoprolol投与例にくらべ心不全による入院,死亡リスクが低い。特にLBBB例で低い。
    carvedilol,metoprolol以外のβ遮断薬投与例,β遮断薬非投与例,CRT-ICD,ICDを植込まなかった305例を除外して平均3.4年追跡した結果:carvedilol群1,077例(71.1%)はmetoprolol群438例(29.9%)にくらべ,平均年齢が有意に低く(63.5歳 vs 65.0歳;p=0.013),女性が多く(29% vs 21%),虚血性・NYHA I~II度*が少なく,非虚血性・NYHA II度*が多く,前年度の入院(p=0.001),CABGおよび心筋梗塞既往*が少なかった。また,同群では高血圧,心室性不整脈が有意に少なく,米国での植え込みが多かった。 * p<0.001
    ・平均投与量:carvedilol群(ベースライン時18mg;0.22mg/kg→最初の増量13mg),metoprolol群(66mg;0.75mg/kg→16mg)。クロスオーバー92例(carvedilol群→metoprolol群24例,metoprolol群→carvedilol群68例)。
    一次エンドポイントはcarvedilol群243例(23%)vs metoprolol群132例(30%)で,carvedilol群はmetoprolol群より心不全による入院,死亡が30%有意に低かった(ハザード比0.70;95%信頼区間0.57~0.87, p=0.001)。うち,死亡は10% vs 11%。
    CRT-ICD例では0.61;0.46~0.82(p=0.001),CRT-ICD・左脚ブロック(LBBB)例:0.51;0.35~0.76(p<0.001)。
    二次エンドポイントである心室性不整脈,心室性頻拍は22% vs 26%:0.80;0.63~1.00(p=0.050)。
    carvedilol群と一次エンドポイントとの関連は用量依存的で,さらにCRT-ICD・LBBB例で認められたが,metoprolol群にはみられなかった:J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 1518-26. PubMed
  • CRT-ICDとEF-CRT-ICDの有効性はEF(>30%を含む)を問わないが,EFが良好な症例のほうがより有効な可能性が示唆される。
    登録基準は左室駆出率(EF)≦30%で登録前に登録施設で評価したが,全例をその後コアの研究施設で心エコーで測定したところEF>30%例が同定された。EFを3群:>30%(696例[38%];平均年齢65.3歳・女性28%),26~30%(914例[50.5%];64.3歳・24%),≦25%(199例[11%];61.4歳・18%)にわけて,心エコー上の変化(左室拡張末期容量:LVEDV)を解析した結果:ベースライン時のEFとQRS,LVEDV,左室収縮末期容量は逆相関。
    EF≦25%例は一次エンドポイントのリスクが有意に高かった:26~30%例より55%,>30%例より66%リスクが上昇したが,26~30%例と>30%例のリスクは同等であった。
    多変量解析後,CRT-ICD群ではICD群にくらべ, EF>30%例で心不全,死亡リスクが44%,26~30%例で33%,≦25%例で43%それぞれ有意に低下した(治療-EFの交互作用の全p>0.10)。
    1年後のCRT-ICD群でのLVEDVの減少はEFの増加と直接的に関連した(EF>30%例:減少率22.3%,26~30%例:20.1%,≦25%例:18.7%):J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 936-44. PubMed
  • CRT-ICDと心室頻拍(VT)リスク-CRT-ICDにより初発は有意に低下するが,VT再発例では抑制せず,非LBBB例では続発不整脈リスクを増大する可能性がある。
    CRT-ICDによる心拍数≧180拍/分の心室性頻拍イベント(VTEs)再発リスクに対する影響を検討した結果:1回以上のVTEs発生例は327例:1回(179例・CRT-ICD群にランダム化されたもの56%);2回(57例・54%);≧3回(91例・56%);非発生例(1,493例・61%)。VTEs発生例と非発生例で有意差があった患者背景:≧65歳(1回;48%,2回;51%,≧3回;36% vs 非発生例55%),女性(15%, 14%, 14% vs 42%),1回以上の心不全の発症(27%, 32%, 38% vs 15%),心筋梗塞既往(52%, 46%, 55% vs 15%),EF≦25%(13%, 21%, 22% vs 10%),LVEDV>240mL/m²(58%, 59%, 53% vs 44%)。
    CRT-ICDはVTEsのリスクを29%有意に低下した(p=0.003)。QRS形状で評価すると左脚ブロック(LBBB)例で顕著で(ハザード比0.58, p<0.001),非LBBB例では有意な有効性は認められなかった(1.05, p=0.82);QRS形状と治療の交互作用p=0.02。
    LBBB例ではVTEs初発後の続発VTEsリスクに違いはなかったが(0.98, p=0.95),非LBBB例では有意にリスクが増大した(3.62, p=0.002);QRS形状と治療の交互作用p=0.009。VTEsの初発はその後の心不全,死亡リスクと関連しないが,再発はリスクを上昇させる:J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 1809-16. PubMed
  • CRT-ICDとQOL-ICDより改善。特にLBBB例で改善が大きい。
    Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)で,6つの側面(身体的制約,症状の安定,症状の頻度,症状の負担,QOL,社会的制約)と3つのサマリースコア(症状のトータル[total symptom],クリニカルサマリー,全体のサマリー)で評価した1,699例・平均追跡期間2.4年の結果:CRT-ICD群ではICD群にくらべKCCQの全評価項目が有意に改善した(各項目p<0.05)。このCRT-ICD群のより大きな改善は左脚ブロック(LBBB)例(1,204例)で有意であったが(p<0.01),非LBBB例(494例)では有意な改善はみられなかった:J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 1940-4. PubMed
  • CRT-Dによる左房逆リモデリングが心房性頻拍リスクを低下。
    2.5年後の累積推定心房頻拍性不整脈(AT)発生率は,1年後のCRT-D群の左房容積(LAV)high responder(左室収縮終末期容積≧25%減少)例は低く(3%),low responder(<25%減少)例は高く(9%),ICD単独治療例は7%であった(7%);p=0.03。
    多変量解析の結果,CRT-D群のhigh LAV responder例はその後のAT発生リスクがICD単独例に比べ53%有意に低下した(p=0.01)が,low responder例では有意なリスク低下はみられなかった。AT発症例は一次エンドポイントおよび全死亡リスクが増大した:J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 1682-9. PubMed
  • QRS形態によりCRT-Dが有効な例を特定できるか?-左室機能の低下したQRS幅延長のある軽症心不全で左脚ブロックを有する患者でCRT-Dにより全死亡,非致死的心不全リスクが有意に低下。
    左脚ブロック(LBBB)は1,281例(70%),非LBBB:右脚ブロック228例(13%),その他の心室内伝導障害308例(17%)別にみた結果:CRT-DをICD単独治療と比較した一次エンドポイントのハザード比:LBBB群0.47(95%信頼区間0.37~0.61, p<0.001),非LBBB群1.24(0.85~1.81, p=0.257)。
    さらにCRT-DはLBBB群で心室頻拍,心室細動,死亡も有意に抑制したが(0.69, p=0.002),非LBBB群ではベネフィットは認められなかった(1.21, p=0.254):Circulation. 2011; 123: 1061-72. PubMed
  • 軽症心不全患者における心室再同期療法は,男性よりも女性で著効。
    患者背景性差(女性453例,男性1,367例:平均年齢;64歳,65歳,血圧;122/71mmHg, 123/72mmHg):男性に比べ女性のほうが,非虚血性心筋症および左脚ブロックが多く,腎機能障害が少ない。
    結果:一次エンドポイントの発生はCRT-ICD群で女性29/275例(11%),男性159/814例(20%),ICD群ではそれぞれ51/178例(29%),137/553例(25%)。女性は男性よりもCRT-ICDの有効性が大きかった(女性:ハザード比0.31, 95%信頼区間0.19~0.50, p<0.001,男性:0.72, 0.57~0.92, p<0.01;交互作用のp<0.01)。また,女性は全例での解析結果に比べて心不全(ハザード比0.30, p<0.001),全死亡(0.28, p=0.02)の抑制効果が大きかったが,男性では変わらなかった。
    心エコー所見による解析では,女性は男性よりもCRT-ICDによる心臓の逆リモデリング効果が大きく,QRS≧150ms,左脚ブロックのある女性で全死亡のリスクが著明に低下した(それぞれ0.18, p<0.05;0.22, p=0.01):J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 813-20. PubMed
  • 心室再同期療法-除細動器(CRT-ICD)はICD単独に比べ心サイズ,心機能を改善。
    心エコーをベースライン時と1年後に実施した1,372例(CRT-ICD群749例,ICD単独群623例)の解析結果:CRT-ICD群はICD単独群に比べ,逆リモデリング効果,心機能改善効果が大きい:左室拡張末期容積指標(-26.2 vs -7.4mL/m²),左室収縮末期容積指標(-28.7 vs -9.1mL/m²),EF(11% vs 3%),左房容積指標(-11.9 vs -4.7mL/m²),右室面積変化率(8% vs 5%)のいずれもCRT-ICD群のほうが有意に改善した(全p<0.001)。
    1年後の左室拡張末期容積の改善はその後の死亡,心不全の予測因子であった(左室拡張末期容積が10%減少するごとにリスクが40%低下,p<0.001):Circulation. 2010; 122: 985-92. PubMed

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収載年月2009.10
更新年月2017.07