循環器トライアルデータベース

ISAR-TEST-4
Intracoronary Stenting and Angiographic Results: Test Efficacy of 3 Limus-Eluting Stents-4

目的 薬剤溶出生分解性ポリマーステントの安全性と有効性を,薬剤溶出耐久性ポリマーステントと比較する非劣性試験。
一次エンドポイントは12か月後の心臓死,責任血管に関連する心筋梗塞,責任病変の血行再建術の複合。
コメント Eur Heart J. 2009; 30: 2441-9. へのコメント
薬剤溶出耐久性ポリマーステント(PP-DES)の問題点は,耐久性ポリマーが長時間冠動脈内に存在することにより局所の炎症や血管の治癒過程が遅延し,ステント内血栓症や再狭窄がPCIの1年後以降に生じうることである。ISAR stentプロジェクトは耐久性ポリマー以外の再狭窄を生じない新しいDES coatingを探求するためにある。これまでポリマーフリーのDESでは再狭窄率は低いが従来のDESとの非劣性は認められなかった。ステントとポリマーが共に生分解性であるプラットフォームも開発され期待される結果が得られつつあるが,骨格としてのメタルの存在はメカニカルサポートや再狭窄率の低下に必要と考えられている。生分解性ポリマーcoatingのDES(BP-DES)は次世代のDESとして注目を集めており,ISAR-TEST-3 (n=605)とLEADERS (n=1707)として既に報告されている。
本研究は,2種類のPP-DES(Cypher, Xience)とrapamycinのBP-DESとの対比をより大規模に行っており,1年後においてもPP-DESとBP-DESの非劣性が示され,各PP-DESとBP-DESとの非劣性も確認されている。
今回の対象は,ACS例が含まれB2/C病変が70%以上で約1/3にステントが複数挿入されreal worldに近いが,ステント内狭窄・左主幹部病変・バイパス病変は除外されている。また,手技の成功率やfollow-up造影後のlate loss等のデータが示されていない。BP-DESの臨床的有用性は今のところ推定でしかない。著者らは以前に他のBP-DESがCypherと非劣性であることを示したが,2年後には安全性の問題を報告している。生分解性ポリマーは6-9週後に分解されるので,ポリマーフリーDESやBMSのように6-8ヵ月以降のlate lossはなくなるか新生内膜の収縮により軽度の内腔の拡大が期待される。しかし,他のBP-DESを用いたISAR-TEST-3では逆に6-8ヵ月後から2年後の間にlate lossを生じている。ポリマーの分解に伴って炎症反応が局所に生じたか,モノマーによる炎症反応が持続していることも考えられる。BP-DESがPP-DESと非劣性であるだけではBP-DESの有益性が明らかとはいえないので,本研究やLEADERSの5年間ぐらいの長期follow-upの結果が待たれる。(星田
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設(ドイツの地域第三次心臓センター2施設)。
期間 追跡期間は1年。
登録期間は2007年9月~’08年8月。
対象患者 2,603例・3,372病変。>18歳の虚血症状を示す患者または心筋梗塞患者で,固有冠動脈の狭窄率≧50%の新規病変を有するもの。
除外基準:左主幹部病変,心原性ショック,余命1年未満またはプロトコール・コンプライアンス不良となる悪性腫瘍あるいはその他の合併症, everolimusおよびrapamycinへのアレルギー,妊娠。
■患者背景:平均年齢(BP-DES群66.7歳,PP-DES群66.8歳),男性(75.3%, 76.8%),糖尿病(29.0%, 28.9%),高血圧(69.1%, 67.6%),高コレステロール血症(66.8%, 64.9%),喫煙(15.6%, 16.5%),心筋梗塞既往(両群とも28.6%),CABG既往(両群とも9.9%),多枝病変(86.5%, 86.3%),臨床状況:心筋梗塞(12.9%, 10.7%),不安定狭心症(28.8%, 29.1%),安定狭心症(58.4%, 60.2%),多枝病変へのPCI(28.9%, 26.1%),EF(53.1%, 53.6%)。
■血管造影背景:標的血管:左前下行枝(BP-DES群44.7%, PP-DES群44.3%);左回旋枝(27.0%, 26.8%);右冠動脈(28.3%, 28.9%),分岐部病変(25.0%, 22.7%),入口病変(15.9%, 18.0%),AHA/ACC病変分類のB2/C複合病変(72.8%, 72.1%),病変長(14.8mm, 15.0mm),血管径(2.79mm, 2.80mm)。
治療法 PCIの適用が決定後速やかにランダム化。
BP-DES群(1,299例・1,689病変):rapamycin溶出生分解性ポリマーステント,PP-DES群(1,304例・1,683病変):rapamycin溶出耐久性ポリマーステント(Cypher;652例),everolimus溶出耐久性ポリマーステント(Xience;652例)。
手技の2時間以上前に全例にclopidogrelを600mgを経口前投与。周術期にaspirin,heparinまたはbivalirudinを静注,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の使用は手技者に委ねた。手技後はaspirin 200mg/日を無期限,clopidogrel 150mg/日を3日間または退院まで,以後75mg/日を最低6か月持続投与。β遮断薬,ACE阻害薬,スタチン系薬剤等は担当医の判断とした。追跡血管造影を6~8か月後に実施。
結果 [手技関連]
バルーン径(両群とも3.10mm),最大バルーン圧(両群とも15.5)。
最小血管径(BP-DES群:手技前0.98mm→手技後2.58mm,PP-DES群:0.98mm→ 2.59mm。
[一次エンドポイント:1年後の心臓死,責任血管に関連する心筋梗塞,責任病変の血行再建術の複合]
BP-DES群176例(13.8%),PP-DES群183例(14.4%)で,BP-DES群のPP-DES群に対する非劣性が認められた(非劣性p=0.005;相対リスク0.96;95%信頼区間0.78~1.17,優位性p=0.66)。
[その他]
心臓死または責任血管に関連する心筋梗塞(81例[6.3%]vs 80例[6.2%]:1.01;0.74~1.38,優位性p=0.94),責任病変血行再建術再施行(109例[8.8%]vs 116例[9.4%]:0.93;0.72~1.21,優位性p=0.58),ステント血栓症(ARC分類definite/probable;13例[1.0%]vs 19例[1.5%]:0.68;0.34~1.38,優位性p=0.29)のいずれも両群間に有意差は認められなかった。
サブグループ解析でも,Cypher群とXience群のどちらもBP-DES群と有意な差は認められなかった(BP-DES群13.8% vs Cypher群15.2%:0.90;0.71~1.16, p=0.43,vs Xience群13.6%:1.01;0.78~1.31, p=0.94)。
★結論★薬剤溶出生分解性ポリマーステントの1年後の安全性と有効性は薬剤溶出耐久性ポリマーステントに劣らなかった。
ClinicalTrials.gov No: NCT00598676
文献
  • [main]
  • Byrne RA et al for the Intracoronary Stenting and Angiographic Results: Test Efficacy of 3 Limus-Eluting Stents (ISAR-TEST-4) Investigators: Randomized, non-inferiority trial of three limus agent-eluting stents with different polymer coatings: the Intracoronary Stenting and Angiographic Results: Test Efficacy of 3 Limus-Eluting Stents (ISAR-TEST-4) Trial. Eur Heart J. 2009; 30: 2441-9. PubMed
    Kugelmass AD: The quest for a ‘better mousetrap’. Eur Heart J. 2009; 30: 2431-2. PubMed
  • [substudy]
  • 薬剤溶出生分解性ポリマーステントの安全性と有効性は,10年後も薬剤溶出耐久性ポリマーステントと同等。
    sirolimus溶出生分解性ポリマーステントとeverolimus溶出耐久性ポリマーステントのMACEおよびステント血栓症の10年後発生率はほぼ同等であったが,第1世代のsirolimus溶出耐久性ポリマーステントは,MACE,ステント血栓症ともに発生率が高かった。10年後の追跡が可能であったのは83%(追跡期間中央値10.6年)。
    [10年時点の一次エンドポイント* 発生率]
    sirolimus生分解性ポリマーステント(Yucon Choice PC:BP-SES群)47.7% vs. everolimus溶出耐久性ポリマーステント(Xience:PP-EES群)46.0% vs. sirolimus溶出耐久性ポリマーステント(Cypher:PP-SES群)54.9%(P =0.003)。BP-SES群とPP-EES群の一次エンドポイント発生率は,PP-SES群にくらべ,有意に低下した[ハザード比(HR):BP-SES群 vs. PP-SES群0.82,PP-EES群 vs. PP-SES群0.79]。
    * MACE:全死亡,MI,責任病変の血行再建術の複合。
    [10年時点のdefinite/probableステント血栓症の発生率]
    BP-SES群,PP-EES群でいずれも類似していた一方,PP-SES群で高かった(1.8% vs. 2.5% vs. 3.7%)[HR:BP-SES群 vs. PP-SES群0.50,PP-EES群 vs. PP-SES群0.70,BP-SES群 vs. PP-EES群0.71]。
    Kufner S, et al on behalf of the ISAR-TEST 4: Ten-year clinical outcomes from a trial of three limus-eluting stents with different polymer coatings in patients with coronary artery disease. Results from the ISAR-TEST 4 randomized trial. Circulation 2018. DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.118.038065
  • 3年後も薬剤溶出生分解性ポリマーステントの安全性と有効性は薬剤溶出耐久性ポリマーステントと同等。
    一次エンドポイント発生率(BP-DES群20.1% vs PP-DES群20.9%, p=0.59),definite/probableステント血栓症(1.2% vs 1.7%, p=0.32)ともに,両群で同等であった。PP-DES群のeverolimus溶出ステント群sirolimus溶出ステント群の比較でも,一次エンドポイント(19.6% vs 22.2%, p=0.26),definite/probableステント血栓症(1.4% vs 1.9%, p=0.51)ともに有意な群間差は認められなかった。
    Byrne RA, et al for the ISAR-TEST 4 Investigators: Biodegradable polymer versus permanent polymer drug-eluting stents and everolimus- versus sirolimus-eluting stents in patients with coronary artery disease 3-year outcomes from a randomized clinical trial. J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 1325-31. PubMed

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収載年月2009.10
更新年月2018.12