| SYNTAX |
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| Synergy between Percutaneous Coronary Intervention with Taxus and Cardiac Surgery |
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血行再建術のみが有効な重症冠動脈疾患(未治療の左主幹部病変,3枝病変)における至適な血行再建戦略を評価する。 CABGに対するPCI(薬剤溶出性ステント:DES)の非劣性試験。 一次エンドポイントは1年後の主要有害心イベント:全死亡,心筋梗塞(MI),脳卒中,血行再建術再施行の複合。 |
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SYNTAX試験は,PCI/CABGの既往例,急性心筋梗塞例,合併手術を要する患者という3項目のminimal exclusion criteriaで左主幹部疾患および3枝疾患をスクリーニングし(all-comer design),心臓外科医とインターベンション施行医がどちらの治療も施行可能と判断すれば,TAXUS™を用いたPCIかCABGに無作為に割り付けられ,どちらか一方の治療のみ可能という場合には,レジストリー群に登録され,追跡されるというプロトコルである。このきわめて重要で施行困難な試験を完遂させたSerruys先生を始めとする試験関係者の皆様に敬意を表したいと思う。 従来のPCIとCABGを比較するランダム化試験(RCT)では除外基準も多く,心臓外科サイドからはこれらのRCTはPCIを施行しやすい低リスクの患者を対象とした試験で,実地臨床における重症例には適応できないという批判があった。SYNTAX Trialはall-comer designを取ることでこの種の批判を受け付けず,試験結果の一般適用性を確保した。 再血行再建も含めた主要エンドポイントについてTAXUS™を用いたPCIはCABGに対して非劣性を達成することができなかった。SYNTAX 試験のフォーマルな結論としては「再血行再建を含めた1年のMACEの発生率について,CABGはTAXUS™を用いたPCIよりも優れている」ということになる。しかしながら,左主幹部疾患/3枝疾患で,死亡/心筋梗塞/脳卒中についてPCIとCABGで大きな差が認められなかったという事実は画期的である。「SYNTAX試験は死亡/心筋梗塞/脳卒中というハードエンドポイントを評価するに十分な検出力を有していない」と杓子定規に結論することは可能だが,それでも1800例の症例数というのは従来のCABG versus Stent trialsで最大規模の試験である。また英国で行われた糖尿病患者におけるCABG versus Stent trialであるCARDia試験でも,1年の死亡/心筋梗塞/脳卒中の頻度はCABG群10.2%,Stent群11.6%と有意差を認めていない(p=0.63)。個人的には,これらの結果は,今後報告されるFREEDOM試験やCOMBAT試験で再確認されると予想している。これらの試験ではハードエンドポイントが主要エンドポイントとなっており,またSYNTAX試験やCARDia試験も含めたメタ解析は強力なエビデンスとなるであろう。 我々としては,この重要な試験の結果を実地診療にどう生かすのかが求められる。まず左主幹部疾患/3枝疾患で,死亡/心筋梗塞/脳卒中についてPCIとCABGで大きな差が認められず,脳卒中はPCI群で有意に低かったという点は極めて重要である。2回のPCI施行の必要性と脳卒中リスクを伴う1回の大手術のどちらが多くの患者にとって魅力的かは自明のように思う。 また左主幹部疾患+0枝および左主幹部疾患+1枝のグループで再血行再建を含めた主要エンドポイントに差を認めなかった点は重要である。「左主幹部疾患に病変があればCABGの絶対適応」という常識の終わりの始まりであろうか。 1年という期間はPCIとCABGの長期成績を比較するに十分な追跡期間ではなく,CABGのイベント予防効果は経年的に増大するとの主張もある。確かにDESについてはvery late stent thrombosisやlate catch-upの問題があり,再血行再建を含めたエンドポイントについてはイベント発生率の差が経年的に拡大する可能性がある。しかしながら死亡率については従来のBMSとCABGの比較試験で1年以降にイベント曲線が乖離するという証拠はないし,BMSとDESの比較試験の結果も同様だ。もちろんSYNTAX試験の3年,5年の追跡結果をみることの重要性は言うまでもない。 本試験結果を日本の実地臨床に外挿するにあたってはいくつかの重要なポイントがある。まず,群間差はなかったものの,PCI群のステント血栓症の頻度が著しく高いことを指摘しなければならない。1年のステント血栓症(definite)発症率3.2%は従来の欧米からの報告では想定の範囲内であるが,日本の実地臨床では考えられないほど高い数字である。J-Cypher Registryに登録された患者でSYNTAX equivalentな患者の1年のステント血栓症の頻度は1%未満であった。SYNTAX試験のPCI群の1年死亡率は4.4%,CABG群は3.5%と群間差はなかったが,1ヵ月の死亡率はCABG群に比しPCI群で高い傾向がKaplan-Meier曲線から読み取れる。PCI群の早期死亡率がCABG群に比べ本当に高いとすれば,左主幹部疾患/3枝疾患におけるPCIの意義は低下せざるを得ない。今後,死因の詳細を評価する必要があるが,ステント血栓症が重要な死因の一つである可能性は十分に考えられ,心筋梗塞についても同様のことが言える。 また日本においては慢性完全閉塞病変に対してPCIが施行されるケースが多く,現時点で少なくとも一部の施設ではSYNTAX試験におけるよりもはるかに高い頻度で左主幹部疾患/3枝疾患においてPCIが選択されていると推定される。PCI群で慢性完全閉塞病変を有する症例,特に慢性完全閉塞病変のPCIが不成功に終わった症例のアウトカムをぜひ知りたいところである。 今後の重要な課題としては左主幹部疾患/3枝疾患というくくりでPCIかCABGかを論じるのではなく,左主幹部疾患/3枝疾患の中でもどのような患者にCABGの有用性が高いのかということを突き詰める必要がある。論文中にもSYNTAX Scoreの高い患者では,PCI群において再血行再建の頻度が増大するのみならず,死亡/心筋梗塞/脳卒中の頻度も高くなる傾向が指摘されている。J-Cypher Registryのデータからも,シロリムス溶出性ステントを用いても総ステント長の長い患者における再血行再建の頻度は依然として高く,左主幹部分岐部で回旋枝起始部にもステントを留置するTwo-stents アプローチを採った患者で心臓死の頻度が高い可能性が指摘されている。SYNTAX試験では冠動脈病変の複雑化がCABG後の予後に影響しないことが明確に示されている。我々には,左主幹部疾患/3枝疾患の中でPCIを行うことで過剰なリスクをとることになる患者をきっちりと見極める能力が求められているのである。(木村) |
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無作為割付け,多施設(欧州17か国,米国の85施設),intention-to-treat解析。 |
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追跡期間は12か月。 登録期間は2005年3月~2007年4月。 |
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1,800例(欧州1,555例,米国245例)。CABG,PCIのいずれでも同等の解剖学的血行再建が達成できるもの;de novo病変;≧50%の狭窄;血管径>1.5mm;安定/不安定狭心症あるいは非典型的胸痛;無症候の場合は心筋虚血陽性反応が必要。 除外基準:PCI,CABGの既往;急性心筋梗塞;同時に心臓術を行う必要のあるもの。 ■患者背景:平均年齢(CABG群65.0歳,PCI群65.2歳),男性(78.9%, 76.4%),糖尿病治療例(24.6%, 25.6%),インスリンが必要な例(10.4%, 9.9%),メタボリックシンドローム(45.5%, 46.0%),MI既往(33.8%, 31.9%),血圧≧130/85mmHg(64.0%, 68.9%;p=0.03),高コレステロール血症(77.2%, 78.7%),トリグリセライド≧150mg/dL(38.7%, 32.3%;p=0.007),HDL-C:男性<40mg/dL,女性<50mg/dL(52.5%, 46.2%;p=0.01),安定狭心症(57.2%, 56.9%);不安定狭心症(28.0%, 28.9%),EF<30%(2.5%, 1.3%;p=0.08)。 血管造影背景:SYNTAXスコア*(29.1, 28.4);病変数(4.4, 4.3),完全閉塞(22.2%, 24.2%),分岐部病変(73.3%, 72.4%)。 手技関連:施行までの時間(17.4日,6.9日;p<0.001),手技所要時間(3.4時間,1.7時間;p<0.001),手技後の入院期間(9.5日,3.4日;p<0.001),完全血行再建(63.2%, 56.7%;p=0.005)。 * 血管造影所見(病変部位や病変数,複雑病変など)によってスコア化し,冠動脈疾患の複雑構造を分類し解剖学的特徴を明確にするツール。スコアが高いほど複雑度が高い(≦22;低スコア,23~32;中間スコア,≧33;高スコア)。 |
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心臓外科医とインターベンション心臓医が病変を評価。 CABG群(897例),PCI群(903例):paclitaxel溶出ステント(TAXUS ExpressあるいはTAXUS Liberte)。 ランダム化は左主幹部病変の有無,糖尿病治療(経口血糖降下薬,インスリン)例で層別した。 CABG,PCIのいずれかのみが適応な症例は並行して行われているnested 登録研究(CABG不適応例用のPCI登録研究,PCI不適応例用のCABG登録研究)に組込んだ。 |
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解析例はCABG群849例(94.6%),PCI群891例(98.7%)。 [手技後の循環器関連治療状況] aspirin:CABG群(退院時88.5%→手技から1か月後85.4%→ランダム化から6か月後82.7%→ 12か月後84.3%),PCI群(96.3%→ 93.5%→ 93.2%→ 91.2%);いずれの時点もp<0.001。 チエノピリジン系薬剤:CABG群(19.5%→ 18.4%→ 16.1%→ 15.0%),PCI群(96.8%→ 95.5%→ 91.3%→ 71.1%);いずれの時点もp<0.001。 全抗血小板薬:CABG群(23.7%→ 21.2%→ 18.4%→ 17.2%),PCI群(97.0%→ 95.8%→ 91.4%→ 72.8%);いずれの時点もp<0.001。 非チエノピリジン系薬剤:CABG群4.8%,PCI群1.9%,warfarin:7.1%, 2.6%,スタチン系薬剤:74.5%, 86.7%,β遮断薬:78.6%, 81.3%(p=0.17),ACE阻害薬:44.6%, 55.1%,Ca拮抗薬:18.4%, 25.8%,ARB:7.0%, 13.3%,amiodarone:12.8%, 1.5%:β遮断薬以外の全p<0.001。 [一次エンドポイント:1年後の全死亡,MI,脳卒中,血行再建術再施行] CABG群12.4% vs PCI群17.8%とCABG群の方が有意に抑制された(相対リスク[RR]1.44;95%信頼区間1.15~1.81, p=0.002)が,これは主にPCI群で血行再建術再施行率(5.9% vs 13.5%:RR 2.29;1.67~3.14, p<0.001)が有意に高かったためであった。再施行した手技は両群ともPCIが多かった:CABG群(CABG 1.3%, PCI 4.7%),PCI群(CABG 2.8%, PCI 11.4%)。 その他のエンドポイントは,死亡:3.5% vs 4.4%(RR 1.24;0.78~1.98, p=0.37);心原性死亡(2.1% vs 3.7%, p=0.05),脳卒中:2.2% vs 0.6%(RR 0.25;0.09~0.67, p=0.003),MI:3.3% vs 4.8%(RR 1.46;0.92~2.33, p=0.11)。 複合エンドポイントの経時的発生率:CABG群(入院中5.4%→ 30日後5.2%,6か月後9.9%),PCI群(4.4%→ 6.0%→ 12.4%);6か月後RR 1.26(0.96~1.64, p=0.09)。 [グラフト閉塞,ステント血栓症] 急性期(≦1日):CABG群0.3%,PCI群0.2%,早期(2~30日後):0.3%, 2.0%;p=0.001,晩期(31~365日):2.5%, 1.0%;p=0.02。 [SYNTAXスコアによる転帰] CABG群では,低スコア例での一次エンドポイントは14.7%,中間スコア例12.0%,高スコア例10.9%と発生率に有意差はみられなかったが,PCI群では高スコア例(23.4%)は低スコア例(13.6%;p=0.002),中間スコア例(16.7%;p=0.04)と比べ有意に増加した。 手技とSYNTAXスコア間には有意な相互関連がみられた(p=0.01):低スコア,中間スコア例では一次エンドポイントにおける手技間差はなかったが,高スコア例ではPCI群で有意に増加した。 ★結論★3枝病変,左主幹部病変の1年後の心血管疾患抑制においてPCIのCABGに対する非劣性は認められず,これらの病変ではCABGがいぜんとして標準治療である。 ClinicalTrials.gov No: NCT00114972 |
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- [main]
- Serruys PW et al for the SYNTAX investigators: Percutaneous coronary intervention versus coronary-artery bypass grafting for severe coronary artery disease. N Engl J Med. 2009; 360: 961-72. PubMed
- [substudy]
- 新規左主幹部に対するPCIの1年後の有効性はCABGと同等。SYNTAX scoreはPCIの転帰を,EuroSCOREはPCI,CABG両治療の転帰を予測。
未治療左主幹部病変(705例:PCI群357例・65.4歳,CABG群348例・65.6歳)での結果:PCI群ではCABG群に比べて喫煙例が少なく(17.9% vs 24.0%),高コレステロール血症が多かった(81.0% vs 75.4%)。また同群ではランダム化から手技までの所要時間,手技時間,手技後の入院期間が有意に短かったが,完全な血行再建率は低かった(64.5% vs 72.5%, p=0.02)。
1年後の主要有害心イベント:PCI群15.8% vs CABG群13.7%:群間差2.1%;95%信頼区間-3.2~7.4%(p=0.44)。
脳卒中はCABG群で有意に高く(0.3% vs 2.7%:2.4%;-4.2~-0.1%, p=0.009),血行再建術再施行はPCI群で有意に増加(11.8% vs 6.5%:5.3%;1.0~9.6%, p=0.02)。
ベースライン時のSYNTAXスコアが高い症例はPCIの転帰が不良であったが,CABGとの関連はみられなかった。一方,EuroSCOREは両治療の転帰を有意に予測した:Circulation. 2010; 121: 2645-53. PubMed
- 糖尿病患者では心血管リスクは血行再建術再施行増加によりPCI群で増大するが,血行再建術を除外すると糖尿病,非糖尿病いずれでもPCIとCABG間に有意差なし。
糖尿病治療例452例(CABG群221例,PCI群231例):2型糖尿病患者が94%。インスリン治療182例(40.3%),経口血糖降下薬のみ270例(59.7%),非糖尿病1,348例(食事療法のみの糖尿病59例を含む)。
糖尿病患者の1年後の一次エンドポイント:CABG群14.2% vs PCI群26.0%:相対リスク1.83(1.22~2.73, p=0.003),非糖尿病患者:11.8% vs 15.1%:1.28(0.97~1.69, p=0.08)。1イベントを抑制するためのCABGのNNTは糖尿病患者9例,非糖尿病31例。血行再建術再施行は糖尿病(6.4% vs 20.3%, p<0.001)・非糖尿病(5.7% vs 11.1%, p<0.001)いずれもPCI群が有意に多く,複合エンドポイントの増加につながった。
安全性のエンドポイント(死亡,脳血管疾患,MI)は,糖尿病(10.3% vs 10.1%, p=0.96)・非糖尿病(6.8% vs 6.8%, p=0.97)いずれでもCABG,PCI群間に有意差はなかった。症候性グラフト閉塞,ステント血栓症も治療群間に差はなし。
非糖尿病患者ではCABG群で脳卒中のリスクが増大(2.2% vs 0.5%, p=0.006)し,高度の複雑病変を有する糖尿病患者でCABG群に比べPES群で死亡リスクが上昇した:J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 1067-75. PubMed
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