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末梢動脈閉塞/狭窄症例において,遠隔期の再狭窄予防効果をpaclitaxelコーティングバルーンと非コーティングバルーン+paclitaxel含有造影剤とを比較する。 一次エンドポイントは6か月後の晩期損失。 |
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薬剤コーティングバルーンは“back to the future”と称される。すなわち,旧式の(といっても,現在でもインターベンションの主役の一つではあるが)balloon angioplastyと最新の薬剤コーティングおよび溶出の技術が融合して誕生した,新しい発想での再狭窄への挑戦である。 浅大腿動脈(SFA)に対する血管形成術(PTA)は,成功率は高いものの再狭窄率も40~60%と高率であった。びまん性のlong lesionが多い,閉塞性病変が多い,屈曲・伸展・捻転・圧排などステントに対するストレスが多い,distal run-offが悪い,等がその要因と考えられる。最近のNitinol stent(BMS)では20%前後との報告もあるが,経時的に再狭窄が増えていくのもまた末梢動脈のPTA の特徴である。冠動脈と同様の結果を期待して浅大腿動脈に応用されたsirolimus-eluting stent(SES)は,しかし,SIROCCO II trialで18か月後の再狭窄率・TLR率がNitinol BMSを上回ることはなかった。また慢性期のstent fractureも問題点として指摘されている。 THUNDER trialは,冠動脈のステント再狭窄に対するPACCOCATH ISR trial と同じグループから報告されたpaclitaxelを用いたdrug-eluting balloon(DEB)のSFA-PTA への応用である。PACCOCATH ISRでもそうであったが,晩期損失の小ささに驚かされる。バルーンによる血管形成術の再狭窄の機序から考えても,非ステント群でのわずか0.3mmの損失は驚異的である。リコイルや陰性リモデリングも抑制されるということなのか,あるいは解離が“修復”されるのか,そのメカニズムが知りたいところである。 臨床経過ではいくつか気になるところがある。一つは6か月後のABIやRutherford 臨床分類に有意差が無かったにも関わらず,再血行再建に大差がついた点である。その施行基準が明確に示されていないことから推測すると,血管造影所見がその判断に影響を与えた可能性がある。また,DEB 群での再血行再建率が24か月後には3倍以上(4% →15%)に増加している。従って,さらに長期の経過観察が必要と思われる。 現在までのところDEB の成績は小グループからの報告に限定されている。大規模試験によって今回と同様の有効性・安全性が示されれば,ステントによるthrombosisやfracture といった呪縛から解き放たれることになり,まさにback to the future が現実のものとなる。(中野・中村・永井) |
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無作為割付け,二重盲検*,多施設(3施設),intention-to-treat解析。 * ただしバルーンの形状から担当医はコーティングの有無が判明できる。 |
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追跡期間は6か月。登録期間は2004年6月~’05年6月。 |
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154例。18~95歳。症候性末梢動脈疾患(Rutherford慢性虚血肢臨床分類[scale 0~6]のstages 1~5);浅大腿動脈,膝窩動脈,あるいは両動脈にある1か所以上の新規/再狭窄病変(病変長が2cm以上,70%以上の狭窄)を有するもの。 除外基準:灌流不良;大腿動脈の閉塞;急性発症など。 ■患者背景:平均年齢68歳,男性66%,糖尿病49%,高血圧80%以上,喫煙例24%,足関節-上腕血圧比(ABI) 0.5,Rutherford stage 3.3,完全閉塞27%,再狭窄病変36%,狭窄率90%,病変長7.4cm。 |
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全例に標準の非イオン性造影剤を使用して脚の血管造影を施行。 paclitaxelコーティングバルーン群(以下コーティングバルーン群;48例):paclitaxel 3μg/mm2をバルーンの表面に塗布し,標準の非イオン性造影剤を使用,非コーティングバルーン+paclitaxel含有造影剤群(以下paclitaxel造影剤群;52例):造影剤100mL+paclitaxel 17.1mg,対照群(54例):標準の非コーティングバルーン+非イオン性造影剤。 ランダム化後,標的病変をバルーンで拡張。バルーン拡張は1分間で最大12気圧,病変長がバルーン長を上回る場合は新規バルーンで同様に拡張。残存狭窄30%以上の場合は,非コーティングバルーンで5分間追加拡張し,必要に応じてNintol stentの植込みを行う。造影剤が100mLを超えた場合はすべて通常の非イオン性造影剤を使用。 aspirin,clopidogrel非投与例は,手技の12時間前に両薬剤をそれぞれ300mg投与。手技後,全例にaspirin 100mg/日を無期限投与,clopidogrel 75mg/日を4週間投与し,手技時にheparin 3000~5000Uをボーラス動注する。 6か月後に治療群間差がみられたら,追跡を1,2年延長する。 |
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コーティングバルーン群の平均使用量は5mg,paclitaxel造影剤群では平均17mg。 Rutherford虚血分類は手技後に改善した:コーティングバルーン群(ベースライン時3.4→ 1.1),paclitaxel造影剤群(3.4→ 1.7),対照群(3.1→ 1.2)。全体のABIも改善した(0.5→ 0.9)。ステント併用は各々4%,6%,22%で対照群で有意に多かった。
6か月後の血管造影施行例は128例(83%)。 一次エンドポイントは,コーティングバルーン群0.4mm(p<0.001 vs 対照群),paclitaxel造影剤群2.2mm(p=0.11 vs 対照群),対照群1.7mm。非ステント症例だけで検討しても,それぞれ0.3mm,2.1mm,1.9mmと同様の有意差が認められた。 6か月後の標的病変血行再建術は,コーティングバルーン群2例(4%, p<0.001),paclitaxel造影剤群15例(29%, p=0.41),対照群20例(37%),24か月後はそれぞれ7例(15%),21例(40%),28例(52%)に増加した。 コーティングバルーンによる有害事象はみられなかった。 ★結論★浅大腿−膝窩動脈疾患患者におけるPCI施行時のpaclitaxelコーティングバルーン使用により,晩期損失および標的病変血行再建術が有意に低下した。paclitaxel含有造影剤には有意な有効性は認められなかった。 |
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- [main]
- Tepe G et al: Local delivery of paclitaxel to inhibit restenosis during angioplasty of the leg. N Engl J Med. 2008; 358: 689-99. PubMed
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