循環器トライアルデータベース

STENT
Strategic Transcatheter Evaluation of New Therapies Study

目的 paclitaxel溶出ステント(PES)またはsirolimus溶出ステント(SES)植込み症例の9か月間の転帰を比較する。
一次エンドポイントは死亡率,心筋梗塞(MI),標的血管再血行再建術(TVR)。
コメント 我々臨床医のdrug-eluting stent(DES)に関する興味は,MACE・ステント血栓症・再狭窄とそのパターン・抗血小板剤の服用期間等の「安全性」,late loss・TVR・TLRの低減効果といった「有効性」,および病変への到達性・側枝へのアプローチ・サイズバリエーション・安定供給などの「使いやすさ」,と多岐にわたる。DES がSirolimus-eluting stent(SES)単独の時代からPaclitaxel-eluting stent(PES)との競合の時代になって以来,数多くのRCTやregistryでのSES とPES の比較がその答えを模索している。エビデンスレベルの格付けでは,head-to-head RCTのメタ解析が最も信頼性が高く,単独のhead-to-head RCTがそれに続くとされている。非ランダム化登録試験であるSTENT registryは,コアラボもなく,DES の選択基準が術者に委ねられるなどバイアスも多く,従って格付けは低いが,米国最大規模の多施設比較試験という特徴を有する。また,除外基準を設けないために“off-label”の病変・病態が主体をなしており,“real-world”を反映している。症例・病変形態が限定されがちなhead-to-head RCTではSES 優位の傾向にあるが,STENT registryの他,RESEARCH/T-SEARCH,Milan DES experienceなどのregistryでは,頻度の差こそあれ,MACEやTLR(TVR)に優劣つけ難い状況のようである。結局,「使いやすさ」が選択の基準ということか?(中野中村永井
デザイン 登録研究(前向き,非無作為化,観察研究),多施設(米国8施設:コアラボは設定せず)。
期間 追跡期間は9か月。登録期間は2003年5月1日~2005年9月30日。
対象患者 9226例。PES(4671例)またはSES(4555例)のみの植込み例で,複数回の治療を受けた場合には初回の治療を登録。9か月間の観察を完了したもの。除外基準なし。
■患者背景:年齢(SES群62.5歳,PES群63.3歳*),男性(66.2%, 65.3%),白人(86.7%, 90.1%*),BMI(29.2kg/m², 29.0kg/m²),冠動脈疾患の家族歴(35.2%, 29.1%*),高コレステロール血症(68.2%, 70.4%:p=0.02),食事/経口薬による糖尿病治療(20.7%, 21.1%),インスリン治療(10.0%, 9.6%),高血圧(74.4%, 73.7%),喫煙(62.6%, 59.7%*), PCI既往(29.3%, 27.5%:p=0.05),CABG既往(15.9%, 15.7%),MI既往(23.3%, 22.5%),入院時の状態:負荷試験陽性(24.9%, 25.7%);不安定狭心症(46.3%, 46.1%);MI(31.8%, 34.5%*);非ST上昇型MI(18.4%, 20.0%);ST上昇型MI(13.5%, 14.6%);待機的手技(29.6%, 32.9%);緊急手技(58.1%, 53.1%)。病変背景:多枝疾患(46.9%, 51.1%);伏在静脈グラフト(6.4%, 4.5%*);慢性完全閉塞(2.0%, 1.3%*);石灰化病変(22.5%, 25.3%*),分岐部病変(7.1%, 8.2%)。治療状況:血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(58.3%, 56.8%),未分画heparin(63.8%, 71.3%*),enoxaparin(両群とも7.7%),bivalirudin(32.4%, 25.3%*)。* p<0.01
治療法 バルーン血管形成その他のデバイスによる病変の前拡張および後拡張は可とした。ベースライン時の人口統計学的・臨床的データ,既存の危険因子,手技関連の変数,電話インタビューによる退院から9か月の追跡データを収集。
結果 手技成功率は共に98.0%。
9か月後の死亡率はSES群2.5% vs PES群2.2%(p=0.34),MIが2.2% vs 2.0%(p=0.47),TVRが4.3% vs 4.1%(p=0.76),MACEが8.0% vs 7.5%(p=0.37)であった。ステント血栓症は両群とも0.7%であり,その大部分(SES群80.7%,PES群66.7%)が手技後30日以内に発生した。脳卒中の発症率は両群で低く両群間差はみられなかった(SES群0.5%,PES群0.3%)。
ベースライン時背景による調整後のPES群に対するSES群のハザード比は,死亡1.25(95%信頼区間 0.91~1.72, p=0.18),MI 0.97(0.71~1.32, p=0.85),TVR 0.88(0.70~1.10, p=0.26),MACE 0.95(0.81~1.12, p=0.56)。
★結論★real-worldにおけるPESまたはSESの植込み後9か月の再狭窄およびMACEの発生率は低く,両群で同等であることが示された。
文献
  • [main]
  • Simonton CA et al for the STENT group: Comparative clinical outcomes of paclitaxel- and sirolimus-eluting stents: results from a large prospective multicenter registry-STENT group. J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 1214-22. PubMed

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収載年月2008.04