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AusDiab
Australian Diabetes, Obesity, and Lifestyle Study

目的 AusDiabはオーストラリアの糖尿病罹患状況およびその関連因子(肥満や生活習慣)を検討しているコホート観察研究。
AusDiabにおいて,空腹時血糖異常,耐糖能異常が,糖尿病と同様に全死亡リスク,心血管死リスクを上昇させるのか(追跡期間中央値5.2年)を検討する。
デザイン population-based study,多施設(オーストラリアの6州,北部準州[Northern Territory]の42地域)。
期間 ベースライン時調査は1999年5月~2000年12月。
参加者 10,428人。25歳以上。
■参加者背景
耐糖能正常:7662例,平均年齢48.8歳,男性43.2%。
空腹時血糖異常(impaired fasting glucose;IFG。2時間血糖値(2-hour PG)<140.5mg/dLおよび109.9≦空腹時血糖値(FPG)<126.1mg/dL):610例,53.9歳,男性69.3%。
耐糖能異常(impaired glucose tolerance:IGT。FPG<126.1mg/dLおよび140.5≦2-hour PG<199.9mg/dL):1298例,58.5歳,男性40.7%。
新規糖尿病(糖尿病と診断されていないものの,FPG≧126.1mg/dLまたは2-hour PG≧199.9mg/dL):433例,61.5歳,男性50.6%。
糖尿病(糖尿病と診断されており,血糖降下薬を使用,FPG≧126.1mg/dLまたは2-hour PG≧199.9mg/dL):425例,63.6歳,男性54.4%。
下記は耐糖能正常→ IFG→ IGT→新規糖尿病→糖尿病と順次上昇した。
BMI:耐糖能正常26.2~糖尿病30.0kg/m2,ウエスト/ヒップ比:0.85~0.93,腹囲:88.4~101.7cm,血圧:126.1/69.0~143.6/73.5mmHg,高血圧:24.1~70.1%,脂質低下薬使用率:5.7~35.8%,心血管既往:5.8~28.7%。
HDL-Cは概ね低下し(56.1~48.7mg/dL),総コレステロール:216.6→ 228.2→ 227.0→ 229.7→ 209.2mg/dL,トリグリセライド(TG)中央値:103.5→ 137.2→ 141.6→ 168.2→ 156.6mg/dL。
調査方法 75g経口ブドウ糖負荷試験を実施し,FPG,2-hour PG,空腹時総コレステロール,TG,HDL-Cを測定。その他,血圧,身体測定(BMI,ウエスト/ヒップ比など),面接により治療状況などを調査。
結果 ・全死亡は298例:耐糖能正常130例(1.7%),IFG24例(3.9%),IGT67例(5.2%),新規糖尿病27例(6.2%),糖尿病 50例(11.8%)。
・全死亡の多変量調整後ハザード比(HR)は,IFG 1.6(95%信頼区間1.0~2.4),IGT 1.5(1.1~2.0),新規糖尿病 1.3(0.9~2.0),糖尿病 2.3(1.6~3.2):vs 耐糖能正常。
・心血管死の65%は糖尿病,新規糖尿病,IFGまたはIGTであった:耐糖能正常 31例(0.4%), IFG 10例(1.6%),IGT 16例(1.2%),新規糖尿病 12例(2.8%),糖尿病 19例(4.5%)。
・糖尿病,IFGは心血管死の独立した予測因子であった:多変量補正後HRはIFG 2.5(1.2~5.1),IGT 1.2(0.7~2.2),新規糖尿病 1.8(0.9~3.6),糖尿病 2.6(1.4~4.7):すべてvs 耐糖能正常。
★結論★糖代謝異常は,全死亡,特に心血管死のリスクと強く関連する。

[主な結果]
  • テレビの視聴時間は全死亡・心血管死リスク増大と関連。座ったままで過ごす時間を減らす努力を。
    8,800人(男性3,846人,女性4,954人),追跡期間中央値6.6年;58,087人・年追跡。1日のテレビ視聴時間を2時間未満,2~<4時間,4時間以上に層別した結果:284例が死亡,うち心血管(CVD)死は87例(31%),癌死が125例(44%)。
    年齢,性,腹囲,余暇時の運動で調整後の1日の視聴時間が1時間増えるごとのハザード比(HR)は,全死亡1.11(95%信頼区間1.03~1.20),CVD死1.18(1.03~1.35),癌死1.09(0.96~1.23)。癌死および非CVD死/非癌死には有意な関連はみられなかった。また1日の視聴時間が2時間未満例と比較した調整後の全死亡のHRは,2~<4時間例1.13(0.87~1.36),4時間以上例1.46(1.04~2.05),心血管死はそれぞれ1.19(0.72~1.99),1.80(1.00~3.25)。余暇時間の運動とテレビ視聴時間に弱いながらも有意な相関関係がみられた(r=-0.03,p<0.01)★結論★テレビ視聴時間と全死亡・心血管死のリスク増大は関連する。運動の推進に加え,特に長時間のテレビ視聴のような,座ったまま過ごす時間を減らすことに焦点を当てることも慢性疾患予防戦略として有用である可能性がある:Circulation. 2010; 121: 384-91. PubMed
  • 身体活動と2時間血糖値(2-hour PG)には有意な相関がみられたが,空腹時血糖値(FPG)とはみられなかった。
    糖尿病,妊娠例を除いた9214人(男性4108人,女性5106人)。
    活動レベルはActive Australia questionnaireに拠り,活動的:5回以上の身体活動の機会により歩行時間≧150分/週,非活動的:活動機会5回未満,<150分/週とした。
    ・腹囲などで補正後の身体活動と2-hour PGは男性(β-0.26;95%信頼区間-0.50~-0.02,p=0.037)でも,女性(β-0.22;-0.40~-0.04,p=0.016)でも独立した関連が認められた。一方で,FPGは男性(p=0.323),女性(p=0.216)いずれでも有意な関連はみられなかった。
    ・腹囲が小さい男女に比べ,腹囲がやや大きい,あるいは大きい例では2-hour PG,FPGが有意に上昇(p for trend <0.001)。
    ・腹囲が小さい男性(β-0.25,p=0.036)および腹囲が大きい女性(β-0.30,p=0.044)では,活動的であると,非活動的な例と比べ2-hour PGが有意に低い。腹囲が小さい女性,中等度の男女,大きい男性では非有意な負の相関がみられた。
    FPGは腹囲が大きくなるにつれ段階的に上昇したが,身体活動とはほとんど関連はなし。一方で,2-hour PGは腹囲,身体活動とより直線的な相関がみられた(Healy GN et al: Beneficial associations of physical activity with 2-h but not fasting blood glucose in Australian adults: the AusDiab study. Diabetes Care. 2006; 29: 2598-604.)。 PubMed
  • 肥満関連マーカーのうち心血管疾患の危険因子の同定に最も有用なのはウエスト/ヒップ比である。
    肥満はBMI(≧30kg/m2)によると20.8%:男性19.3%,女性22.2%,腹囲(男性≧102.0cm,≧88.0cm)によると30.5%:26.8%,34.1%,ウエスト/ヒップ比(WHR:男性≧1.00,女性≧0.85)によると15.8%:9.5%,21.8%。
    BMIで定義した肥満の場合,2型糖尿病は16.3%,腹囲の場合は15.8%,WHRの場合は21.8%,高血圧はそれぞれ48.7%,48.7%,55.0%,脂質異常症は60.6%,58.7%,64.9%と,いずれもWHRで定義した場合が最も高かった。
    男性・肥満の75%以上,女性・肥満の65%以上が1つ以上の心血管疾患の危険因子(2型糖尿病,高血圧,脂質異常症)を有していた。肥満・男女で上記3危険因子をすべて有しているものは肥満定義により6.9~9.8%で,最も高い9.8%(男性9.8%,女性9.1%)はWHRで定義した場合であった。
    各肥満定義の値の第4分位 vs 第1分位のオッズ比でみると,年齢で調整前はWHRが3危険因子(脂質異常症は女性のみ)が最も強い関連を示し,年齢調整後は同様であった。ただし女性での高血圧はBMI定義が最も強い関連,女性での脂質異常症,男性での2型糖尿病はWHRがわずかにより強く相関した(Dalton M et al on behalf of the AusDiab steering committee: Waist circumference, waist-hip ratio and body mass index and their correlation with cardiovascular disease risk factors in Australian adults. J Intern Med. 2003; 254: 555-63.)。 PubMed
  • 糖尿病,糖代謝異常が急速に増加。
    ・糖尿病は7.4%(男性8.0%,女性6.8%):25~34歳0.3%→35~44歳2.4%→45~54歳6.2%→55~64歳13.1%→65~74歳17.9%→≧75歳23.0%。≧25歳7.4%,40~74歳9.4%。
    ・糖代謝異常(IFGおよびIGT)は16.4%(男性17.3%,女性15.3%):5.4%→11.7%→17.2%→23.9%→28.8%→30.0%。
    耐糖能異常(IGT,IFG,糖尿病)は23.7%(男性25.3%,女性22.2%)。25~34歳5.7%,≧75歳53.1%。
    アメリカ糖尿病学会(ADA)基準(FPG≧126.1mg/dL)による新規糖尿病は1.8%で,WHO基準(2-hour PG)2.9%,ADA+WHO基準(3.7%)よりも低い。新規糖尿病発症例のうち,FPG,2-hour PGの両基準に拠ったものは28.3%,IGTあるいはIFGの15.6%に過ぎない。
    ・1981年から1999~2000年の長期的傾向
    1981年にオーストラリア・バセルトン(Busselton)で実施された研究と比較:糖尿病と診断されていた男性は4.8%(女性4.0%) vs 2.9%(2.8%) で,AusDiabで増加。新規糖尿病男性は2.7%(女性2.9%) vs 0.7% (0.7%)。1981年から1999~2000年にかけ糖尿病は3.4%→7.2%と倍増以上。BMIカテゴリーでみても同様に増加。
    2つの研究を合わせてロジスティック回帰解析を行うと,BMIは糖尿病の有意な予測因子であり,研究自体(AusDiab vs Busselton)も独立した予測因子であった(Dunstan DW et al on behalf of the AusDiab steering committee: The rising prevalence of diabetes and impaired glucose tolerance: the Australian diabetes, obesity and lifestyle study. Diabetes Care. 2002; 25: 829-34.)。 PubMed
  • Barr EL et al: Risk of cardiovascular and all-cause mortality in individuals with diabetes mellitus, impaired fasting glucose, and impaired glucose tolerance: the Australian diabetes, obesity, and lifestyle study (AusDiab). Circulation. 2007; 116: 151-7. PubMed

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収載年月2008.03
更新年月2010.03