循環器トライアルデータベース

BEDS
Brescia Early Defibrillation Study

目的 イタリアのBrescia*の都市部から地方までの広範囲において,院外心停止症例に対し,訓練を受けたボランティア/一般市民が自動体外式除細動器(AED)を使用する救急医療システム(emergency layperson-integrated service:ELPIS)の安全性,有効性を検討する。
AED普及プログラム導入前のhistoricalコホートと導入後のprospectiveコホートから成る。
一次エンドポイントは神経学的障害を伴わない1年後生存率。
* 面積4826km²(イタリア全土の1.6%),人口1,112,628人。
コメント わが国でも公共の場へのAED導入が着実に進みつつあるが,その効果を十分発揮させるには一般市民の訓練,講習会が不可欠である。(井上
デザイン 前向きコホート。
期間 平均追跡期間はhistoricalコホート:58か月(中央値52か月),prospectiveコホート:18か月(中央値16か月)。登録期間はhistoricalコホート:1997年6月~'99年5月,prospectiveコホート:2000年7月~'02年6月。
対象 historicalコホート692例,prospectiveコホート702例。院外で突然あるいは短い前駆症状の後に意識不明となり,反応がなく,脈が触れず,自発呼吸のないもの。
除外基準:9歳未満,外傷,薬物過量摂取,中毒,水死,出血,感電死,窒息。
■患者背景:年齢(historicalコホート67.2歳,prospectiveコホート69.4歳,p=0.04),男性(62.9%,65.1%),屋外での発生(14.5%,13.5%),目撃者あり(62.6%,64.1%),除細動前の心肺蘇生法(CPR)施行(20.8%,21.1%)。
調査方法 2000年1月のAED普及プログラム(従来の地域病院10台,救急車5台に設置してあった用手的除細動器に加え,新規導入のAED49台のうち42台は都市部,地方のボランティアによる救急医療組織で使用)導入後,2,186名のボランティア,一般市民の訓練を終了した2000年7月1日以降の登録患者(prospectiveコホート)について,イベント発生地,入院中,追跡期間中のデータを収集し,historicalコホートと比較。
神経学的障害(Cerebral Performing Category scaleで評価)を伴わない生存者の追跡は1,3,6,12か月後,以後6か月ごとの定期通院により行い,死亡例についてはカルテ,目撃者,親族から死亡時刻と状況を確認。
結果 心停止場所への到着時間で両コホート間で差はなかったにもかかわらず(historicalコホート7分,prospectiveコホート6分,p=0.04),一次エンドポイントは3.0%(95%信頼区間1.7~4.3%) vs 0.9%(0.4~1.8%)と,prospectiveコホートの方が高かった(p=0.0015)。
神経学的障害を伴わない退院例は4.1%(2.7~6.4%)vs 1.4%(0.9~2.0%)であった(p=0.04)。生存率は都市部のprospectiveコホート4.0%(2.0~6.9%)vs historicalコホート1.4%(0.4~3.4%)(p=0.024),地方では2.5%(1.3~4.2%) vs 0.5%(0.1~1.6%)(p=0.013)と,ともにprospectiveコホートで上昇した。
prospectiveコホートにおいて目撃者が存在し神経学的障害を伴わず退院した26例のうち,心停止後>8分に除細動を受けた12例(46.1%)の1年後の生存率は1.7%(0.8~3.4%),8分以内に除細動を受けた例では12.5%(10.1~16.0%)であった(p<0.001)。
1QALYあたりの追加費用はAEDプログラム導入始動期間に39,388ユーロ(95%CI 16,731~49,329ユーロ),定常状態で23,661ユーロ(10,327~35,528ユーロ)であった。
★結論★院外心停止例において,訓練を受けたボランティアおよび一般市民によるAEDは,広範な環境において安全であり長期生存率を有意に改善することが認められた。
文献
  • [main]
  • Cappato R et al: Prospective assessment of integrating the existing emergency medical system with automated external defibrillators fully operated by volunteers and laypersons for out-of-hospital cardiac arrest: the Brescia early defibrillation study (BEDS). Eur Heart J. 2006; 27: 553-61. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2006.11