循環器トライアルデータベース

X AMINE ST
X-Sizer in AMI for Negligible Embolization and Optimal ST Resolution

目的 急性心筋梗塞(AMI)のPCI症例において,PCI施行前に血栓除去(X-Sizer使用)を実施する場合と通常のPCIとを比較する。
一次エンドポイントはPCIから1時間後のST部消失度。
コメント 急性心筋梗塞症において,PCI/ステント治療はTIMI 3 flowを得られる可能性が高く,中長期予後の改善に寄与している。しかし,TIMI 3 flowになっても約1/3の症例では治療後に虚血心筋の救済が得られるとは限っていない。この主たる原因は冠動脈末梢へのプラーク/血栓による塞栓により心筋組織の再灌流が制限されることに由来する。primary PCI後に冠動脈造影上みられる末梢塞栓は15%の症例に出現し,5年後の死亡率と関連することが報告されている。末梢塞栓予防の新しいデバイスが種々考案されているが,ランダム化試験はほとんど行われていない。
本研究は心筋再灌流の最も信頼できるマーカーの一つであり,長期予後と関連するSTセグメントの改善度に注目し,血栓除去デバイスが有意に末梢塞栓症のリスクを抑制することを示している。再灌流後の心筋濃染所見(myocardial blush)は梗塞量,左室機能,長期予後に関連すると報告されているが,本研究では血栓除去デバイス使用の有無で差を認めなかった。ST所見よりmyocardial blush scoreは客観性に乏しいかもしれない。Stoneらは同じデバイスを用いてランダム化試験を行い,心筋梗塞が広がるリスクを有意に抑制したが,1年後の臨床的有用性はみられなかった(J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 2007-13.)。同デバイスを用いた他の試験でも,STセグメントは有意に改善するが,myocardial blushやcoronary flow reserveの改善は得られていない。心筋再灌流を改善させる薬理学的アプローチとしては,adenosineやverapamilの冠動脈内注入が報告されているが,冠動脈内血栓に対する影響は明らかではない。GP IIb/IIIa阻害薬はdirect PCI時に血栓塞栓症を抑制し,冠微小血管の炎症性反応を低下させることにより,冠微小血管機能を改善させることが知られている。しかし,本研究におけるSTセグメントの改善に対する多変量解析ではGP IIb/IIIa阻害薬の使用は関連していない。実際,他のランダム化試験でもPCI時のGP IIb/IIIa阻害薬はSTセグメントの改善には寄与していない。このことは,STセグメントの改善における機械的な血栓除去デバイスの重要性を示唆している。予後の改善につながるかを評価する血栓除去デバイスの大規模試験が期待される。(星田
デザイン 無作為割付け,多施設(欧州のX-Sizer使用経験のある14施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。
対象患者 201例。発症から12時間未満のAMI:>30分の虚血性胸痛およびECG上で2つ以上の連続する誘導で2mm以上の新規ST上昇がある症例;新規病変;血管径2.5mm以上のnative血管にある1枝病変治療症例の閉塞例;血栓を保有;primary PCI施行例でTIMI grade 0~1の症例。
除外基準:梗塞責任血管へのPCI既往;rescue PCI;Killip分類≧3;左脚あるいは右脚ブロックなど。
■患者背景:平均年齢61歳,BMI 27kg/m²,糖尿病22%,MI既往8%,前壁梗塞52%,発症から血管造影までの時間258分,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与59%。
治療法 X-Sizer群(100例):血栓吸引デバイスX-Sizerカテーテルシステムを使用。手技前に全例にaspirinを投与,heparin 70U/kgを活性化凝固時間>250秒を維持するように投与。対照群(101例):PCI前に血栓を除去しない。
結果 手技に関し両群間に差があったのは手技時間(X-Sizer群の方が有意に長かった:54分 vs 45分,p=0.003),およびバルーン前拡張なしのステント植込み率であった(X-Sizer群の方が有意に高かった:60% vs 34%,p<0.001)。X-Sizer群の急性期の手技成功率は87%で,血栓の完全除去が38.8%,部分的除去が58.0%であった。
施行後のTIMI gradeはX-Sizer群の方が良好な傾向にあり(2.96 vs 2.89,p=0.070),さらに同群ではTIMI grade 3の達成率が高く(95.9% vs 89.0%,p=0.105),corrected TIMI frame countが良好で(22.6フレーム/秒 vs 25.1フレーム/秒,p=0.898),心筋blush grade 3は同様であった(30% vs 31%)。末梢塞栓症は2.1% vs 10%(p=0.033),血管造影のエンドポイント(遅い血流+再灌流なし+末梢塞栓症)も6.0% vs 19.8%(p=0.006)とX-Sizer群で少なかった。
一次エンドポイントはX-Sizer群7.5mm,対照群4.9mm(p=0.033)でX-Sizer群で上昇し,>50%のST消失は68% vs 53%(p=0.037)であった。多変量解析によると,>50%のST部分消失の独立した予測因子は,年齢が若い(10歳若いことのオッズ比[OR]は0.73;95%信頼区間[CI] 0.56~0.95,p=0.021),前壁梗塞(OR 2.23;95%CI 1.17~4.24,p=0.015),X-Sizerの使用(OR 0.49;95%CI 0.26~0.94,p=0.031),発症からPCIまでの時間が短いことである(OR 0.88/時;95%CI 0.79~0.99,p=0.028)。
1か月後の再梗塞,再インターベンション施行,脳卒中,緊急CABG,死亡は両群間に差はなく,6か月後も死亡(6例 vs 4例),主要有害心脳イベント(両群13例)と両群で同様であった。
★結論★ステント施行前にX-Sizerによる血栓吸引は,末梢塞栓症のリスクを抑制しST部消失が良好で心筋再灌流を改善する。
文献
  • [main]
  • Lefevre T et al for the X AMINE ST investigators: X-sizer for thrombectomy in acute myocardial infarction improves ST-segment resolution; results of the X-sizer in AMI for negligible embolization and optimal ST resolution (X AMINE ST) trial. J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 246-52. PubMed

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収載年月2006.10