循環器トライアルデータベース

JPHC
Japan Public Health Center-Based Study Cohort I

目的 保健所を拠点として癌,心血管疾患,その他の生活習慣関連疾患を検討する長期コホート研究。
本報は日本人の中年男女において,魚,n-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量と冠動脈心疾患(CHD)のリスクとの関連を検討したもの。
コメント Circulation. 2006; 113: 195-202. へのコメント
極めて大規模なコホート研究であり,日本人の特徴である魚油の摂取量と冠動脈疾患との関連を示した先駆的な研究である。冠動脈疾患の発症率が魚を1週間に180g(平均週8回)摂取することにより23g(週1回)しか食べない人の30%に減少するということは欧米諸国に大きな衝撃を与えた。また,魚180gはイコサペント酸エチル(EPA)に換算して2.1gになるが,この研究とほぼ一致してEPAを用いたJELISというわが国の大規模予防試験がアメリカ心臓協会(2005年)で発表され,有意に冠動脈疾患を抑制することが報告された。JELISではEPA 1.8gを投与しているが,魚をよく食べるわが国で,1.8gの付加に意味があるのか疑問視されたが,このJPHCのデータで十分納得のいく結果であったことが示されたということができよう。(寺本
デザイン 前向きコホート観察研究,多施設(岩手県二戸保健所管轄10施設,秋田県横手保健所管轄4施設,長野県佐久保健所管轄3施設,沖縄県石川保健所管轄13施設)。
期間 追跡期間は1990年1月1日~2001年12月31日。
参加者 41,578人(男性19,985人,女性21,593人)。1930~'49年生まれの40~59歳,1990年1月1日時点で対象4保健所(public health center: PHC)の管轄下の14行政区内に居住し,1992年5月までに自己記入式質問票(人口学的特性,治療歴,喫煙・飲酒習慣,食事)を返送し,魚食についてのデータが得られたもの。男性27,063例,女性27,435例から次の既往例;心筋梗塞(MI),狭心症,脳卒中,癌を除外したもの。
調査方法 食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire: FFQ)により1990年(回答の前月)および1995年(回答の前年)の魚の総摂取量(鮮魚,干物,加工品),食事によるn-3 PUFAの摂取量(五分位)を算出し,医療記録/死亡証明書の調査に基づく追跡期間中のCHDの発症率を算出。交絡因子(ベースライン時の年齢,性別,喫煙習慣,アルコール摂取,BMI,高血圧/糖尿病歴,高コレステロール血症治療薬使用,学歴,余暇のスポーツの頻度,食事による果物/野菜/飽和脂肪/単価不飽和脂肪/n-6系PUFA/コレステロール/総エネルギーの摂取,PHC)による調整後のハザード比(HR)を算出。
結果 477,325人・年の追跡期間中,CHDの発症は258件(男性207件,女性51件。非致死性196件,致死性62件)であり,うち明らかなMI 198件,MIの可能性23件,突然死37件であった。
年齢および性別による調整後の1000人・年あたりのCHDのHR(95%信頼区間:CI)は全例で0.5(0.4~0.5),魚の摂取量の第1五分位(平均週1回,摂取量中央値23g/日)で0.7(0.5~0.9),第2五分位0.4(0.3~0.6),第3五分位0.5(0.4~0.7),第4五分位0.4(0.3~0.6),第5五分位(平均週8回,180g/日)で0.3(0.2~0.4)であった。魚の摂取量の第5五分位 vs 第1五分位の多変数解析によるHR(95%CI)は,総CHD 0.63(0.38~1.04, p=0.25),総MI 0.47(0.26~0.85, p=0.03),明らかなMI 0.44(0.24~0.81, p=0.03),非致死的冠イベント0.43(0.23~0.81, p=0.02)であったが,突然死,致死的冠イベントは各1.14(0.36~3.63, p=0.15),1.08(0.42~2.76, p=0.31)であった。
n-3 PUFA摂取と非致死的CHDのリスクには顕著な逆相関がみられ,n-3 PUFA摂取量の第5五分位(摂取量中央値2.1g/日) vs 第1五分位(0.3g/日)の多変数解析によるHR(95%CI)は,総CHD 0.58(0.35~0.97, p=0.18),総MI 0.43(0.24~0.78, p=0.02),明らかなMI 0.35(0.18~0.66, p=0.005),非致死的冠イベント0.33(0.17~0.63, p=0.003)であったが,突然死,致死的冠イベントは各1.24(0.39~3.98, p=0.12),1.54(0.60~3.99, p=0.10)であった。
★結論★日本人の中年男女において,魚の摂取が少ない(週1回,約20g/日)例に比べ,より大量に摂取する(週8回,約180g/日)例ではCHD,主に非致死的心イベントのリスクが低下する。

[主な結果]
  • 日本人女性において,チョコレート摂取量と脳卒中発症リスクに有意な逆相関がみられた。
    [背景]チョコレート摂取量と脳卒中リスク低下を発表しているコホート研究があるが,有意差がないなどの問題点が多い。また関連の多くは主にチョコレート摂取が伝統的に多い国(ドイツやスイス[52.5~66.5g/週摂取])での結果である。
    日本人において,チョコレート摂取量と脳卒中発症との前向きの関連を検証した。
    ベースライン検査が1995年(コホートI),’98年(コホートII),44~76歳の84,597人(男性38,182人,女性46,415人)を,’09,’10年まで追跡。
    追跡期間中央値12.9年で,脳卒中発症は3,558件(虚血性脳卒中2,146件,出血性脳卒中1,396件)。
    チョコレート摂取量四分位:第1群(中央値0g:男性19,050人,女性16,190人),第2群(5.8g:6,271人,9,826人),第3群(11.6g:7,873人,10,485人),第4四分位群(37.5g/週:4,988人,9,914人)。男性では摂取量の少ない人(第1群)にくらべ多い人(第4群)は若く(57.1歳 vs 55.6 歳),高血圧治療例(18.9% vs 14.4%)が少なく,飲酒量が少なく(32.g/日 vs 20.2g/日),魚・肉・フルーツ・大豆・野菜の摂取および総摂取エネルギー量(2,040.4 vs 2,405.4kcal/日)が多かった。女性でも同様だったが(58.6歳 vs 54.7歳),チョコレート摂取量の多い人は喫煙率が低い反面,ホワイトカラーが多かった。
    多変量(年齢,地域,BMI,喫煙,飲酒,スポーツ,高血圧・高コレステロール治療,職業,総エネルギー量,緑茶・コーヒー・魚介・肉・フルーツ・大豆・野菜摂取)解析後,女性でチョコレート摂取量の多い人では脳卒中発症リスクが有意に低かった(ハザード比0.84;95%信頼区間0.71~0.99, p=0.05)が,男性では有意差はなかった(0.94;0.80~1.10, p=0.41)。男女とも,病型による違いはみられなかった(虚血性脳卒中:男性0.97;0.79~1.17[p=0.66],女性0.82;0.65~1.03[p=0.08],出血性脳卒中:0.87;0.67~1.13[p=0.37], 0.85;0.67~1.07[p=0.26])(Dong JY et al for the Japan public health center–based prospective study group: Chocolate consumption and risk of stroke among men and women: A large population-based, prospective cohort study. Atherosclerosis. 2017; 260: 8-12.)。 PubMed
  • 健康型・欧米型食事パターンと全死亡,CVD死リスク低下との関連が示された。
    第2回目(1995~’98年)調査(重篤な疾患のない45~74歳の男性36,737人,女性44,983人)から2012年12月までの食事パターンと全死亡,がん死,心血管疾患(CVD)死の関係を検証した。
    食事パターンは食物摂取頻度調査による134品目の食物,飲料摂取量から抽出し,3種類*に分類。* prudent[健康型]:高摂取量(野菜・果物・大豆製品・いも類・海草・きのこ類・魚),[欧米型]:高摂取量(肉類・加工肉・パン・乳製品・コーヒー・紅茶・ソフトドリンク・ドレッシング・ソース・マヨネーズ),[(日本の)伝統型]:高摂取(鮭,塩魚,脂の多い魚,魚以外の魚介類,漬け物)。
    平均追跡期間14.8年(121万2,808人・年)の全死亡11,012例,がん死4,480例,CVD死2,813例(心疾患死1,478例,脳血管死1,096例)。
    健康型食事群は全死亡,CVD死の有意な低下と関連した(健康型食事パターンスコアの第1四分位と比較した第4四分位のハザード比[95%信頼区間]:全死亡0.82[0.77~0.86],CVD死0.72[0.64~0.79];いずれも傾向p<0.001)。第4群では多価不飽和脂肪酸,ミネラル,ビタミン,塩分などの摂取も多かった。
    欧米型食事群もリスクの低下度は健康型よりも小さかったものの,全死亡,がん死,CVD死と逆の関係がみられた。高スコア例は飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸の摂取が多く,塩分摂取量が少なかった。
    伝統型食事群はいずれのリスクとも関係はみられなかった。脂肪摂取とは逆相関し,高スコア例はビタミンD・B12,コレステロール,塩分摂取量が多かった。
    欧米型食事パターンのみで,BMI,高血圧(BMI<25kg/m²例および非高血圧例のみで全死亡,CVD死と有意な逆相関),性別(男性でのみ全死亡,がん死と逆相関),年齢(≧60歳のみでCVD死と逆相関)と有意な交互作用がみられた(Nanri A, et al for the Japan Public Health Center-based prospective study group: Dietary patterns and all-cause, cancer, and cardiovascular disease mortality in Japanese men and women: The Japan public health center-based prospective study. PLoS One. 2017; 12: e0174848.)。 PubMed
  • 40~69歳の日本人一般住民データに基づく10年CAD・虚血性脳卒中予測モデル-年齢,性,喫煙,SBP,降圧薬使用,糖尿病,HDL-C,non-HDL-C(CADのみ)を使用したモデルの予測能は,CAD,脳卒中ともに良好。
    コホートII(1993~’94年[ベースライン]時40~69歳,15,672人;平均16.4年追跡)のデータから10年冠動脈疾患(CAD),虚血性脳卒中発症確率予測モデルを作成し,コホートI(1990年時40~59歳,11,598人)で外的妥当性を検証した。
    コホートII(平均57.4歳,男性33.9%)における初発CAD(心筋梗塞,心臓突然死)は192例(粗発症率0.75/1,000人・年;男性126例,女性66例),虚血性脳卒中は552例(2.17/1,000人・年;299例,253例)。多変量解析で虚血性脳卒中と有意に関連した変数は,年齢,性別,現喫煙,降圧薬使用,糖尿病,SBP高値,HDL-C低値で,CADではさらにnon-HDL-C高値が加わった。これらを用いて作成した最終モデルのROC曲線下面積(AUC)は,CAD 0.81,虚血性脳卒中0.78と良好で,モデルの適合度も良好であった(Grønnesby-Borganカイ二乗検定:それぞれp=0.74, p=0.51)。このモデルをコホートI(CAD 104例,虚血性脳卒中311例)に当てはめると,AUCはそれぞれ0.77, 0.76であった(Yatsuya H et al: Development of a risk equation for the incidence of coronary artery disease and ischemic stroke for middle-aged Japanese- Japan public health center-based prospective study. Circ J. 2016; 80: 1386-95.)。 PubMed
  • 「食事バランスガイド」の遵守と死亡-一般住民において,遵守度が高い人ほど15年後の全死亡,CVD死,特に脳血管疾患死のリスクが低かった。
    2005年に厚生労働省と農林水産省が策定した「食事バランスガイド」の遵守度と全死亡・原因別死亡(癌,心血管疾患[CVD],心疾患,脳血管疾患)の関係を,研究開始5年後の食物摂取頻度調査に回答した45~75歳の男性36,624人,女性42,970人において検証(平均追跡期間14.9年;2012年12月31日まで)。主食,副菜,主菜,果物,牛乳・乳製品,総エネルギー,菓子・嗜好飲料を「食事バランスガイド」に基づいてどの程度摂取しているかを各10点で評価し,遵守スコア(合計70点;高スコアほど遵守度が高い)を算出。
    スコアの第1四分位群(34.2;平均年齢50.4歳,男性84.0%)にくらべ,第2(44.1;51.0歳,57.4%),第3(51.5;51.2歳,31.9%),第4四分位群(60.3;51.5歳,10.2%)は全死亡リスクが有意に低かった(調整ハザード比[HR]:それぞれ0.92, 0.88, 0.85)。また,スコア10点上昇ごとに全死亡(調整HR 0.93,傾向p<0.001),CVD死(0.93, p=0.005)リスクは有意に低下,特に脳卒中死との関係は顕著であった(0.89, p=0.002)。癌死との関係はみられなかった(Kurotani K et al; Japan public health center based prospective study group: Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan public health center based prospective study. BMJ. 2016; 352: i1209.)。 PubMed
  • 朝食と脳卒中,CAD-日本人一般住民において朝食の摂取回数が少ない人は,毎日摂る人にくらべ15年後の出血性脳卒中リスクが高い傾向。
    [背景]朝食を欠食すると肥満,高血圧,脂質異常症,耐糖能異常のリスクが増加することは,欧米のみならずアジア諸国でも示されている。
    第2回調査(コホートI:1995年, II:’98年)の回答者において,朝食と脳卒中,冠動脈疾患(CAD)の関係を検証した結果(45~74歳の82,772人[東京・大阪を除外];男性38,676人,女性44,096人;追跡期間は15年):1週間の朝食摂取回数を,0~2回(6,759人;平均年齢53.4歳・男性49.2%), 3~4回(2,687人;53.1歳・44.3%), 5~6回(2,788人;53.4歳・47.7%), 7回(70,538人:57.1歳・46.5%)の4群に分類。
    発症は脳卒中3,772件(出血性1,051件,くも膜下出血417件,虚血性2,286件),CAD 870件。朝食7回群にくらべ,0~2回群は有意に全心血管疾患(CVD)(調整*ハザード比1.14;95%信頼区間1.01~1.27),全脳卒中(1.18;1.04~1.34),出血性脳卒中(1.36;1.10~1.70)のリスクが高く,朝食回数と各イベントに負の関係が認められた(傾向p=0.013, 0.007, 0.004)。くも膜下出血,虚血性脳卒中,CADとの関連はみられなかった。因果の逆転の可能性を考慮して開始後5年以内の発症例を除外した結果も同様であった。
    脳卒中の危険因子である高血圧(≧140/90mmHg)例は7回群33.1% vs 0~2回群35.2%,降圧薬服用例は19.4% vs 16.9%。降圧薬非服用例では同様の関連がみられたが,服用例で関連がみられたのは全CVDのみで,全脳卒中,出血性脳卒中とは関連しなかった。
    * 調整因子:年齢,性,食事因子(エタノール,摂取エネルギー,野菜,果物,魚,大豆,乳製品,ナッツ,飽和脂肪酸,食物繊維,ナトリウム),生活習慣(喫煙,余暇運動,睡眠時間,精神的ストレス,独居,肉体労働),保健所管轄地域。
    (Kubota Y et al; JPHC study group: Association of breakfast intake with incident stroke and coronary heart disease: the Japan public health center-based study. Stroke. 2016; 47: 477-81.) PubMed
  • 糖尿病と死亡-日本人一般住民において糖尿病はCVD死と強く関連。リスクは女性のほうが高い。
    日本人一般住民での糖尿病と早期死亡リスクの関係を検証した結果(男性46,017人,女性53,567人;追跡期間中央値17.8年):糖尿病はベースライン,5年,10年後の調査で「医師に診断された」,「抗糖尿病薬を使用」と回答した患者とした(1型/2型識別せず)。ベースライン時の糖尿病は男性6%(年齢中央値53歳;非糖尿病者50歳),女性2.8%(56歳;50歳)。
    全死亡は男性8,223例(うち糖尿病例856例),女性4,640例(345例)で,糖尿病は全死亡と有意に関連した(非糖尿病例と比較した調整ハザード比[HR]:男性1.60,女性1.98)。死亡リスクは罹病期間が長いほど高かった(診断時期がベースライン前,~5年後,5~10年後の男性の調整HR:1.59, 1.20, 1.22,女性:2.00, 1.55, 1.45)。死因別では,CVD死(HR:男性 1.76,女性2.49)との関連が癌死(1.25, 1.04)より強かったが,糖尿病は非癌・非CVD死とも有意に関連した(1.91, 2.67)(Kato M et al for the JPHC study group.: Diagnosed diabetes and premature death among middle-aged Japanese: results from a large-scale population-based cohort study in Japan (JPHC study). BMJ Open 2015; 5: e007736.)。 PubMed
  • 緑茶,コーヒーの摂取と脳卒中-リスクと負の関係。
    1995年(コホートI),’98年(コホートII)にCVDおよび癌ではなかった82,369人において,緑茶・コーヒーの摂取と脳卒中発症リスクの関係を評価した結果(平均13年追跡:106万6,718人・年):脳卒中3,425例,冠動脈疾患(CAD)910例。
    緑茶をほとんど飲まないものに比べ,2~3杯/日(ハザード比0.86;95%信頼区間0.78~0.95),≧4杯/日(0.80;0.73~0.89)飲むものは脳卒中のリスクが低かった。緑茶摂取量とCVD,脳卒中,虚血性脳卒中,脳出血には負の関係が認められた。
    また,コーヒーを飲まないものに比べ3~6回/週(0.89;0.80~0.99),1回/日(0.80;0.72~0.90),≧2回/日(0.81;0.72~0.91)飲むものも脳卒中リスクが低かった。コーヒー摂取量とCVD,脳卒中,虚血性脳卒中リスクには負の関係が認められた。
    緑茶+コーヒーの摂取量の多いものはCVD,脳卒中,虚血性脳卒中,脳出血リスクが低く,特に脳出血と有意な交互作用がみられた(交互作用のp=0.04)。この関連に性差はみられず,CADとの有意な関連も認められなかった(Kokubo Y et al: The impact of green tea and coffee consumption on the reduced risk of stroke incidence in Japanese population: the Japan public health center-based study cohort. Stroke. 2013; 44: 1369-74.)。 PubMed
  • 食事からの飽和脂肪酸摂取とCVD-深部脳出血,ラクナ梗塞と負の関係,心筋梗塞と正の関係。
    2つのコホート(コホート1:1990年に開始。’95年に45~64歳だったものを2009年まで追跡,コホート2:’93年に開始。’98年に45~74歳だったものを2007年まで追跡)を合わせた81,931人(男性38,084人,女性43,847人)で,食物摂取頻度調査票に基づく食事からの飽和脂肪酸(SFA)摂取量別にCVDとの関連を検証した結果:平均年齢56.7歳,SFA摂取量16.3g/日(中央値)。第5五分位(中央値24.9g/日)群は第1五分位(9.6g/日)群に比べ有意に若かった(55.9歳 vs 57.5歳)。
    平均追跡期間11.1年で脳卒中は3,192例,うち脳出血894例,虚血性脳卒中1,939例(ラクナ梗塞871例,アテローム血栓性脳梗塞403例,塞栓性脳塞栓563例),心筋梗塞(MI)610例,心臓突然死116例。SFA摂取量は脳卒中,深部脳実質内出血,虚血性脳卒中,ラクナ梗塞,総CVDと負の関係にあった一方で,MIとは正の関係にあり,くも膜下出血,心臓突然死との関連はみられなかった。CVDとの関連において,SFA摂取量と性に有意な交互作用はみられなかった。高血圧および糖尿病治療を加えた解析でも同様の結果であったが,虚血性脳卒中との関連が減弱した(Yamagishi K et al: Dietary intake of saturated fatty acids and incident stroke and coronary heart disease in Japanese communities: the JPHC study. Eur Heart J. 2013; 34: 1225-32.)。 PubMed
  • 日本人女性における脳卒中の年齢,地域調整後の高校卒業と比べたハザード比は,中学校卒業1.63,大学以上1.41,くも膜下出血は2.20, 2.20,脳梗塞は1.90, 1.60。脳卒中リスクと教育レベルのU字型曲線は,主に「母親」「妻」「娘」など家庭での社会的役割が1つ(single social roles at home)の働く女性でみられた(Honjo K et al: Education, social roles, and the risk of cardiovascular disease among middle-aged Japanese women: the JPHC study cohort I. Stroke. 2008; 39: 2886-90.)。 PubMed
  • カルシウム摂取により全脳卒中リスクが,乳製品からの摂取により全脳卒中,脳梗塞のリスクが低下したが,冠動脈疾患とは関連しなかった。
    平均追跡期間12.9年(533,692人・年)で脳卒中の発症は1321件(脳梗塞664件,脳実質内出血425件,くも膜下出血217件),冠動脈疾患(CAD)322件。カルシウム総摂取量は全脳卒中と負の相関を示した(多変量解析後のカルシウム摂取量5分位の最高値 vs 最低値のハザード比[HR]0.70;95%信頼区間0.56~0.88[p for trend =0.02])。
    乳製品からのカルシウム摂取と全脳卒中(HR 0.69;0.56~0.85, p for trend=0.007)および脳梗塞(HR 0.69;0.52~0.93, p for trend=0.05)とに負の相関がみられた。しかし,CADとの関連はみられなかった(Umesawa M et al: Dietary Calcium Intake and Risks of Stroke, Its Subtypes, and Coronary Heart Disease in Japanese. The JPHC Study Cohort I. Stroke. 2008; 39: 2449-56.)。 PubMed
  • 日本人女性において,イソフラボン高摂取量により脳梗塞,心筋梗塞のリスクが低下。
    503,998人・年の追跡で脳梗塞(CI)587例,心筋梗塞(MI)308例発症,CI・MIによる死亡は232例。大豆摂取≧5回/週は0~2回/週に比べたCIのリスクは0.64,MIは0.55,心血管死は0.31。相関度は弱いながらも同様の逆相関がみそ汁,豆の摂取量と心血管死リスクとにみられた。女性において,イソフラボン摂取量とCI,MI,心血管死との逆相関,CIとMIは主に閉経後の女性でみられた(Kokubo Y et al for the JPHC study group: Association of dietary intake of soy, beans, and isoflavones with risk of cerebral and myocardial infarctions in Japanese populations: the Japan public health center-based (JPHC) study cohort I. Circulation. 2007; 116 :2553-62.)。 PubMed
  • コホート1・54,350人(岩手,秋田,長野,沖縄の1990年1月1日時点40~59歳),コホート2・62,288人(茨城,新潟,高知,長崎,沖縄の1993年1月1日時点40~69歳)で,卵の摂取頻度(1週間の摂取1回未満/,1~2回,3~4回,ほぼ毎日)と総コレステロール(TC),CHDの関連を男女合わせて検討。2001年末まで追跡:TC濃度のデータを入手したのは36%。平均追跡期間10.4年でCHDは462例,うち致死的CHDは120例で67例が発症から1時間以内に死亡。卵の摂取頻度は,高コレステロール血症,収縮期血圧と同様にTCと有意な逆相関を示した。多変量解析によるとTC≧240mg/dL vs <180mg/dLのCHDのハザード比は2.17(95%信頼区間1.22~3.85, trend p=0.0018)。TCとCHDは有意に相関したが,卵の摂取頻度とCHDに有意な相関は認められなかった(Nakamura Y et al: Egg consumption, serum total cholesterol concentrations and coronary heart disease incidence: Japan Public Health Center-based prospective study. Br J Nutr. 2006; 96: 921-8.)。 PubMed
  • 10年の追跡期間中に新規糖尿病が男性703例,女性482例で発症。多変量解析によると,欧米で確認されている糖尿病の危険因子(年齢,BMI,糖尿病家族歴,喫煙)は日本人(男女とも)でも独立した危険因子であった。BMI≦22kg/m²の男性では,飲酒量と糖尿病の発症は有意な正の相関関係にあった(中等量飲酒[エタノール*摂取>23g/日,≦46g/日]のオッズ比1.91,大量飲酒[>46g/日]のオッズ比2.89)。* 日本酒180mLが36g,焼酎,泡盛180mLが36g,ウイスキー,ブランデー30mLが10g,ワイン60mLが6g,ビール633mLが23g(Waki K et al: Alcohol consumption and other risk factors for self-reported diabetes among middle-aged Japanese; a population-based prospective study in the JPHC study cohort I. Diabet Med. 2005; 22: 323-31.)。 PubMed
  • コホート1・40~59歳の男性19,544人を2001年末まで追跡し,アルコール摂取と脳卒中の相関を検討:214,504人・年の追跡で脳卒中は694例,うち画像診断あるいは剖検で確認された611例の結果。脳出血219例,くも膜下出血73例,脳梗塞319例。飲酒は年齢調整後の脳卒中リスクと正の相関を示した(≧エタノール450g/週はときどきの飲酒に比べリスクは68%上昇,特に出血性脳卒中が高血圧および心血管疾患コントロールにもかかわらず有意に上昇した。小~中量飲酒例では出血性脳卒中のリスクが上昇したが,脳梗塞のリスクは低下した(Iso H et al for the JPHC study group: Alcohol consumption and risk of stroke among middle-aged men: the JPHC Study Cohort I. Stroke. 2004; 35: 1124-9.)。 PubMed
  • 1990年1月~'92年5月に質問票を返送した男性20,665例,女性22,484例から喫煙習慣の記録のないもの,追跡不能例を除いた男性19,782例,女性21,500例で解析:461,761人・年(平均11年)の追跡期間中,脳卒中は男性で702例(女性447例)発症。うち画像診断をした609例(女性411例)での脳実質内出血は219例(129例),くも膜下出血73例(106例),脳梗塞が327例(176例)(ラクナ梗塞144例[90例],大血管閉塞梗塞56例[33例],塞栓性梗塞86例[31例],その他の梗塞41例[22例])であった。心血管危険因子およびPHCで調整後の喫煙例の非喫煙例に比べた相対リスクは,全脳卒中1.27(女性1.98),実質内出血0.90(1.53),くも膜下出血3.60(2.70),脳梗塞1.56(1.57)。男性で脳梗塞リスクは喫煙本数依存の関連が認められた。喫煙とラクナ梗塞,大血管閉塞梗塞間に同様の正の関係がみられたが,塞栓性梗塞とはみられなかった(Mannami T et al for the Japan public health center-based prospective study on cancer and cardiovascular disease group: Cigarette smoking and risk of stroke and its subtypes among middle-aged Japanese men and women; the JPHC study cohort I. Stroke. 2004; 35: 1248-53.)。 PubMed
  • Iso H et al for the JPHC study group: Intake of fish and n3 fatty acids and risk of coronary heart disease among Japanese; the Japan public health center-based (JPHC) study cohort I. Circulation. 2006; 113: 195-202. PubMed

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収載年月2006.11
更新年月2018.02