循環器トライアルデータベース

SISR
Sirolimus-Eluting Stent for In-Stent Restenosis

目的 ベアメタルステント再狭窄例において,sirolimus溶出ステント(SES)の安全性と有効性を本例における治療法として唯一認められている冠動脈内放射線治療(VBT)と比較する。
一次エンドポイントは9か月後の心臓死,心筋梗塞(MI),標的血管血行再建術。
コメント ベアメタルステント後の標的血管血行再建術(TVR)の割合は単純病変に対しては10~15%であるが,複雑病変では2~3倍に増大するので臨床上問題である。ベアメタルステント再狭窄例に対してPOBA,アテレクトミー,再ステントなどが施行されたが,30~60%の症例はTVRが必要である。ベアメタルステント再狭窄例に対して冠動脈内放射線療法(VBT)はTVRが15~20%であり,唯一認められている治療法であるが,放射線の安全性,操作がむずかしいこと,治療域両端の再狭窄が多いこと,3年後には効果は消失しうることより,利用は制限されている。ベアメタルステント再狭窄例に対して薬剤溶出ステント(Cypher,Taxus)を用いた初期のランダム化されていない成績では血管造影上も臨床転帰上においても有用であり,再狭窄率は20%以下であった。ランダム化された研究としてはISAR-DESIRE studyがあり,ステント再狭窄例に対して薬剤溶出ステントはPOBAよりも血管造影上有用であった。本研究ではVBTと比較しても薬剤溶出ステントCypherのステント再狭窄例に対する効果は,血管造影上,臨床転帰上でも認められており,臨床的インパクトの大きい結果である。薬剤溶出ステントは急性期獲得径が大きいこと,VBTでは治療域両端の再狭窄が多いことが今回の結果と関連している。Cypherの代わりにTaxusを用いたTAXUS V ISR studyでも結果はほぼ同等である。新規病変に対して薬剤溶出ステントは長期的に治療効果が消失することは未だ報告されていないが,今回の研究でもステント内血栓の症例がみられることを考え合わせると,長期的に臨床的有用性が持続するかどうかは当然検討されるべき課題である。(星田
デザイン 無作為割付け,多施設(教育病院および地域病院26施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は血管造影は6か月,臨床転帰は9か月。登録,ランダム化期間は2003年2月12日~2004年7月27日。追跡終了は2005年6月30日。
対象患者 384例。安定/不安定狭心症既往あるいは無症候性心筋虚血の記録があるもの。標的病変は病変長15~40mm,血管径が目測で2.5~3.5mmのベアメタルステント再狭窄。
除外基準:24時間以内のMI,EF<40%,胸部放射線治療あるいは血管内放射線治療例,完全閉塞,>50%の狭窄を有するプロテクトされていない左主幹部病変,30日以内の非標的病変治療例あるいは試験開始後に治療が予定されている非標的病変,クレアチニン≧2mg/dL,標的病変に最初のステント植込みから4週間以内のもの。
■患者背景:平均年齢62.9歳,男性67.4%,MI既往47.1%,不安定狭心症48.3%。標的病変:type B2 33.5%,type C 41.4%,左前下行枝46.9%。完全閉塞はVBT群1.6%,SES群6.7%(p=0.04)。
治療法 VBT群(125例):線源はβ線かγ線,SES群(259例)。
手技中,VBT群は活性化凝固時間>300秒,SES群は>250秒を維持するようにheparinを投与。GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の投与は医師の裁量とした。手技前,手技後,全例にaspirin 325mg/日を経口投与し,clopidogrel(300~375mgで投与開始後75mg/日)あるいはticlopidine(500mgで投与開始後250mg×2回/日)を投与。
結果 最小血管径はVBT群(手技前0.86mm[p=0.06]→手技後1.87mm[p<0.001]→ 6か月後1.52mm[p<0.001]),SES群(0.78mm→ 2.06mm→ 1.80mm),狭窄率はVBT群(67.48%[p=0.04]→ 28.91%[p<0.001]→ 40.97%[p<0.001]),SES群(70.38%→ 23.53%→ 32.35%)。急性期獲得径はVBT群1.02mm,SES群1.27mm(p<0.001),総獲得径は0.68mm vs 1.00mm(p<0.001),晩期損失は0.33mm vs 0.27mm(p=0.33),binary 再狭窄率は29.5% vs 19.8%(p=0.07)。
一次エンドポイントはVBT群27例(21.6%),SES群32例(12.4%)とSES群で有意に抑制された(相対リスク[RR]1.7;95%信頼区間(CI)1.1~2.8,p=0.02)。
標的病変血行再建術は19.2% vs 8.5%(RR 2.3;95%CI 1.3~3.9,p=0.004)。
★結論★ベアメタルステント再狭窄において,SESは血管造影結果および臨床転帰でVBTを凌いだ。
ClinicalTrials gov Identifier: NCT00231257
文献
  • [main]
  • Holmes DR Jr et al for the SISR investigators: Sirolimus-eluting stents vs vascular brachytherapy for in-stent restenosis within bare-metal stents; the SISR randomized trial. JAMA. 2006; 295: 1264-73. PubMed

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EBM 提供:大日本住友製薬 「循環器トライアルデータベース
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収載年月2006.05