循環器トライアルデータベース

REALITY

目的 新規病変において,sirolimus溶出ステント(CYPHER)とpaclitaxel溶出ステント(TAXUS)の安全性と有効性を比較する。
一次エンドポイントは8か月後の病変内binary再狭窄(>50%の狭窄率)。
コメント REALITY trialはCYPHER vs TAXUSのランダム化比較試験(RCT)の中で,最初の多施設試験であり症例数も最大である。再狭窄を一次エンドポイントに設定したため慢性期冠動脈造影の施行率も92%と最も高い。ステント内再狭窄・慢性完全閉塞・高度石灰化病変など,従来再狭窄率が高いとされる病変が除外されている点は若干「reality」に欠ける嫌いはあるが,対象血管は平均2.4mmと最小でかつ病変長も17.0~17.3mmと最長である。結果としては再狭窄率やTLR,TVRに有意差は出なかったが,術後の最小血管径(MLD)はCYPHER群の方が小さかったにも関わらず,慢性期のMLDは有意に大きく,late lossも有意に少ないなど,これまでの報告と同様に,新生内膜増殖の抑制効果はCYPHER群の方が強いことが示された。また,新生内膜の抑制がre-endotheliazationの遅れにつながるとの懸念もあるが,ステント血栓症は逆にTAXUS群で多く,これを反映してQ波梗塞も有意に多かった。これは他のPCTでは認められていない結果である。
REALITYを除くこれまでのRCT(SIRTAX,ISAR-DESIRE,ISAR-DIABETES,CORPAL,TAXI)は参加施設数,症例数,対象病変の偏り,core lab の独立性などに若干問題があり,本トライアルも上述のように,決して“real world ”とは言えないなど,真のhead-to-head trialとして疑問視する意見もある。米国では現在8施設が参加してSTENT(Strategic Transcatheter Evaluation of New Therapies) registryが6000例を超える規模で進行中である。RCTではないが,“real world” head-to-head analysisとして注目される。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(欧州,ラテンアメリカ,アジアの90施設),intention-to-treat解析。
期間 臨床転帰の追跡期間は12か月,血管造影追跡は8か月。ランダム化期間は2003年8月~2004年2月。
対象患者 1386例。18歳以上,直径2.25~3.00mm(目測)のnative 冠動脈での1枝あるいは2枝病変において1~2か所の新規病変を有する症例,安定,不安定狭心症(CCS I~IV度,Braunwald B,C,I~III),あるいは無症候性虚血。標的病変は病変長が1つは15mm以上,もう1つは10mm以上で目測51~99%の狭窄で両病変ともTIMI grade 1以上。
除外基準:72時間以内のQ波あるいは非Q波心筋梗塞で最初のクレアチンキナーゼ(CK)が標準上限値の2倍以上,かつCKおよびCK-MB分画の異常が手技時にも持続しているもの;Braunwald AI~IIIの不安定狭心症;プロテクトされていない左主幹部病変(50%狭窄以上)あるいは標的病変以外に近位あるいは遠位に50%以上の狭窄がある;血栓あるいは前拡張できない石灰化病変;EF<25%など。
■患者背景:平均年齢62.6歳,男性73.1%,糖尿病28%,安定狭心症50%,不安定狭心症30%。病変;2つ以上の病変(CYPHER群39.5%,TAXUS群38.0%),左前下行枝(49.9%,48.1%),左回旋枝(24.9%,29.5%),右冠動脈(24.7%,22.0%),平均病変長(16.96mm,17.31mm),平均参照血管径(両群とも2.40mm),中等度から重度の石灰化(36.6%,32.8%),ACC/AHA病変タイプB2(60.5%,60.0%)。
治療法 CYPHER群(701例):ステント長8~33mm,ステント径2.25~3.00mm,TAXUS群(685例):ステント長8~32mm,ステント径2.25~3.00mm。
1患者における異なる薬剤溶出ステントの使用は不可とした。
抗血小板療法:手技前;12時間以上前からaspirin 100mg以上を投与し,手技前あるいは手技直後にclopidogrelを300mgで投与を開始し75mg/日投与(または手技前3日以上75mg/日を維持投与。あるいは手技前24時間以内にticlopidine 250mg×2回/日)。周術期;heparinを活性化凝固時間250秒以上に達し維持するようボーラス投与。手技後;clopidogrel 75mg/日あるいはticlopidine 250mg×2回/日。長期;aspirin 100mg/日を全例無期限投与,clopidogrel 75mg/日またはticlopidine 250mg×2回/日をCYPHER群は2か月以上,TAXUS群は6か月以上投与。
結果 解析対象はCYPHER群684例970病変,TAXUS群669例941病変。
植込んだステントが1本のものは546例(40%),2本が487例(36%),3本は206例(15%),4本以上は111例(8%)。1例当たり平均1.9本,1病変当たり1.4本。平均ステント径は2.8mm,ステント長はCYPHER群22.8mm,TAXUS群23.5mm。手技中の最大拡張圧はCYPHER群に比べTAXUS群で有意に低かった。
一次エンドポイントはCYPHER群86例(9.6%),TAXUS群95例(11.1%)で両群間に有意差は認められなかった(相対リスク[RR]0.84;95%信頼区間0.61~1.17,p=0.31)。
手技直後のステント内最小血管径(MLD)はCYPHER群の方が有意に小さく(2.08mm vs 2.16mm,p<0.001),ステント内狭窄率は有意に大きかった(15.96% vs 15.00%,p=0.004)にもかかわらず,8か月後のMLD(ステント内:2.00mm vs 1.85mm,p<0.001,病変内1.79mm vs 1.71mm,p<0.001),狭窄率(それぞれ23.11% vs 26.71%[p<0.001],29.11% vs 31.06%[p=0.009]),晩期損失(0.09mm vs 0.31mm[p<0.001],0.04mm vs 0.16mm[p<0.001]),ステント内晩期損失index(0.08% vs 0.26%[p<0.001])とCYPHER群が有意に良好であった。
1年後の有害心イベントは73例(10.7%) vs 76例(11.4%)で両群間に差はみられなかった(p=0.73)。標的血管血行再建術も14例(2.0%) vs 12例(1.8%)と差はなかったが,ステント血栓症は5例(0.7%) vs 13例(1.9%)(p=0.06)とTAXUS群に多い傾向が認められ,Q波梗塞も1例(0.1%) vs 8例(1.2%)と有意にTAXUS群で多かった(p=0.02)。
★結論★binary再狭窄と主要有害心イベントにおいて,sirolimus溶出ステントとpaclitaxel溶出ステント間に差は認められなかった。
ClinicalTrials. gov identifier: NCT00235092
文献
  • [main]
  • Morice MC et al for the REALITY trial investigators: Sirolimus- vs paclitaxel-eluting stents in de novo coronary artery lesions: the REALITY trial; a randomized controlled trial. JAMA. 2006; 295: 895-904. PubMed

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EBM 提供:大日本住友製薬 「循環器トライアルデータベース
ライフサイエンス出版
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収載年月2006.05