循環器トライアルデータベース

DIABETES
Diabetes and Sirolimus-Eluting Stent

目的 糖尿病患者のnative血管の新規病変において,再狭窄予防効果をsirolimus溶出ステントと標準ステントとで比較する。
一次エンドポイントは9か月後のセグメント内晩期損失。
コメント 糖尿病は世界中で1億5000万人以上が罹患している。2型糖尿病の死亡の大部分が動脈硬化性大血管障害と関連する。特に,心血管病は糖尿病患者の入院の75%,死亡の80%に関与する。糖尿病患者の冠動脈病変は,びまん性病変,主幹部病変,末梢病変が多く,急速に進行するなどの特徴がある。冠血行再建術の長期臨床効果は非糖尿病患者よりも悪く,再狭窄率もより高い。薬剤溶出ステント(DES)は中程度までのリスク症例の治療に有用であると報告されているが,糖尿病患者では1枝病変で血管径が大きい例(2.5mm以上)のみ有用であるとされていた。本研究では,糖尿病患者の新規病変に対するDESの有用性を評価しており,血管径・血管長・インスリン使用の有無にかかわらず再狭窄率,標的病変血行再建術,有害心イベントを有意に減少させた。標準ステントではlate lossが予想以上に少なかったが,DESが血管造影上,臨床上ともに有用性を示したことは特筆に値する。しかし,DESはステントedgeに再狭窄が多く,標準ステントとedgeだけに注目すると差はみられない。SIRIUS trialのサブグループ解析で,インスリン使用の糖尿病患者ではステントedgeの再狭窄が多く,cypher(sirolimus溶出ステント)が有意な臨床効果を得られなかったことと関連し得る。1年間の多剤抗血小板療法(aspirin+clopidogrel)により,DES群ではステント内血栓が1例もみられていないので,長期の薬剤投与の必要性が再確認された。糖尿病患者において,再狭窄例のDESの効果,DESとCABGのどちらがよいかはまだ明らかではない。(星田
デザイン 無作為割付け,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は270日。登録期間は2003年2月~11月。
対象患者 160例。インスリンあるいは血糖降下薬を1か月以上服用しているもので,症状あるいは客観的虚血の証拠がある1~3枝のnative血管に新規病変を有するもの。血管造影で視覚的な血管径が<4mm。
除外基準:薬物治療を受けていない耐糖能異常,妊娠糖尿病,一過性高血糖;伏在静脈バイパスの狭窄,動脈バイパスグラフト,プロテクトされていない左主幹部あるいは重要な側枝に位置する狭窄;EF<25%など。
■患者背景:平均年齢66.5歳,男性62.5%,BMI 29.1,HbA1c 7.3%,2型糖尿病66.9%,高脂血症61.3%,高血圧66.3%,労作性狭心症30.0%,不安定狭心症;トロポニン[-]40.0%;[+]17.5%,多枝疾患 65.0%,左前下行枝41.2%,B2/C class病変80.1%,参照径2.34mm,最小血管径0.9mm,病変長15.0mm,狭窄率62%,慢性完全閉塞13.1%。
治療法 sirolimus溶出ステント群(80例111病変),標準ステント群(80例110病変)。
全例にaspirin 100~300mg/日およびclopidogrel(300mgで投与開始後,75mg/日を1年間投与)を経口投与。周術期にheparinをボーラス静注(100IU/kgあるいはプロトコールで推奨しているGP IIb/IIIa阻害薬投与の場合は70IU/kg)。
結果 一次エンドポイントはsirolimus溶出ステント群0.06mm,標準ステント群0.47mm(p<0.001)。
標的病変血行再建術(7.3% vs 31.3%)および主要な有害心イベント(11.3% vs 36.3%)は,sirolimus溶出ステント群で有意に少なかった(それぞれp<0.001)。インスリン使用例も非使用例もsirolimus溶出ステントの効果に差は認めなかった。
ステント血栓は標準ステント植込み後の2例で発生し,sirolimus溶出ステント群で1例が難治性心不全により死亡。
★結論★糖尿病患者の新規病変へのsirolimus溶出ステント植込みは安全で,血管造影および臨床上の再狭窄を標準ステントよりも抑制した。
文献
  • [main]
  • Sabate M et al for the DIABETES investigators: Randomized comparison of sirolimus-eluting stent versus standard stent for percutaneous coronary revascularization in diabetic patients: the diabetes and sirolimus-eluting stent (DIABETES) trial. Circulation. 2005; 112: 2175-83. PubMed
  • [substudy]
  • sirolimus溶出ステント(SES)はステント内新生内膜過形成(NIH)を有意に抑制(NIH面積[中央値]は0.01mm2 vs 2.0mm2,容積は0.11mm3 vs 35.3mm3,それぞれp<0.0001)。ステントエッジでも抗再狭窄効果が認められた。SES群ではステント不完全密着が多かった(p=0.001):J Am Coll Cardiol. 2006; 47: 2172-9. PubMed

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EBM 提供:大日本住友製薬 「循環器トライアルデータベース
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収載年月2006.02
更新年月2006.07