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MEGA
Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese

目的 冠動脈疾患(CHD),脳卒中の既往のない高コレステロール血症の日本人において,HMG-CoA reductase阻害薬pravastatinのCHD一次予防効果を検討する。
一次エンドポイントは主要な複合冠動脈疾患(致死的・非致死的心筋梗塞,狭心症,心臓突然死,血行再建術)。
コメント わが国ではじめて大規模無作為試験として発表されたスタチンの一次予防試験である。18%のLDL-Cの低下で33%の冠動脈疾患の予防に成功した。さらに本来の試験期間である5年次で区切ると脳卒中,総死亡も有意に減少することが明らかになった。本試験は,Lancet誌のeditorial commentに取り上げられている。日本人という低リスクの高脂血症患者でもスタチンでLDL-Cを低下させる意義が明らかになった点を評価しているが,女性で有意差が示せなかった点と絶対的なリスクの低さに対する問題点を提起している。女性の問題はさらにサブ解析が出てくると思われるのでここで議論すべき問題ではないと思われるが,絶対的なリスクの低さはNNT(一人の患者を救うために必要な治療人数)が119人(4Sで13人,AFCAPSで50人)という点に表現されている。今後の費用対効果の題材になりそうである。また,このような絶対的リスクの低減化にもかかわらず安全性に問題なく総死亡の低下をもたらしたという点が評価されたといってよいであろう。(寺本
デザイン PROBE(prospective randomised, open, blinded endpoints),多施設,intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は5.3年。
登録期間は1994年2月~1999年3月,追跡期間は2004年3月末まで(当初は5年間の追跡予定であったが,データ安全モニタリング委員会の勧告により十分なイベント数を得るためさらに5年延長した)。
対象患者 7832例。40~70歳の男性,閉経後~70歳の女性;体重≧40kg;総コレステロール値(TC)220~270mg/dL。
主な除外基準:家族性高脂血症;CHD,脳卒中の既往。
■患者背景:平均年齢(pravastatin+食事療法群58.2歳,対照群58.4歳),BMI(両群とも23.8kg/m²),血圧(132.0/78.4mmHg,132.4/78.8mmHg),高血圧(両群とも42%),糖尿病(両群とも21%),喫煙例/喫煙歴(21%,20%),TC(両群とも242mg/dL),トリグリセライド(TG:両群とも127mg/dL),HDL-C(両群とも58mg/dL),LDL-C(両群とも156mg/dL),リポ蛋白(a)(両群とも24.8mg/dL)。治療状況:降圧薬(両群とも39%),Ca拮抗薬(両群とも26%),ACE阻害薬/ARB(12%,13%),β遮断薬(両群とも8%),利尿薬(両群とも3%),aspirin(両群とも1%)。
治療法 pravastatin+食事療法群(3866例;男性1228例,女性2638例):pravastatin 10mg/日で投与を開始し,TCが220mg/dL以下に下がらない場合は医師の裁量で20mg/日まで漸増投与,およびNCEP step Iに基づく食事療法。対照(食事療法単独)群(3966例;男性1248例,女性2718例):脱落を防ぐのに有効だと思われる場合は穏やかな脂質低下薬(γ-oryzanol,riboflavin butyrate,pantethine)の投与可。
ベースライン時および治療開始後のTCが270mg/dLを超える症例はスタチン系薬剤を含むその他の強力治療に切り換えることができることとした。
結果 5年以上の追跡率は98.7%で両群間に差はなかった。登録期間をさらに5年延長することに同意しなかったものは1013例。
pravastatin+食事療法群でのpravastatin投与率は1年後95%,5年後90%,9年後89%,対照群のスタチン系薬剤(ほとんどがpravastatin)投与率はそれぞれ9%,25%,41%。pravastatinの平均投与量は8.3mg。抗血栓薬,降圧薬,糖尿病治療薬の併用は両群同様であった。
[脂質値の変化]
TCはpravastatin+食事療法群(1年後-12%→ 5年後-12%→ 9年後-14%;追跡期間平均11%低下),対照群(-1%→-3%→-5%;平均2%低下),トリグリセリドは-14%→-13%→-16%;7%(中央値)低下,-8%→-10%→-5%;2%(中央値)低下,HDL-Cは+5%→+7%→+8%;5%上昇,+1%→+5%→+3%;2%上昇,LDL-Cは-19%→-19%→-22%;18%低下,-2%→-5%→-9%;3%低下。
[一次エンドポイント]
pravastatin+食事療法群66例,対照群101例で,pravastatin+食事療法群で有意に抑制された(対照群と比べたpravastatin+食事療法群のハザード比[HR]0.67:95%信頼区間[CI]0.49~0.91,p=0.01)。NNTは119。
心筋梗塞17例 vs 33例(HR 0.52:95%CI 0.29~0.94,p=0.03;NNTは255),心臓突然死5例 vs 10例(HR 0.51:0.18~1.50,p=0.21),狭心症46例 vs 57例(HR 0.83:0.56~1.23,p=0.35),血行再建術39例 vs 66例(HR 0.60:0.41~0.89,p=0.01)。
[二次エンドポイント]
脳卒中は50例 vs 62例(HR 0.83),うち脳梗塞は34例 vs 46例(HR 0.76)でpravastatin+食事療法群で低かったが有意差はなかった。
全死亡は55例 vs 79例(HR 0.72:0.51~1.01,p=0.055),うち心血管死は11例 vs 18例(HR 0.63,p=0.22),非血管死は44例 vs 61例(HR 0.74,p=0.13)。癌の発症(6.0例/1000人・年 vs 6.2例/1000人・年),クレアチンキナーゼ異常(>500IU/L:3.1% vs 2.6%),その他の有害イベントにおいて両群間に有意差はみられなかった。
★考察★日本人においてpravastatin低用量治療により欧米の高用量治療と同様の冠動脈疾患抑制効果が認められた。
ClinicalTrials No.: NCT00211705
文献
  • [main]
  • Nakamura H et al for MEGA study group: Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA study): a prospective randomised controlled trial. Lancet. 2006; 368: 1155-63. PubMed
  • [substudy]
  • 高血圧合併症例においても,pravastatinは心血管疾患,特に脳梗塞を抑制した。
    高血圧合併患者(3277例):pravastatin+食事療法群(1613例),対照群(1664例)での結果(vs 非高血圧患者4555例)。
    ■患者背景:平均年齢(高血圧群60歳,非高血圧群57歳:≧65歳:29%,19%),女性(70%,67%),血圧(141/83mmHg,126/75mmHg),肥満(BMI≧25kg/m2:42%,25%),TC(242mg/dL,243mg/dL),LDL-C(156mg/dL,157mg/dL),HDL-C(56mg/dL,59mg/dL),TG(中央値:137mg/dL,121mg/dL)。高血圧例で降圧薬投与例は,pravastatin+食事療法群88%,対照群89%:Ca拮抗薬(62%,63%),ACE阻害薬(両群とも28%),β遮断薬(両群とも23%)。
    ・pravastatin+食事療法群を対照(食事療法)群と比べた相対リスク低下
    冠動脈疾患:29%低下:ハザード比0.71;95%信頼区間0.46~1.10(p=0.12)。
    脳梗塞:46%低下:0.54;0.29~0.98(p=0.04),NNT=115。
    冠動脈疾患+脳梗塞:35%低下:0.65:0.46~0.93(p=0.02),NNT=61。
    心血管イベント:33%低下:0.67;0.49~0.91(p=0.01),NNT=50:Hypertension. 2009; 53: 135-41. PubMed
  • 糖尿病サブ解析:pravastatinは空腹時血糖異常症例においても心血管リスクを低下した。
    空腹時血糖正常例(NFG)に比べベースライン時のHDL-Cが有意に低く,TG,空腹時血糖,HbA1cが有意に高かった空腹時血糖異常(AFG)例は2210例(糖尿病1746例,耐糖能障害[IFG]464例)で,心血管疾患はNFGに比べ3倍(糖尿病例3倍,IFG例2倍)。
    AFG例における心血管疾患リスクはpravastatin+食事療法群で対照群よりも32%有意に低下(ハザード比0.68;95%信頼区間0.48~0.96),NNTは42。AFGとNFGとに有意な相互関係はみられなかった(p=0.85)。安全面での問題は観察されなかった:Atherosclerosis. 2008; 199: 455-62. PubMed
  • 閉経後女性(5356例)におけるpravastatinの心血管疾患抑制効果は男性と同様。本有効性は60歳以上で顕著であった。
    心血管イベントはpravastatin+食事療法群で37%,対照群で26%それぞれ低下した。低下率の違いは有意差には至らなかったが,全体のリスク低下は男性と同様であった。60歳以上:pravastatin+食事療法群は対照群に比べ,冠動脈疾患(CHD)は45%,CHD+脳梗塞は50%,脳卒中は64%それぞれ低下し,抑制率が大きかった:Circulation. 2008; 117: 494-502. PubMed

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収載年月2005.10
更新年月2009.01