循環器トライアルデータベース

MOSES
Morbidity and Mortality after Stroke, Eprosartan Compared with Nitrendipine for Secondary Prevention

目的 脳卒中既往高血圧患者において,降圧レベルが同様であればAII受容体拮抗薬eprosartanの脳心血管合併症および死亡抑制効果はCa拮抗薬nitrendipineよりも大きいという仮説を検証する。一次エンドポイントは全死亡+全脳心血管イベント(含む全再発イベント)。
コメント Syst-Eur試験で用いられたnitrendipineとeprosartanという世界的にもなじみの少ないARBとの直接比較であり,VALUE試験と同じARBのbeyond blood pressure lowering effectを証明する目的で行われた試験である。Syst-Eurでのnitrendipineは10mg×2回/日であるのに対し,本試験は10mg×1回/日であり,対決相手の効力を弱めるという作戦が功を奏した形である。(桑島
デザイン PROBE(Prospective Randomised Open Blinded Endpoints),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は2年以上4年以内(平均2.5年)。試験開始は1998年10月,登録終了は2002年2月。
対象患者 1405例。治療が必要な高血圧;過去24か月に脳血管イベント発症例。
除外基準:内頸動脈閉塞あるいは>70%の狭窄;顕性心不全(NYHA心機能分類III~IV度);脳血管イベント発症時に>85歳;不整脈治療のための抗凝固薬投与例;不安定狭心症など。
■患者背景:平均年齢(eprosartan群67.7歳,nitrendipine群68.1%),男性(53.6%,54.8%),外来血圧(150.7/87.0mmHg,152.0/87.2mmHg),24時間血圧(139.7/81.7mmHg,140.0/81.5mmHg),昼間血圧(143.1/84.0mmHg,143.9/84.3mmHg),夜間血圧(132.1/75.8mmHg,132.1/75.6mmHg)。併発疾患:糖尿病(36.0%,37.7%),高脂血症(54.3%,51.9%),冠動脈疾患(27.2%,25.3%)。治療状況:高血圧治療既往(82.8%,85.1%),ACE阻害薬(55.3%,56.0%),β遮断薬(37.1%,35.2%),Ca拮抗薬(28.7%,31.7%),利尿薬(14.2%,13.7%),アンジオテンシン受容体拮抗薬(13.8%,14.2%)。
治療法 試験開始前の治療薬は中止し試験薬に切り換えた。
eprosartan群(681例):600mg/日,nitrendipine群(671例):10mg/日。
3週目から増量あるいは併用投与を可としたが,ACE阻害薬,AT1受容体拮抗薬,Ca拮抗薬の併用は避けた。目標血圧は<140/90mmHg。
結果 降圧はeprosartan群で150.7/84.0mmHg→ 137.5/80.8mmHg ,nitrendipine群で152.0/87.2mmHg→ 136.0/80.2mmHg(自由行動下血圧)。3か月後に<140/90mmHgを達成した例はeprosartan群75.5%,nitrendipine群77.7%。
一次エンドポイントの発生は461例でeprosartan群206例,nitrendipine群255例,これは13.3例/100人・年 vs 16.7例/100人・年で,発生密度比(incidence density ratio:IDR) 0.79(p=0.014)。
心血管イベントは178例でeprosartan群77例,nitrendipine群101例(IDR 0.75,p=0.06)。脳血管イベントは236例で102例 vs 134例(IDR 0.75,p=0.03)。
有害イベントはめまい/低血圧(12.9% vs 10.6%),肺炎(10.8% vs 11.4%),代謝不全(5.5% vs 5.9%)と両群間に差はみられなかった。
★結論★脳卒中既往の高リスク高血圧患者において,AT1受容体拮抗薬,Ca拮抗薬は早期正常血圧化および降圧は同様であった。複合一次エンドポイントはeprosartan群が有意に抑制した。
文献
  • [main]
  • Schrader J et al for the MOSES study group: Morbidity and mortality after stroke, eprosartan compared with nitrendipine for secondary prevention; principal results of a prospective randomized controlled study (MOSES). Stroke. 2005; 36: 1218-26. PubMed

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収載年月2005.08