循環器トライアルデータベース

SES-SMART
Sirolimus-Eluting Stent in the Prevention of Restenosis in Small Coronary Arteries

目的 小血管におけるsirolimus溶出ステントの8か月後の再狭窄抑制効果をベアステントと比較。
コメント RAVEL・SIRIUS trial等の長期成績が明らかになるに従ってSirolimus eluting stent (SES) の有効性に関する興味は単純性病変から“real world”の複雑性病変に移りつつある。従来の治療法では再狭窄・標的血管血行再建術(TLR)が高頻度であった小血管もその一つである。これまで発表された小血管に対するbare metal stent(BMS)とバルーン(PTCA)との比較試験にはISAR-SMART・SISA・CORDIS-MICA・COAST・BESMART・RAP・SISCA trialなどがある。慢性期再狭窄率やTLRは対象病変とacute resultによって左右され,BMSが優れる結果と両者が相拮抗するとの報告とに分かれている。SESを用いた本トライアルでは,平均対照血管径がこれまでで最小の2.22mmであったにもかかわらず,SES群での8か月でのlate loss(0.16mm)は,0.54~1.04mmだった上記トライアルのBMSでの結果を遙かに凌ぐ。またこれまでは実証されていない心筋梗塞発症率の低下も注目に値する。late lossの結果はE-SIRIUSやSVELTE trialと同等であり,SESは小血管においても短・中期成績は良好と考えられる。さらに長期予後を改善するかが残る大きなテーマとなる。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,単盲検,多施設(イタリアの20施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は8か月。登録期間は2002年8月~2003年2月。
対象患者 257例。18歳以上;非持続性ST上昇型の急性冠症候群(ACS);安定性狭心症;運動負荷試験により誘発される無症候性心筋虚血;≦2.75mmのnative血管に未治療の50~99%の単独病変(1本のステントで完全にカバーできるもの。最大ステント長は33mm)。
除外基準:最近(15日以内)のST上昇ACS,重症石灰化,血栓を有する病変,EF<30%など。
■患者背景:平均年齢63.6歳,男性71.6%;sirolimus溶出ステント群76.7%,uncoatedステント群66.4%(p=0.07),糖尿病24.9%;19.4%,29.7%(p=0.06),高血圧64.7%,高脂血症63%,心筋梗塞既往28.8%,臨床経過(p=0.06):ST上昇を伴わないACS42.3%;48.8%,35.8%,慢性安定狭心症46.4%;43.4%,46.9%,無症候性心筋虚血11.3%;8.0%,14.6%。参照血管病径2.20mm;2.22mm,2.17mm(p=0.15),病変長11.84mm;13.01mm,10.66mm(p=0.002)。
治療法 sirolimus溶出ステント群(129例),uncoatedステント群(128例)。使用ステント径は2.25,2.50,2.75mm,ステント長は8,13,18,23,28,33mm。
手技の前に,全例にaspirin,clopidogrel(手技の少なくとも2時間前に300mgで投与開始)を投与。手技中にheparin 70U/kgをボーラス投与後,活性化凝固時間が>250秒になるよう追加ボーラス投与し,手技終了後ただちに投与を中止した。
8か月後に追跡冠動脈造影を実施。
結果 一次エンドポイントである8か月後の再狭窄率はin-segment(ステント前後5mmを含む)でsirolimus溶出ステント群9.8%,uncoatedステント群53.1%[相対リスク(RR)0.18;95%信頼区間(CI)0.10~0.32,p<0.001]。in-stentで4.9%, 49.1%(RR 0.10;95%CI 0.04~0.22,p<0.001)。晩期損失は各々0.16mm,0.69mm(p<0.001)であった。
主要な有害心イベントは12例(9.3%) vs 40例(31.3%)でsirolimus溶出ステント群で有意に少なかった(RR 0.30;95%CI 0.15~0.55,p<0.001)。これはおもに同群で標的血管の血行再建術(7% vs 21.1%:RR 0.33;95%CI 0.14~0.70,p=0.002)および心筋梗塞(1.6% vs 7.8%:RR 0.20;95%CI 0.01~0.93,p=0.04)が低下したためであった。
★結論★sirolimus溶出ステントは小血管におけるアテローム性動脈硬化病変の再狭窄を抑制し,主要な有害心イベントを予防する。
文献
  • [main]
  • Ardissino D et al for the SES-SMART investigators: Sirolimus-eluting vs uncoated stents for prevention of restenosis in small coronary arteries: a randomized trial. JAMA. 2004; 292: 2727-34. PubMed

▲pagetop
EBM 提供:大日本住友製薬 「循環器トライアルデータベース
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2005.03