循環器トライアルデータベース

IMPACT-HF
Initiation Management Predischarge: Process for Assessment of Carvedilol Therapy in Heart Failure

目的 心不全(HF)入院患者において,退院前のβ遮断薬carvedilol治療開始が副作用の増加や初回の入院期間の延長をもたらすことなく60日後のβ遮断薬使用率を増加するかを検討。
一次エンドポイントは60日後にβ遮断薬治療を受けている患者数。
デザイン 無作為割付け,オープンラベル,多施設(米国の45施設)。
期間 2001年5月~'02年10月。追跡期間は60日。
対象患者 363例。EF<40%で,心不全をprimary diagnosisとする入院患者。
除外基準:ランダム化前30日以内のβ遮断薬治療;inotropic supportを要するNYHA心機能分類IV度の非代償性HF;ペースメーカー不使用の症候性徐脈/2~3度の房室ブロック/洞不全症候群;気管支喘息または気管攣縮性の強い患者;症候性低血圧;心原性ショック;生存の見込みが60日未満;carvedilol の過敏症;臨床的に著明な肝機能障害;妊娠または授乳。
■患者背景:平均年齢67歳,女性47%,少数民族35%,EF中央値25%,糖尿病(退院前投与開始群36.8%,退院後投与開始群41%),高脂血症(29.2%,29.8%),入院からランダム化までの時間(61.9時間,60.0時間),治療背景;ACE阻害薬(74.6%,74.2%),AII受容体拮抗薬(8.6%,6.2%),digoxin(50.8%,42.1%),利尿薬(80%,82.6%),spironolactone(27%,28.1%)。
治療法 退院前投与開始群(185例):HFの症状が安定した後,退院の12時間前までに随時投与を開始。carvedilol 3.125mg×2回/日投与,退院後投与開始群(178例):Heart Failure Society of AmericaのHF治療ガイドラインに基づき,退院から2週間以降を目安に開始,β遮断薬名の指定はないが,FDAによるHFの適応であるcarvedilol/metoprololを推奨。
結果 一次エンドポイントは,退院前投与群165例(91.2%)で退院後使用群130例(73.4%)より有意に多かった(p<0.0001)。
目標用量の達成率も退院前投与群の方が退院後投与群より高かった(平均達成率36.3% vs 28.6%)。60日以内のβ遮断薬投与中止は両群間に差がなかった(10.5% vs 10.6%)。投与中止までの時間は14日 vs 8日で退院後投与群の方がより短く,退院前の投与開始が不忍容や有害作用による早期の投与中止に関連することはなかった。投薬中止を要する徐脈,低血圧,HF悪化の発生率は低く,両群間差はなかった。入院期間は両群とも5日であった。二次エンドポイントである複合エンドポイント(死亡+再入院+HFによる予定外の来院までの時間,60日以内の利尿薬/強心薬/強心血管拡張薬/他の血管作動薬の静注,spironolactone以外の新たな経口利尿薬治療の追加,経口利尿薬治療の50%以上の増加)は,退院前開始群45.4% vs 退院後開始群46.1%(p=0.9)であった。
★結論★症状が安定しているHFの入院患者において,退院前のcarvedilol投与開始は副作用の増加や入院期間の延長をもたらすことはなく,60日後のβ遮断薬使用率を改善する一つのアプローチであると思われる。
文献
  • [main]
  • Gattis WA et al on behalf of the IMPACT-HF investigators and coordinators: Predischarge initiation of carvedilol in patients hospitalized for decompensated heart failure; results of the initiation management predischarge; process for assessment of carvedilol therapy in heart failure (IMPACT-HF) trial. J Am Coll Cardiol. 2004; 43: 1534-41. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2004.12