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Reykjavik Study

目的 大規模前向き研究(本研究)と最新のメタ解析から,C反応性蛋白(C-Reactive Protein:CRP)およびその他の炎症マーカーが冠動脈心疾患予測の適切な予測因子であるかを評価する。
コメント 急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome:ACS)の発症メカニズムが提唱され,その後,動脈硬化は炎症性疾患であるという総説が発表され,炎症と動脈硬化の関係が注目されている。さらに,最近の大規模臨床試験からスタチンのpleiotropic effectとしてCRPの抑制効果がスタチンのCHD抑制効果の一翼を担っているのではないかと期待されている。このような流れから,CRPはCHDの予測因子として従来の危険因子と同様に扱うべきであるという意見も提唱された。本論文は,CRPを従来の危険因子と比較検証した論文である。その結果,従来の危険因子ほどのパワーは示さなかった。この調査は,CRPとCHDの関連について,これまでで最大規模の調査であり,その結果が4つの大規模なコホート研究のメタ解析と同様であったことから,その信憑性は高い。しかし,CRPがイベントと密接に関連しているという事実はあり,短期的な関連性が否定されるものではない。今後,CRPを危険因子としてどのように評価していくべきか,議論を巻き起こしそうである。(寺本
デザイン 疫学。
期間 平均追跡期間は17.5年,対照群は20.6年。
参加者 6155例。心血管疾患の前向き研究として1967年に開始されたReykjavik Studyで,1995年12月31日までに主要な冠動脈イベントを発症したもの(患者群)2459例,心筋梗塞(MI)非発症生存例(対照群)3969例。
1966年12月1日にアイスランドのレイキャビクおよび隣接のコミュニティーの居住者のうち,1907~'34年生まれの男性,1908~'35年生まれの女性から1967~’91年に5回にわたりMI既往のない18569例(男性8888例,女性9681例)を登録。
■患者背景:冠動脈心疾患(CHD)発症平均年齢70.2歳,CRP(患者群1.75mg/L vs 対照群1.28mg/L),BMI(26 vs 25),血圧(146/89mmHg vs 141/87mmHg),喫煙例(58% vs 49%)でいずれもp<0.001。
調査方法 ベースライン時に採取したsample(検体)を測定。炎症マーカーレベルの個人内変動の定量化のため,12年間あけて379例の対となる検体を採取し測定した。
メタ解析:登録基準が疾患の有無に基づいていないコホートなど一般の人々を1年以上追跡した論文で,2003年1月までに発表されたもので行った。
結果 長期にわたるCRPの安定性については,個人内変動相関率が0.59と血圧,コレステロール値とほぼ同等の安定性を示した[95%信頼区間(CI) 0.52-0.66]。ベースライン時のCRP値が三分位の高値群と低値群を比較した場合,確立しているリスク因子に対しベースライン時の値で調整後の冠動脈心疾患のオッズ比(OR)は1.45(95%CI 1.25-1.68)。メタ解析(CHD発症7068例)の結果も同様であった。
Reykjavic StudyにおけるCHDのORは,赤血球沈降速度(OR 1.30,95%CI 1.13-1.51),von Willebrand因子濃度(OR 1.11,95%CI 0.97-1.27)はCRPより低く,高コレステロール(OR 2.35,95%CI 2.03-2.74),喫煙(OR 1.87,95%CI 1.62-2.16)などの確立されたリスク因子の方がCRPより高かった。
★結論★CRPはCHDの比較的中等度の予測因子である。CHDの予測因子としてのCRP測定の推奨は再検討の必要がある。
[主な結果]
  • 1967~'97年に33~84歳19,381例が参加し2002年まで追跡:全例で経口ブドウ糖負荷試験,胸部X線撮影を実施。2型糖尿病720例(3.7%),心不全733例(3.8%)。2型糖尿病および心不全は男性で47例(0.5%),女性で38例(0.4%),血糖調節異常(abnormal glucose regulation: AGR。耐糖能異常あるいは空腹時血糖異常)および心不全はそれぞれ64例(0.7%),55例(0.6%)であった。血糖調節正常例(16,650例)で心不全は529例(3.2%),AGR例(1,977例)では119例(6.0%),2型糖尿病例(720例)では85例(11.8%)。2型糖尿病と心不全のオッズ比は2.8,AGRと心不全は1.7(Thrainsdottir IS et al: The association between glucose abnormalities and heart failure in the population-based Reykjavik study. Diabetes Care. 2005; 28: 612-6.)。 PubMed
  • a)WHO-MONICAの基準を満たす症候性心筋梗塞(MI),b)ECG上の変化のみで発見される無症候性MI,c)Rose questionnaireおよびECG上で明らかになったMIに関連する狭心症で,安静中または労作性で,MIの症状のないもの,d)MIの徴候としての狭心症でECG上の変化のないもの,の有病率を別個に評価。1968~'86年の傾向を検討するため,期間を1967~'68,1970~'71,1974~'76,1979~'81,1983~'87年の5期間に分けて実施。
    1)若年者群(30~34歳)においてMIの有病率が検出不能なレベルであったのに対し,高齢者群(75~79歳)では約12%(症候性7%,無症候性5%)に上昇。冠動脈心疾患(CHD)の全形態の有病率も,若年者群4%に対し,高齢者群では23%であった。
    2)1968年のMI有病率[症候性および無症候性。95%信頼区間(CI)1.9-4.8]が3%であったのに対し,1986年には4.9%(信頼区間3.9-6.1)に上昇(p<0.001)。
    3)ECG上におけるMIの徴候の有無にかかわらず狭心症の有病率は,1968年の11.3%(95%CI 8.8-14.4)に対し,1986年は5%(95%CI 4.0-6.2)に低下(p<0.001)。これにより,全CHD有病率は,50~64歳の男性において,1968年の14.3%(95%CI 11.5-17.8)から,9.9%(95%CI 8.5-11.5)に低下(Sigurdsson E et al. Prevalence of coronary heart disease in Icelandic men 1968-1986; the Reykjavik study. Eur Heart J. 1993; 14: 584-91.)。 PubMed
  • Danesh J et al: C-reactive protein and other circulating markers of inflammation in the prediction of coronary heart disease. N Engl J Med. 2004; 350: 1387-97. PubMed

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EBM 提供:大日本住友製薬 「循環器トライアルデータベース
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収載年月2001.04
更新年月2006.06