循環器トライアルデータベース

TAXUS II
randomized, double-blind trial of 536 patients at 38 medical centers evaluating slow-release (SR) and moderate-release (MR) formulations of a polymer-based paclitaxel-eluting stent (TAXUS) for revascularization of single, primary lesions in native coronary arteries

目的 native冠動脈の新規1枝病変において,溶出速度の異なる2種類の抗腫瘍薬paclitaxel溶出ステント[TAXUS;slow-release(SR),moderate-release(MR)]の安全性と有効性を検討。
一次エンドポイントは,6か月後の血管内エコー(IVUS)で測定された新生内膜増殖によるステント内の閉塞率。
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(カナダ,アルゼンチン,シンガポール,欧州,オセアニアの38施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は5年。
本報は追跡期間12か月の結果。
ランダム化は2001年6月~2002年1月。
対象患者 536例。18歳以上。安定/不安定狭心症または無症候性虚血,PCI(percutaneous coronary intervention)またはCABG施行可能例。冠動脈造影上,直径3.0mm以上3.5mm以下のnative冠動脈に標的となる新規1枝病変(50%~99%,長さ12mm以下と推定される狭窄)が認められるもの。
除外基準:30日以内のインターベンション,EF<30%,心筋梗塞の進展,プロテクトされていない左冠動脈主幹部疾患,病変全体をカバーするために15mmのステント2つ以上の植込みが必要なもの。
治療法 SRコホート(267例);TAXUS-SR群131例,対照群136例,MRコホート(269例);TAXUS-MR群135例,対照群134例にそれぞれランダム化。
TAXUSステント:ポリマーコートしたslotted-tubeステンレススティールステント(NIR)にpaclitaxel 1μg/mm²をコーティング。植込み後48時間は急速に薬剤溶出(burst phase)し,その後約10日は溶出量が低下(low-level release phase)するようデザイン。MRは10日間の溶出量をSRの8倍とした。
ステントは3.0,3.5mm径,15mm長で20mmのballoon deliveryカテーテルに装着したものを使用し,対照群には非被覆のNIRステントを使用。
カテーテル法施行前24時間またはステントの4時間以上前にclopidogrel 300mg,aspirin 75mgを投与。手技中,活性化凝固時間≧250秒を維持するようheparin投与。ステント植込み後,clopidogrel 75mg/日またはticlopidine 250mg ×2回/日を6か月以上,aspirin 75mg/日を無期限に投与。
退院時,手技後1,6,12か月に臨床状態を評価し,5年後まで年1回追跡。手技後,6か月後に定量的IVUSおよび冠動脈造影を実施。
結果 一次エンドポイントはTAXUSステント群で対照群に比べて有意に低下(SRコホート7.8% vs 23.2%,p<0.0001;MRコホート7.8% vs 20.5%,p<0.0001)。冠動脈造影上の再狭窄(50%以上)の割合もTAXUSステント群で有意に少なかった(セグメント全体:SRコホート5.5% vs 20.1%,p=0.0004;MRコホート8.6% vs 23.8%,p=0.001,ステント部:2.3% vs 17.9%,p<0.0001;4.7% vs 20.2%,p=0.0002)。晩期内腔損失もTAXUSステント群で有意に低下(SRコホート0.3mm vs 0.8mm,p<0.0001;MRコホート0.3mm vs 0.8mm,p<0.0001)。
12か月後の主要な有害心イベント(MACE:心臓死,Q波/非Q波梗塞,標的血管の再血行再建術)の発生は,TAXUSステント群で有意に少なく(SRコホート10.9% vs 22.0%,p=0.02;MRコホート9.9% vs 21.4%,p=0.017),主として標的血管の血行再建施行率の低さが寄与した(4.7% vs 12.9%,p=0.03;3.8% vs 16.0%,p=0.002)。
★結論★paclitaxel溶出ステントは,bare metalステントに比べてステント内の新生内膜増殖および再狭窄を抑制し,12か月後の臨床転帰を改善した。
文献
  • [main]
  • Colombo A et al for the TAXUS II study group: Randomized study to assess the effectiveness of slow- and moderate-release polymer-based paclitaxel-eluting stents for coronary artery lesions. Circulation. 2003; 108: 788-94. PubMed
  • [substudy]
  • 薬剤溶出速度を問わずpaclitaxel溶出ステントの長期有効性,安全性が確認された(5年後の結果)。
    主要有害心イベントはTAXUS-SR群20.4%(対照群より26%低下),TAXUS-MR群15.1%(45%低下) vs 対照群27.6%(p=0.01), 標的血管血行再建術;16.6%,9.0% vs 22.5%(p=0.004),標的病変血行再建術;10.3%,4.5% vs 18.4%(p<0.001)。
    全死亡は28例:9例 vs 7例 vs 12例,心筋梗塞:4.7% vs 5.3% vs 7.1%は少なく,治療群間に有意差はなかった(p=0.97)。ステント血栓症の発生は8例(3例 vs 2例 vs 2例)で,TAXUS両群での2年目以降の発生はなかった:Circulation. 2009; 120: 1498-504. PubMed
  • 2年の追跡結果:新生内膜抑制は用量とは独立し,本効果は2年後も持続していた。しかし6か月後にみられたステント外側面積(血管面積-ステント面積)の有意な増加は2年後には用量依存で退縮した(SR群の方がMR群よりも改善):Circulation. 2005; 112: 3876-83. PubMed
  • IVUSによる6か月後のステント圧着不良(ISA)はTAXUS-SR群8.0%,TAXUS-MR群9.5%,対照群5.4%(p=0.306),ISA容積は21.7mm3,8.5mm3,11.4mm3(p=0.18):Circulation. 2005; 111: 900-5. PubMed
  • SRあるいはMRステントによる顕著なステント再狭窄抑制効果は,6か月後のedge狭窄の増加とは関連しない:Circulation. 2004; 109: 627-33. PubMed
  • ベアステントと比較したSR,MR両方のステントの新生内膜形成抑制効果は同様である。しかしステント周辺の面積はベアステント0.5mm2,SR 1.0mm2,MR 1.4mm2(p<0.001)と増加:Circulation. 2004; 109: 196-200. PubMed

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収載年月2004.01
更新年月2010.01