循環器トライアルデータベース

DANAMI-2
the Danish Multicenter Randomized Study on Fibrinolytic Therapy versus Acute Coronary Angioplasty in Acute Myocardial Infarction

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,primary angioplastyは患者を地域病院から血行再建術が可能な侵襲治療センターへ移送してもなお,地域病院での血栓溶解療法より有効であるかを検討。一次エンドポイントは30日以内の全死亡+臨床上の再梗塞+介護を要する脳卒中。
デザイン 無作為割付け,多施設(29施設:血行再建術施行設備のない地域病院24 施設と,同設備がありその場でsurgical-backupが可能な侵襲治療センター5施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。登録期間は1997年12月~2001年10月。
対象患者 1572例。18歳以上。ST上昇を伴う心筋梗塞(MI)患者。症状が>30分,<12時間持続,隣接する2誘導以上でcumulative ST上昇が4mm以上。
除外基準:左脚ブロック,血栓溶解療法を施したAMIより30日以内,大腿動脈に脈拍なし,冠動脈バイパス術施行歴,腎不全,metforminで治療中の糖尿病患者など。
治療法 地域病院搬送者1129例を血栓溶解療法群(562例),血行再建術群(567例),侵襲治療センター搬送者443例を各220例,223例にランダム化。地域病院から侵襲治療センターへの移送は3時間以内とした。
血栓溶解療法群:aspirin 300mgを経口投与,β遮断薬静注(metoprolol 20mgと同等量まで),組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA);alteplase 15mgボーラス→ 0.75mg/kgを30分かけて静注→ 0.5mg/kgで60分静注,未分画heparin(UFH) 5000Uボーラス静注後,48時間点滴(1000U/時で開始し活性化部分トロンボプラスチン時間70~90秒に維持するよう調節)。
血行再建術群:aspirin 300mg静注,β遮断薬は血栓溶解療法群と同量,UFH 1万U。術中,活性化凝固時間350~450秒を達成するよう追加投与。血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬は医師の裁量に委ねた。完全閉塞,内腔径>30%の狭窄,<TIMI grade 3の場合に梗塞責任血管を治療し,血管径<2.0mmでない限り全例にステントを試みた。immediate CABGは血行動態が著しく不安定な場合に考慮。ステント植込み後1か月間,ticlopidine 500mg/日またはclopidogrel 75mg/日を投与。
灌流不成功の疑いまたはST上昇の消失がない,あるいは血栓溶解療法後の再梗塞・再虚血例には,rescue angioplastyを考慮する前に血栓溶解療法再施行を推奨。血行再建術群の早期・晩期再梗塞または虚血再発には,血行再建術を再施行。
結果 地域病院搬送例において血行再建術が血栓溶解療法より優れていたため,2001年10月1日に登録を中止した。
発症からランダム化までの時間は135分(中央値)。地域病院から侵襲治療センターへの移送時間は67分(中央値,四分位数範囲50~85),<1時間が43%,1~2時間が53%で96%が2時間以内に移送された。
一次エンドポイント発生は,地域病院搬送の血行再建術群8.5%,血栓溶解療法群14.2%(p=0.002)と,血行再建術群で有意に低下し,侵襲治療センターへの搬送例でも6.7% vs 12.3%(p=0.05)と同様の結果であった。これは主に血行再建術群の再梗塞率が有意に低下したためである(1.6% vs 6.3%,p<0.001)。死亡率と介護を要する脳卒中発症率において両群間に有意差はなかった(6.6% vs 7.8%, p=0.35;1.1% vs 2.0%, p=0.15)。
移送中の有害事象:心房細動(14例),間欠性高度房室ブロック(13例),心室細動(8例)が発生したが死亡はなかった。侵襲治療センター到着1時間後,難治性心室細動により1例が死亡。
★結論★移送時間が2時間以内であれば,地域病院から侵襲治療センターへ移送後のprimary angioplasty施行による再灌流法は,地域病院での血栓溶解療法よりも優れている。
文献
  • [main]
  • Andersen HR et al for the DANAMI-2 investigators: A comparison of coronary angioplasty with fibrinolytic therapy in acute myocardial infarction. N Engl J Med. 2003; 349: 733-42. PubMed
  • [substudy]
  • 4時間後のST resolutionは血栓溶解療法群では死亡率低下,再梗塞率上昇と有意に関連したが,primary PCI群では関連は認められず。
    治療後のST resolution(ST上昇度の軽減)と30日後および長期死亡率(追跡期間中央値4.2年)および再梗塞率(3.0年)との関連性を検討:4時間後のST resolution:no resolution(<30%;248例),partial(30~70%;473例),complete(>70%;487例)。STの正常化は90分後にはprimary PCI(pPCI)群のほうが顕著であったが(pPCI群60% vs 血栓溶解療法群45%,p<0.0001),4時間後には差は消失した(65% vs 63%)。血栓溶解療法群ではno resolution例における長期死亡率が有意に高く(ハザード比0.992;95%信頼区間0.986~0.998),逆に再梗塞率はcomplete resolution例で高かった(1.011;1.002~1.020)。pPCI群ではST resolutionとそれらとの関連性を認めなかった。多変量解析の結果,血栓溶解療法群において4時間後のST resolutionは死亡率低下および再梗塞率上昇の有意な予測因子であった:J Am Coll Cardiol. 2009; 54: 1763-9. PubMed
  • 入院時のTIMI リスクスコアに基づくリスクの層別化は,primary angioplastyにより有意に死亡が抑制される高リスク例を同定する:Circulation. 2005; 112: 2017-21. PubMed

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収載年月2003.12
更新年月2010.06