循環器トライアルデータベース

AAASPS
African American Antiplatelet Stroke Prevention Study

目的 脳梗塞既往のアフリカ系アメリカ人において,抗血小板薬aspirinとticlopidineの二次予防効果を比較検討。

一次エンドポイントは脳卒中再発+心筋梗塞(MI)+血管死。
コメント ticlopidineによる脳卒中再発抑制効果はよく知られている(CATS,TASS)。CATSではプラセボに比しリスク抑制率が23.3%と有意であり,TASSではaspirinに比し3年間の脳卒中発症抑制率が有意に高く,特にハイリスク症例により有効であった。脳卒中,心筋梗塞,末梢動脈疾患を対象としたCAPRIEでもclopidogrel(ticlopidineの同種薬)はaspirinよりリスク抑制率は高かった。これら3つのstudyに共通なことはアフリカ系アメリカ人が対象としては少ないことである。
本研究において,ticlopidineよりもaspirinの方がリスク抑制率が高いという結果は予想外である。人種によるaspirinとticlopidineの効果の差は今まで明らかではないが,アフリカ系アメリカ人では高血圧治療としてACE阻害薬の効果が弱いことはよく知られており,抗血小板薬でも人種差が認められるかもしれない。aspirinの投与量,aspirinとticlopidineの併用効果という課題も残されている。日本人におけるaspirinとticlopidineのリスク抑制率の比較試験が待たれる。(星田
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(アメリカの62施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は1.54年(プロトコールは2年)。登録期間は1995年12月~2001年10月。
対象患者 1809例。29~85歳。脳梗塞(非心原性)発症から7~90日以内,CTスキャンあるいはMRIで脳梗塞が確認できるもの,本発症に由来する中枢神経障害を有する例。
除外基準:一過性脳虚血発作,くも膜下出血,心原性脳梗塞,医原性脳卒中,非アテローム血栓性梗塞,術後30日以内の脳卒中,本発症治療としての頸動脈内膜除去例,連続した3日間の平均動脈圧>130mmHg, modified Barthel Index<10,痴呆歴,aspirinまたはticlopidineに過敏症あるいはアレルギー,最近の消化管出血,出血性素因など。
治療法 ticlopidine群(902例):250mg×2回/日と,aspirin群(907例):325mg×2回/日にランダム化。
結果 ticlopidineの一次エンドポイント抑制効果がaspirinを上回る可能性が<1%であったため,2002年7月(試験開始6.5年後)で盲検を中止。盲検中止時点で追跡中の症例はticlopidine群149例,aspirin群176例。
一次エンドポイントはticlopidine群133例(14.7%),aspirin群112例(12.3%)で両群間に有意差は認められなかった[ハザード比1.22, 95%信頼区間(CI)0.94~1.57]。一次エンドポイント発生時期でみたKaplan-Meier曲線を比較しても同様(p=0.12)。
二次エンドポイントである致死的および非致死的脳卒中はticlopidine群でわずかに多かったが有意差はなかった(4 vs 2;102 vs 84例)。一方Kaplan-Meier曲線ではaspirin群で有意に近く抑制された(p=0.08)。
重大な有害事象は29.9% vs 28.9%で有意差なし(相対リスク0.95, 95%CI 0.78~1.16)。下痢0.3% vs 0.2%;p=0.69,好中球減少3.4% vs 2.2%;p=0.12,血小板減少0.3% vs 0.2%;p=0.69。ticlopidine群の1例で血栓性血小板減少性紫斑病の疑われる血小板減少症が発生したが,プラスマフェレーシス(血漿交換)で回復。
★結論★追跡2年後の一次エンドポイント抑制効果において,ticlopidine群とaspirin群間に有意差はなかったが,aspirin群で脳卒中発生率が低い傾向にあった。ticlopidineの重大な有害事象リスクを考慮すると,アフリカ系アメリカ人の非心原性脳梗塞患者では,aspirinによる治療がticlopidineに優る。
文献
  • [main]
  • Gorelick PB et al for the African American antiplatelet stroke prevention study investigators: Aspirin and ticlopidine for prevention of recurrent stroke in black patients; a randomized trial. JAMA. 2003; 289: 2947-57. PubMed

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収載年月2003.08