循環器トライアルデータベース

RUSSLAN
Randomised Study on Safety and Effectiveness of Levosimendan in Patients with Left Ventricular Failure due to an Acute Myocardial Infarct

目的 急性心筋梗塞(AMI)による左室不全患者において,Caセンシタイザlevosimendanの有効性と安全性を検討。一次エンドポイントは,臨床的に重要な低血圧あるいは虚血。
コメント 細胞内Ca濃度を上昇させずに強心作用を発揮するCaセンシタイザの有用性が示唆された。Pimobendan-Enalapril試験やLIDO試験を参照のこと。(井上
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ロシアおよびラトビアの21施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は180日間。
対象患者 504例。AMI発症から5日以内,胸部X線写真による左室不全(肺静脈うっ血あるいは肺水腫),通常の治療にもかかわらず症候性心不全のため強心薬治療の必要な例。
除外基準: 右室梗塞,収縮期血圧(SBP)<90mmHg,血栓溶解に起因しない持続性心室頻拍あるいは頻発する非持続性心室頻拍など。
治療法 次の5群にランダム化。levosimendan 6μg/kg静注+0.1μg/kg/分持続注入群(103例),12μg/kg+0.2μg/kg/分群(100例),24μg/kg+0.2μg/分群(99例),24μg/kg+0.4μg/kg/分群(100例),プラセボ群(102例)。いずれも初期投与は10分間で行い,その後の持続投与は5時間50分行った。
症候性低血圧,心拍数>130拍/分が10分以上継続した場合,あるいは重篤な有害事象が発生した場合は投与を中止。
一次エンドポイントの定義:低血圧;症状を伴う低血圧あるいは症状を伴わないSBP>10mmHgの低下,虚血;狭心痛の悪化あるいは新規発症,または12誘導心電図でST低下あるいは上昇の増悪(>1mm)。
結果 一次エンドポイントは全体で65例,全群間で有意差は認められなかった(p=0.319)。levosimendan4群(13.4%)とプラセボ群(10.8%)の間にも有意差はみられなかった(p=0.456)。しかしlevosimendanの投与量と一次エンドポイントの間に弱い相関があった[6μg/kg群10.7%, 12μg/kg群12.0%, 24μg/kg+0.2μg/kg/分群12.1%, 24μg/kg+0.4μg/kg/分群19.0%(p=0.054)]。
levosimendan群はプラセボ群と比べ死亡および心不全悪化の頻度が低かった。6時間後の発生率はそれぞれ2.9%, 2.0%, 1.0%, 2.0%, 5.9%(最大投与量群 vs プラセボ群,p=0.033),24時間後はそれぞれ5.8%, 3.0%, 3.0%, 4.0%, 8.8%(最大投与量群 vs プラセボ群,p=0.044)で,リスクの低下はlevosimendanの投与量に依存しなかった。
死亡率は14日目にlevosimendan群(11.7%)がプラセボ群(19.6%)より有意に低く[ハザード比(HR)0.56;95%信頼区間(CI)0.33-0.95, p=0.031],この有効性は180日後まで続いた[22.6% vs 31.4%, HR 0.67(95%CI 0.45-1.00);p=0.053]。死亡率の低下とlevosimendanの投与量に関係はみられなかった。
★結論★levosimendanの0.1~0.2μg/kg/分の持続投与は,AMIによる左室不全患者において,低血圧あるいは虚血を誘発することなく心不全の悪化および死亡を抑制した。
文献
  • [main]
  • Moiseyev VS et al on behalf of RUSSLAN study investigators: Safety and efficacy of a novel calcium sensitizer, levosimendan, in patients with left ventricular failure due to an acute myocardial infarction; a randomized, placebo-controlled, double-blind study (RUSSLAN). Eur Heart J. 2002; 23: 1422-32. PubMed

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収載年月2002.12