循環器トライアルデータベース

CAPTIM
Comparison of Angioplasty and Prehospital Thrombolysis in Acute Myocardial Infarction

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,primary angioplastyが入院前血栓溶解療法より優れているかを検討。一次エンドポイントは30日目における死亡,非致死性再梗塞,介護の必要な脳卒中の複合。
コメント primary angioplastyは病院内血栓溶解療法よりも死亡率が低く,再梗塞の頻度が少なく梗塞責任血管の関与も保たれる(GUSTO IIb)。しかし,血栓溶解療法でも入院前治療は入院後治療に比べて梗塞責任血管の再開通が33~110分早く得られ,死亡率が17%低下する。本研究ではprimary angioplastyはrescue angioplastyを含めた入院前治療血栓溶解療法よりも良い治療法とは言えないことを示している。今回の入院前血栓溶解療法群では,これまでのstudy(MITI trial)に比して死亡率が低い。この理由は血栓溶解薬の投与方法の改善とrescue angioplasty(26%)の追加である。発症後2時間以内の血栓溶解療法は特に死亡率の低下に有用である(本研究はGUSTO IIbよりも血栓溶解療法の開始が50分早い)。今回の結果より,入院前血栓溶解療法はrescue angioplastyが可能な施設への搬送を前提にしなければprimary angioplastyと同等の結果が得られないかもしれない。しかし,血栓溶解療法はGP IIb/IIIa受容体拮抗薬,低分子heparinを併用すればより効果的になり得るし,ボーラス投与が可能な薬物ではより適応症例が広がると思われる。高齢者,発症後6時間以上,心原性ショック,CABG後の急性心筋梗塞例ではprimary angioplastyを選択すべきであろう。(星田
デザイン 無作為割付け,多施設(フランスの27 tertiary hospitals:MIへのルーチンprimary angioplastyが可能で,24時間on-call体制),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日間。登録期間は1997年6月30日~2000年9月30日。資金不足により2000年9月に試験中止。
対象患者 840例。ST上昇を伴うAMI発症から6時間以内。
除外基準:出血性疾患あるいは血栓溶解療法禁忌例,重篤な腎あるいは肝機能不全,大腿動脈-大動脈バイパス,心原性ショック,CABG既往,抗凝固薬経口投与例,インターベンション実施可能な病院までの搬送時間が1時間を超えるもの。
治療法 病院到着前に,心電図,除細動器を含む蘇生装置搭載の救急車に乗務した医師が診断,血栓溶解療法を実施。
全例にheparin 5000Uをボーラス静注,aspirin 250~500mgを投与(経口あるいは静注)。
次の2群にランダム化。割付けは最初に治療を受けた場所(ほとんどの場合が家庭あるいは職場)で行った。
入院前血栓溶解療法群(419例):血栓溶解薬alteplase 15mgボーラス静注後,0.75mg/kgを30分間(≦50mg),その後0.50mg/kgを60分間投与(≦35mg)。最大総投与量は100mg。primary angioplasty群(421例):冠動脈造影およびangioplasty施行のため,病院へ急搬送。左主幹部狭窄あるいは3枝病変例にはCABGをアドバイスした。
ランダム化後もheparinを48時間以上継続投与。ステント植込み例は1か月間thienopyridineを投与。全例にaspirin以外にβ遮断薬(atenolol),前壁梗塞例にはACE阻害薬(lisinopril)の投与を推奨。
結果 発症から治療までに要した平均時間は入院前血栓溶解療法群で130分,primary angioplasty群で(最初のバルーン拡張まで)190分。血栓溶解療法群において実際の治療例は400例(95.5%),primary angioplasty施行が5例(1.2%)であり,14例(3.3%)がどちらの治療も受けなかった。rescue angioplasty実施率は26%。primary angioplasty群は冠動脈造影実施例が405例(96.2%),angioplasty施行例が364例(86.5%),非施行例が57例(13.5%)。
一次エンドポイントの発生は,血栓溶解療法群34例(8.2%),primary angioplasty群26例(6.2%)であった(リスク差1.96, 95%信頼区間-1.53~5.46, p=0.29)。死亡率は各群16例(3.8%),20例(4.8%)と両群間に有意差は認められなかったが(p=0.61),血栓溶解療法群でより脳卒中(p=0.12)と再梗塞(p=0.13)が多い傾向がみられた。
★考察★急性心筋梗塞例において,primary angioplastyは入院前血栓溶解療法(rescue angioplastyが可能なインターベンションのできる施設への移送を含む)をしのぐ有効性は認められなかった。
文献
  • [main]
  • Bonnefoy E et al on behalf of the comparison of angioplasty and prehospital thrombolysis in acute myocardial infarction study group: Primary angioplasty versus prehospital fibrinolysis in acute myocardial infarction; a randomised study. Lancet. 2002; 360: 825-9. PubMed
  • [substudy]
  • 5年死亡率も入院前血栓溶解療法とprimary angioplastyに有意差なし
    長期追跡例795例(94.6%):5年死亡率は入院前血栓溶解療法群9.7% vs primary angioplasty群12.6%:ハザード比0.75;95%信頼区間0.50~1.14, p=0.18)で両群間に有意差はみられなかったが,
    発症から2時間以内に治療した例は5.8% vs 11.1%と入院前血栓溶解療法群で低下した(0.50;0.25~0.97, p=0.04)。一方,2時間以降に治療したものは,14.5% vs 14.4%(1.02;0.59~1.75, p=0.92):Eur Heart J. 2009; 30: 1598-606. PubMed
  • コストサブ解析:入院中のコストはprimary angioplasty群8,287ドル,入院前血栓溶解療法群9,170ドル(p=0.0001),1年後は13,356ドル vs 12,132ドル(p<0.04)と,いずれもprimary angioplasty群で有意に低コストであった:J Am Coll Cardiol. 2005; 45: 515-24. PubMed

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収載年月2002.12
更新年月2009.08