循環器トライアルデータベース

RAVEL
Randomized Study with the Sirolimus-Coated Bx Velocity Balloon-Expandable Stent in the Treatment of Patients with de Novo Native Coronary Artery Lesions

目的 狭心症患者において,sirolimus溶出ステントと標準的な非被覆のステントを比較。冠動脈造影上の一次エンドポイントは,遠隔期(6か月後)の損失径。臨床の一次エンドポイントは,1,6,12か月後の死亡+心筋梗塞(MI)+経皮的あるいは外科的血行再建術。
コメント 再狭窄がPTCAのlimitationの一つであることは言うまでもない。一時期注目された血管内放射線療法は,後にedge effect・late restenosis・aneurysm形成等の問題が持ち上がり,熱が冷めてきた感がある。代わって登場してきたのがdrug-eluting stentで,放射線療法のもう一方のアキレス腱であった設備・費用・被爆などの問題も軽減され,内膜増殖の抑制効果も予想以上である。コーティングする薬剤としてはsirolimus(rapamycin)・taxol・simvastatin・actinomycin-Dなどが試されている。studyとしてはsirolimusが一歩リードしているが,観察期間が延びるに従ってstent malappositionやedge restenosisも報告されているようである。drug-eluting stentがPTCAの歴史を大きく変えるか,大いに注目していきたい。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(ヨーロッパ,南米の19施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1年。実施期間は2000年8月~2001年8月。
対象患者 238例。平均年齢60.7歳(18~85歳)。安定/不安定狭心症または無症候性虚血。標的病変は血管径2.5~3.5mmのnative冠動脈内にあり,18mm長のステントでカバーできる目測51~99%,TIMI grade 1以上の新規単一病変。
除外基準:MI,グラフトでプロテクトされていない≧50%の左冠動脈主幹部狭窄,入口病変,ステント植込み前に完全に拡張できない石灰化病変,血管造影で確認できる標的病変内の血栓,EF<30%,aspirin,clopidogrel,ticlopidine,heparin,stainless steel,造影剤に忍容性のない例など。
■ 患者背景:男性76%,標的血管;左前下行枝50%,右冠動脈27%,左回旋枝23%。
治療法 前拡張後,sirolimusステント群(120例):sirolimusの80%が植込み後30日以内に徐々に溶出,標準ステント群(118例)にランダム化。
ステント植込み後,残存狭窄が<20%,TIMI grade 3となるよう必要に応じて追加拡張。手技中,heparinを活性化凝固時間250秒超を維持するようボーラス静注し,12時間以内に中止。aspirin 100mg/日以上を手技前12時間から投与開始。手技前48時間にclopidogrel 300mgを投与後75mg/日を8週間投与,またはticlopidine 250mg×2回/日を手技前日から8週間継続投与。
血管内エコーサブスタディ:6か月後にsirolimusステント群48例,標準ステント群47例で実施。
結果 手技成功率はsirolimusステント群96.6%,標準ステント群93.1%と有意差なし。
6か月後の平均損失径で示される新生内膜増殖は,sirolimusステント群で有意に小さかった(損失径-0.01mm vs 0.80mm,p<0.001)。≧50%の再狭窄率は0% vs 26.6%,狭窄率は14.7% vs 36.7%といずれもsirolimusステント群で有意に低かった(各p<0.001)。ステント内血栓は発生しなかった。
追跡期間1年後の臨床上一次エンドポイントの発生率は,sirolimusステント群5.8% vs 標準ステント群28.8% (p<0.001)と,sirolimusステント群で有意に低かったが,これは標準ステント群で再血行再建率が高かったことによる(0例 vs 27例)。イベント非発生の生存率は94.1% vs 70.9%(p<0.001)。
●糖尿病サブ解析:sirolimusステント群19例,標準ステント群25例;植込み前後の最小血管径は両群同様であったが,6か月後はsirolimusステント群の方が有意に大きく,その結果同群の損失径は有意に小さく,再狭窄率も有意に低かった。
●血管内エコー解析:ステント容積,全血管体積,プラーク量において両群間に差はなかったが,新生内膜増殖はsirolimusステント群で有意に少なく,ステント容積に対する割合も有意に低かった。
★結論★sirolimus溶出ステントは標準ステントに比べ,新生内膜増殖,再狭窄,イベントの抑制においてかなり有望である。
文献
  • [main]
  • Morice MC et al for the RAVEL study group: A randomized comparison of a sirolimus-eluting stent with a standard stent for coronary revascularization. N Engl J Med. 2002; 346: 1773-80. PubMed
  • [substudy]
  • pooled analysis:RAVEL,SIRIUS,E-SIRIUS,C-SIRIUS(男性1251例,女性248例:SES群;629例,249例,BMS群;622例,248例)。
    男性に比べ女性は高齢で,糖尿病,高血圧,うっ血性心不全が多かったが,多変量解析によるとSES群でもBMS群でも女性はセグメント内binary再狭窄,臨床転帰の独立した予測因子ではなかった:J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 2111-6. PubMed
  • 糖尿病例:sirolimus溶出ステント群の晩期血管損失は非糖尿病例と同様で,標準ステント群より有意に少なく,再狭窄率も0%(標準ステント群・糖尿病例42%),予後も良好であった:Eur Heart J. 2004; 25: 107-12. PubMed
  • sirolimus溶出ステントは血管径にかかわりなく新生内膜増殖および晩期内腔損失を抑止した:Circulation. 2002; 106: 1949-56. PubMed
  • 血管内エコー法により,sirolimus溶出ステントはedge effectを生じることなく新生血管内膜増殖を抑制することが判明した:Circulation. 2002; 106: 798-803. PubMed

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収載年月2002.09
更新年月2008.01