循環器トライアルデータベース

ACADEMIC
Azithromycin in Coronary Artery Disease: Elimination of Myocaridal Infection with Chlamydia

目的 冠動脈疾患(CAD)患者において,クラミジア・ニューモニエ(C pneumoniae)に有効なマクロライド系抗生物質azithromycin投与による虚血性イベント二次予防効果を検討。一次エンドポイントは2年後の心血管死,心停止からの蘇生,非致死性心筋梗塞(MI),脳卒中,入院を必要とする不安定狭心症,予定外の血行再建術。二次エンドポイントは6か月後の心血管イベント。
コメント クラミジア・ニューモニエは気管支炎や肺炎の起因菌であり,成人では50~70%の人が抗体をすでに持っているが,動脈硬化性疾患との関連については血清疫学的に多くの報告がみられる。実験的にウサギにクラミジア・ニューモニエを感染させると動脈硬化病変が生じたり増強され,抗生剤がこれらを抑制することも知られている。潰瘍性病変とヘリコバクター・ピロリ菌の関係で代表されるように,動脈硬化性疾患が抗生剤投与による加療が可能な感染性疾患であることも十分想定される。
安定した冠動脈疾患患者に対する抗生剤の有効性を評価している本試験は,投与開始後2年間のazithromycin群の心血管イベント抑制効果は有意ではないが認められている。抗生剤投与により血中炎症マーカーの低下は6か月間で徐々にみられるので,イベント抑制効果は投与6か月後以降に認められることが考えられる。しかし,azithromycin週1回を3か月間投与し,2.5年間追跡したWIZARD study(約7000人)では結果はnegativeであった(ACC 2002)。抗生剤を1年間投与し4年間追跡しているACES study(4000人)の結果が期待される。(星田
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検。
期間 追跡期間は2年。
対象患者 302例。平均年齢64歳(30~88歳),C pneumoniae陽性例(抗体価≧1.16),MI,バイパス術既往,1枝以上の主要冠動脈に>50%の狭窄のCAD。
除外基準:NYHA心機能分類III~IV度のうっ血性心不全あるいはEF<25%,5日以内のMI,4週間以内のバイパス術施行,3か月以内のPCI(percutaneous coronary intervention)施行,CABGあるいはインターベンション施行予定例など。
■患者背景:MI既往60%,バイパス術,PCI既往は各46%。
治療法 azithromycin群(150例):500mg/日を3日間投与後500mg/週を3か月投与,プラセボ群(152例)にランダム化。
結果 azithromycin群における4つの炎症マーカー[CRP(C-reactive protein),IL(interleukin)-1,IL-6,TNF(腫瘍壊死因子)-α]の総スコアは,3か月後には低下しなかったが,6か月後に有意に低下した(p=0.011)。総変化スコアも3か月後がazithromycin群584,プラセボ群586で同様であったが(p=0.92),6か月後に531 vs 587とazithromycin群で低下した(p=0.027)。中でもCRP(p=0.011)およびIL-6(p=0.043)の変化スコアは有意に低下した。抗体価に変化はなく6か月後の心血管イベントも9例 vs 7例で同様であった。azithromycin群では抗生物質を必要とする感染症は低下したが(3か月後1例 vs 12例,p=0.002),軽度の有害事象(主に胃腸事象)は36例 vs 17例(p=0.003)で同群の方が多かった。
2年追跡した結果,azithromycinの忍容性は良好である。
一次エンドポイントの発生は47例(azithromycin群22例,プラセボ群25例,ハザード比0.89,95%信頼区間0.51-1.61,p=0.74)。うち心血管死9例,心臓死からの蘇生1例,MI11例,脳卒中3例,不安定狭心症4例,予定外の血行再建術19例。
6~24か月の心血管イベントの発生はazithromycin群13例,プラセボ群18例であった。
★結論★azithromycin治療により,当初示唆されたような虚血イベントの著明な早期低下(≧50%)はみられなかった。しかし,臨床的有効性(20~30%)の可能性は示唆される。より長期(3~5年)の数千例での大型試験が必要であると思われる。
文献
  • [main]
  • Anderson JL et al: Randomized secondary prevention trial of azithromycin in patients with coronary artery disease and serological evidence for Chlamydia pneumoniae infection; the azithromycin in coronary artery disease; elimination of myocardial infection with Chlamydia (ACADEMIC) study. Circulation. 1999; 99: 1540-7. PubMed
  • Muhlestein JB et al : Randomized secondary prevention trial of azithromycin in patients with coronary artery disease; primary clinical results of the ACADEMIC study. Circulation. 2000; 102: 1755-60. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2002.08