循環器トライアルデータベース

SAFER
Saphenous Vein Graft Angioplasty Free of Emboli Randomized Trial

目的 伏在静脈バイパスグラフト(SVG)を対象として,GuardWire(末梢塞栓を予防するdevice)使用時と従来のガイドワイヤ使用時とでのステントの有効性を比較。一次エンドポイントは,30日後の主要な心有害事象(MACE):死亡+心筋梗塞(MI)+緊急バイパス術+標的血管に対する血行再建術。
コメント 静脈グラフトは10年で約半数が変性のため狭窄・閉塞することが知られている。狭窄・閉塞部にはdebris・lipid-rich plaque・thrombus等が付着しており,PCIは解離・遠位塞栓・血管閉塞などの合併症が多く,予後も不良である。これに対し,transluminal extraction atherectomy (TEC)・directional coronary atherectomy(DCA)・laser angioplasty・ultrasound thrombolysis等が試みられてはいるが,満足できる結果は得られていない。また,前拡張を行わないdirect stentを行っても遠位塞栓の問題は解消されず,urokinase,血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬や他の抗血小板薬による薬物療法も奏功していない。これに対し,distal protection deviceであるPercuSurge GuardWire・angioguard(Circulation. 2001;104: 2436-2441. PMID: 11705821)やAngioJetTMによるrheolytic thrombectomy(Cathe Cardiovasc Intervent. 2002; 56: 1-7.)の有効性が報告されている。PercuSurge GuardWireは最近本邦で初めて保険承認された。操作が煩雑なようだが,SVGへのPCIの福音となろう。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(米国47施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。登録期間は1999年6月~2000年8月。
対象患者 801例。狭心症既往,伏在静脈グラフトのmid-portionに位置する標的病変の血管径の>50%の狭窄による心筋虚血の徴候が冠動脈造影で認められ,参照血管径3~6mm。
除外基準:クレアチンキナーゼ-MB上昇を伴う最近発症したMI,顕著な左室機能不全(EF<25%),クレアチニン値>2.5mg/dL,アテレクトミー症例。
治療法 対照群(395例):従来の0.014インチのガイドワイヤー使用のステント植込み,GuardWire群(406例):バルーン閉塞デバイスである0.014インチのPercuSurge GuardWire(2001年8月FDA認可)使用のステント植込み,にランダム化。血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬使用の有無により層別化。
施行前にaspirin 325mgを経口投与,手技中にheparinを活性化凝固時間 >250秒に延長するよう静注。手技成功後冠動脈造影を実施。施行後投与としてaspirin 325mg/日,およびclopidogrel 300mg(以後75mg/日を2~4週間)を経口投与。
結果 一次エンドポイントの発生はGuardWire群39例(9.6%),対照群65例(16.5%)であり(p=0.004),GuardWire群で相対リスクが42%(絶対リスクが6.9%)低下した。これはMIの減少(8.6% vs 14.7%,p=0.008),“no-reflow”現象の減少(3% vs 9%,p=0.02)の寄与が大きかった。
血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与例(GuardWire群57%,対照群58%)においても,GuardWire群で有意なMACE発生率の低下がみられた(10.7% vs 19.4%,p=0.008)。
★結論★SVG例にステントを植込む際,末梢保護デバイスを使用すると,従来のガイドワイヤを用いた場合に比べ,主要な有害事象を顕著に抑制した。このことは主要な有害心イベント発生に末梢塞栓が重要であること,および合併症を抑制する上で末梢塞栓保護デバイスが価値のあることを示している。
文献
  • [main]
  • Baim DS et al on behalf of the saphenous vein graft angioplasty free of emboli randomized (SAFER) trial investigators: Randomized trial of a distal embolic protection device during percutaneous intervention of saphenous vein aorto-coronary bypass grafts. Circulation. 2002; 105: 1285-90. PubMed
  • [substudy]
  • GuardWire群の初期手技コストは対照群より約1600ドル高いが,入院期間を短くするなどで約1000ドルコストダウンし,30日後のコストおよび転帰の良好さで<40000ドル/生存年:J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 1801-8. PubMed

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収載年月2002.06
更新年月2005.01