循環器トライアルデータベース

IDNT
Irbesartan Diabetic Nephropathy Trial

目的 2型糖尿病性腎症を有する高血圧において,アンジオテンシンII受容体拮抗薬irbesartanまたはCa拮抗薬amlodipineが,降圧効果とは独立して腎症の進展を抑制するかを検討。
一次エンドポイントは,血清クレアチニン濃度の倍増+末期腎障害(ESRD)発症+全死亡。
二次エンドポイントは,心血管死+非致死性心筋梗塞+入院を要する心不全+脳血管イベントによる永続性神経障害+下肢切断。
コメント 本試験の結果はARBとamlodipineとの間で降圧効果に有意差は認められないのにARBの方が腎保護効果が有意に大きいことから,ARBの腎保護効果は降圧とは独立したものであるとしている。逆に考えると,amlodipineは降圧は得られても腎症進行を抑制しないということであるが,腎保護効果は降圧度に依存するという従来のデータとの矛盾もある。(桑島
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は平均2.6年。1996年3月21日~'99年2月25日にランダム化。
対象患者 1715例。30~70歳。高血圧(SBP>135mmHg,DBP>85mmHg,または降圧薬療法の記録のあるもの),蛋白尿(尿中蛋白排泄量≧900mg/24h)を有する例。血清クレアチニン濃度は女性1.0~3.0mg/dL,男性1.2~3.0mg/dL。
治療法 irbesartan群(579例):75~300mg/日漸増投与,amlodipine群(567例):2.5~10mg/日漸増投与,プラセボ群(569例)にランダム化。目標血圧値は,SBP≦135mmHg(スクリーニング時に>145mmHgの場合は10mmHgの低下),DBP≦85mmHgとし,必要に応じてACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬以外の降圧薬を併用。
結果 irbesartan群はプラセボ群と比べ一次エンドポイントの相対リスクが20%低下(p=0.02),amlodipine群と比較した場合は23%低下した(p=0.006)。irbesartan群の血清クレアチニン濃度の倍増リスクは,プラセボ群と比較して33%低下(p=0.003),amlodipine群と比較して37%低下した(p<0.001)。ESRDは,プラセボ群およびamlodipine群のそれぞれと比べ23%低下した(p=0.07)。これらの差違は降圧の差とは独立していた。irbesartan群では血清クレアチニン濃度の上昇がプラセボ群に対し24%(p=0.008),amlodipine群に対し21%(p=0.02)遅延した。二次エンドポイントは群間で有意差はなかった。
★結論★irbesartanは2型糖尿病性腎症の進展予防に有効である。この効果はirbesartanの降圧効果とは独立したものである。
文献
  • [main]
  • Lewis EJ et al for the collaborative study group: Renoprotective effect of the angiotensin-receptor antagonist irbesartan in patients with nephropathy due to type 2 diabetes. N Engl J Med. 2001; 345: 851-60. PubMed
  • [substudy]
  • 収縮期血圧(SBP)が腎機能の転帰を最も強く予測した。RAS系抑制薬によるSBP 120~130mmHgの降圧が推奨される。
    ベースライン時の平均血圧は159/87mmHg。SBP>149mmHgは<134mmhgと比べクレアチニン値倍増,ESRDのリスクが2.2倍。SBPを120mmHgまで降圧すると,ベースライン時の腎機能とは独立して腎機能,生存率が改善する。irbesartan群の腎保護効果は達成SBPとは独立していた:J Am Soc Nephrol. 2005; 16: 3027-37. PubMed
  • 複合心血管イベントにおいて3群間に有意差は認められなかった。各イベントに関しては,脳卒中はプラセボ群に比べamlodipine群で抑制の傾向がみられ[ハザード比(HR)0.65,95%信頼区間(CI)0.35~1.22;p=0.18],心筋梗塞において同群でプラセボ群より有意に低下した(HR 0.58,95%CI 0.37~0.92;p=0.02)。irbesartan群ではうっ血性心不全がプラセボ群(HR 0.72,95%CI 0.52~1.00;p=0.048),amlodipine群(HR 0.65,95%CI 0.48~0.87;p=0.004)に比べ有意に低下した:Ann Intern Med. 2003; 138: 542-9. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2001.11
更新年月2008.02