循環器トライアルデータベース

FIRST
Flolan International Randomized Survival Trial

目的 重篤な症候性左室不全患者において,プロスタグランジン製剤epoprostenolの効果を検討する。一次エンドポイントは生存率。
コメント epoprostenol(Floran)は特発性肺高血圧症の治療薬として注目されているが,左室機能不全の予後をかえって悪化させた。この原因は不明であるが,多くの動脈系血管拡張薬と同様に神経体液因子の亢進を促したのかもしれない。(
デザイン 無作為割付け,多施設(北米,欧州),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。
対象患者 471例。65歳(中央値)。ループ利尿薬,digitalis glycoside,ACE阻害薬治療にもかかわらず1か月以上NYHA IIIB~IV度(わずかな労作時あるいは安静時の症状を含む)の心不全。登録の3か月以内のEF<25%,強心薬非投与例の場合EF<30%でも可。血管作用薬静注例は登録から1週間以内に投与を中止しても支障のないものとした。
除外基準:収縮期血圧(SBP)<80mmHg,有意な弁狭窄,血行再建術あるいは弁手術予定例,3か月以内の心筋梗塞,治療抵抗性頻拍性不整脈,不安定あるいは症状により労作を限定する狭心症など。
治療法 epoprostenol群(237例):2ng/kg/分の静注を開始し15分間継続静注。有害事象(低血圧,頻拍,有意な症状)発症まで2ng/kg/分で増量。この時点から至適な症状を保つように投与量を調整した。退院時にepoprostenol注入のため永久的留置中心静脈カテーテルを植込んだ。心不全標準治療群(234例)。
digitalis,glycoside,ループ利尿薬は追跡期間中継続投与した。
結果 epoprostenol群で死亡率が高かったため試験は早期に終了した。
3か月後の死亡率はepoprostenol群30%,標準治療群24%,6か月後が48% vs 37%であった。
epoprostenol投与量の中央値は4.0ng/kg/分で,心係数が有意に上昇し(1.81→ 2.61L/分/m2),肺毛細血管楔入圧が低下(24.5→ 20.0mmHg),全身血管抵抗が低下した(20.76→ 12.33単位)。
epoprostenolの長期持続静注は歩行距離,QOLを改善せず,死亡リスクが上昇した。
文献
  • [main]
  • Califf RM et al: A randomized controlled trial of epoprostenol therapy for severe congestive heart failure; the flolan international randomized survival trial (FIRST). Am Heart J. 1997; 134: 44-54. PubMed
  • [substudy]
  • PCWP(肺毛細血管楔入圧)の低下は最も良い予後予測血行動態因子だが,9mmHg以上低下した例での生存率は対照群より不良であり,血行動態の改善は薬剤の有効性を予測する因子とはいえない:Am Heart J. 2001; 141: 908-14. PubMed

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EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
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収載年月2001.09