循環器トライアルデータベース

4S
Scandinavian Simvastatin Survival Study

目的 冠動脈心疾患(CHD)において,HMG-CoA reductase阻害薬simvastatinを投与して,コレステロールを低下させることにより総死亡率が低下するかを検討。
一次エンドポイント:総死亡率。
二次エンドポイント:主要な冠動脈イベント[非致死性急性心筋梗塞(MI),心停止後蘇生,心電図で確認される無症候性MI]。三次エンドポイント:全冠動脈イベント,あらゆる原因による死亡とアテローム硬化による血管(脳,心,末梢)イベント,CABGまたはPTCA施行率,MI以外の急性心血管イベントによる入院率,simvastatinの長期安全性,費用効率。
コメント コレステロールの低下による冠動脈イベントの抑制効果は判明していたが,総死亡に対する影響は必ずしも明確ではなかった。心血管イベントによる死亡が最も多い地方で,コレステロールを25%低下させるという強力な治療により,はじめて総死亡の抑制を証明したランドマーク的な試験である。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(スカンジナビア94施設)。
期間 追跡期間は5.4年(中央値)。
対象患者 4444例。狭心症およびMIの既往歴のある35~70歳。
治療法 simvastatin(S)群(2221例),プラセボ(P)群(2223例)にランダム化。S群には20mg/日の投与。期間中に37%の患者が40mgに移行。
結果 一次エンドポイント:S群182例(8%),P群256例(12%)で,S群の相対リスクは0.70であった。二次エンドポイント:S群431例(19%),P群622例(28%)で,S群の相対リスクは0.66。三次エンドポイント:S群の冠動脈イベントの相対リスクは0.73であった。S群では総コレステロール -25%,LDL-C -35%,HDL-C +8%の効果が得られた。脱落例はP群で288例(13%),S群で231例(10%)。副作用のため中止した例はP群で129例,S群で126例。
文献
  • [main]
  • Scandinavian simvastatin survival study group: Randomised trial of cholesterol lowering in 4444 patients with coronary heart disease; the Scandinavian simvastatin survival study (4S). Lancet. 1994; 344: 1383-9. PubMed
  • [substudy]
  • 追跡期間中に心不全を発症したものはsimvastatin群184例(8.3%),プラセボ群228例(10.3%)(p<0.015)で,その死亡率はそれぞれ25.5%(vs 心不全非発症例6.6%), 31.9%(vs 9.2%)。急性心不全による入院はそれぞれ23例,45例で両群間差はみられなかった。発症例と非発症例における脂質低下は同様であった。
    心不全発症例は非発症例に比べ心筋梗塞の再発率が高く,糖尿病・間欠性跛行・高血圧・心筋梗塞の既往が多かった:J Card Fail. 1997; 3: 249-54. PubMed
  • メタボリックシンドローム(NCEP IIIの定義に拠る)におけるプラセボ群と比較したsmivastatin群の相対リスクは,死亡率0.54,冠動脈死0.39,主要なCHDイベント0.59,全アテローム性イベント0.69。非メタボリックシンドローム群はそれぞれ0.72, 0.62, 0.71, 0.76:Diabetes Care. 2004; 27: 1735-40. PubMed
  • 10.4年の追跡結果(試験終了後,オープンラベルで5年間追跡):死亡例はsmivastatin群414例,プラセボ群468例(相対リスク0.85, p=0.02)。これはsmivastatin群で冠動脈疾患死が少ないことによるものであった(238例 vs 300例;0.76, p=0.0018)。癌による死亡は85例 vs 100例(0.81, p=0.14):Lancet. 2004; 364: 771-7. PubMed
  • 高LDL-C+低HDL-C+高トリグリセリド例は,高LDL-Cのみの症例よりも,metabolic syndrome(高BMI,高血圧,糖尿病)をより有しているようで,CHD発症リスクが上昇しsimvastatinの効果が大きい:Circulation. 2001; 104: 3046-51. PubMed
  • MI既往例(3525例)での冠動脈イベントの独立した予測因子は高血圧,糖尿病の既往,MI後の喫煙,総コレステロール,HDL-C。simvastatin治療の相対ベネフィットは予測因子とは独立しているが,絶対ベネフィットは高リスク例ほど上昇した:Eur Heart J. 2001; 22: 1119-27. PubMed
  • 糖尿病患者における脂質低下の経済効果:Diabetologia. 1999; 42: 1293-1301. PubMed
  • リポ蛋白の変化と主要CHDイベントの低下。本試験で示された有効性に大きく寄与したのはLDL-Cの低下である:Circulation. 1998: 1453-60. PubMed
  • CHDを併発した糖尿病患者における効果:Diabetes Care. 1997; 20: 614-20. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2007.09