循環器トライアルデータベース

VA-HIT
Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Cholesterol Intervention Trial

目的 低HDL-C血症患者における高脂血症用薬gemfibrozilによる冠動脈心疾患(CHD)の二次予防効果を検討。一次エンドポイントは非致死性心筋梗塞,または冠動脈起因の死亡。
コメント HDL-Cの上昇がCHDの発症に予防的に作用するか十分な調査がなかった。本研究は低HDL-C血症患者を対象として,その上昇がCHD発症予防に寄与していることを示した最初の調査である。治療によりトリグリセリド(TG)の低下もみており,その点の評価が今後の課題となる。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は5.1年(中央値)。
対象患者 2531例。平均年齢64歳。HDL-C≦40mg/dL,LDL-C≦140mg/dL,TG≦300mg/dLの男性。
治療法 gemfibrozil群(1264例):1200mg/日とプラセボ群(1267例)にランダム化。徐放性(slow-release)gemfibrozil 1200mg/日で投薬を開始したが,1995年6月1日薬剤の製造中止を受け,以後通常のgemfibrozil 600mg×2回/日投与とした。この2剤の脂質効果は同等であることが報告されており,変更後脂質値に変化はみられなかった。
結果 gemfibrozil群ではプラセボ群に比べて1年目の時点で,平均HDL-Cは6%高く(p<0.001),平均TGは31%低く(p<0.001),平均総コレステロールは4%低かった(p<0.001)。LDL-Cは両群間で有意差はなかった。一次エンドポイントの発生数は,gemfibrozil群で219例(17.3%),プラセボ群で275例(21.7%)。一次エンドポイント発生リスク低下は4.4%,相対リスクの低下は22%(95%信頼区間7-35%, p=0.006)。一次エンドポイントと脳卒中を合併した転帰は24%低下(p<0.001)。血行再建術率,不安定狭心症による入院率,全死亡率,および癌の発生率に有意差はなかった。
文献
  • [main]
  • Rubins HB et al for the veterans affairs high-density lipoprotein cholesterol intervention trial study group: Gemfibrozil for the secondary prevention of coronary heart disease in men with low levels of high-density lipoprotein cholesterol. N Engl J Med. 1999; 341: 410-8. PubMed
  • 心血管イベントの新規発症およびgemfibrozilの有効性は,インスリン抵抗性(homeostasis model assessement of insulin resistance: HOMA-IRによる)との相関度が高く,それに比べるとHDL-Cあるいはトリグリセリドへの依存度は低い:Diabetes Care. 2003; 26: 1513-7. PubMed
  • gemfibrozilは脳卒中の発生を低下したが,ベースライン時のHDL-Cが中央値以下の例でより有効であった:Circulation. 2001; 103: 2828-33. PubMed
  • HDL-C値とCHDイベントの発生は逆相関:JAMA. 2001; 285: 1585-91. PubMed
  • 喫煙に関わらず糖尿病(DM,206例)群で末梢血管疾患(PVD)が2倍,うっ血性心不全(CHF)が1.5倍発症し,高血圧(HTN,1021例)群で脳血管疾患(CVD),脳卒中,CHFが有意に上昇。DM+HTN群で全合併症の発生率が有意に上昇。喫煙者ではPVD,CVDが増加,DM+HTN+喫煙者群ではPVDの発症率が3倍,CVDが3.5倍有意に高かった:Am Heart J. 1998; 136: 734-40. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2006.06