循環器トライアルデータベース

RALES
Randomized Aldactone Evaluation Study

目的 左室不全による重症心不全患者で標準治療をうけている患者に,アルドステロン拮抗薬spironolactoneを追加することにより死亡リスクが低下するかを検討。一次エンドポイントは全死亡。
コメント 年齢,心不全の原因(虚血,非虚血),左室駆出率,NYHA分類,ACE阻害薬やβ遮断薬併用の有無によらず,spironolactoneは心不全予後改善に有効であることが示された。(
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は平均24か月。
対象患者 1663例。EF<35%,ACE阻害薬,ループ利尿薬,digoxinによる治療を受けている患者。
治療法 spironolactone群(25mg/日,822例),あるいはプラセボ群841例に割付け。
結果 平均24か月追跡後,中間解析の結果spironolactoneの有用性が明らかになったため試験は中止された。
死亡数はプラセボ群で386例(46%),spironolactone群で284例(35%)でspironolactone群の死亡に対する相対リスクは0.70(95%信頼区間 0.60-0.82,p<0.001)。同群における死亡リスクの30%低下は,心不全の進行による死亡および心臓突然死の低下によるものである。心不全の悪化による入院の頻度はspironolactone群がプラセボ群より35%低かった(相対リスク0.65,95%信頼区間,0.54-0.77,p<0.001)。さらにspironolactone群ではNYHA分類による心不全の重症度に有意な改善を認めた(p<0.001)。spironolactone群で女性化乳房あるいは乳房痛が10%の男性に,プラセボ群の男性1%に発現した(p<0.001)。重篤な高カリウム血症の発症は両群とも低かった。
文献
  • [main]
  • Pitt B et al for the randomized aldactone evaluation study investigators: The effect of spironolactone on morbidity and mortality in patients with severe heart failure. N Engl J Med. 1999; 341: 709-17. PubMed
  • [substudy]
  • spironolactoneを新規投与した840例中,91%がベースライン時の検査値によるもので,34%がspironolactone投与後3か月以内のカリウムあるいはクレアチニン値を測定していなかった。測定していた例の83例(15%)が高カリウム血症,うち31例(6%)が重症高カリウム血症,51例(9%)が腎不全,うち25例(49%)がspironolactone投与開始から3か月以内に高カリウム血症を発症。ベースライン時のクレアチニンが≧1.5mg/dL例の48例(35%)が,≧2.5mg/dL例の12例(63%)が高カリウム血症を発症した:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 845-9. PubMed
  • spironolactoneとACE阻害薬を併用すると生命にかかわる高カリウム血症を発症するが,本RALES試験の結果発表後のspironolactone使用率と高カリウム血症による入院率を,カナダ・オンタリオの1994~2001年・66歳以上の130万人の記録からpopulation-based time-series解析した:発表後,spironolactoneの処方率は急激に増加し,高カリウム血症による合併症および死亡も増加した:N Engl J Med. 2004; 351: 543-51. PubMed
  • 神経ホルモン因子への影響:J Am Coll Cardiol. 2002; 40: 1596-601. PubMed
  • 心不全では細胞外マトリックスの代謝が亢進し,心筋繊維化の指標である血清PIIINP(プロコラーゲン type III N末ペプチド)値が高い。PIIINP高値群では予後不良であるが,spironolactoneによりPIIINPは低下し,死亡,死亡+入院ともに改善する:Circulation. 2000; 102: 2700-6. PubMed

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収載年月2000.09
更新年月2005.11