循環器トライアルデータベース

AFFIRM
Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management

目的 心房細動(AF)患者において,rhythm control(調律コントロール:除細動+抗不整脈薬)と,rate control(心拍数コントロール)の有効性を比較。

一次エンドポイントは全死亡。二次エンドポイントは死亡+障害の残る脳卒中+障害の残る無酸素性脳症+重大な出血+心停止。
コメント rate control(+抗凝固療法)は心房細動の一次的治療と考えることができる。費用対効果やQOLに関する成績の発表が待たれる。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(アメリカの213施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は3.5年(最長6年)。
対象患者 4,060例。65歳以上,あるいは脳卒中または死亡のリスク因子を有しているもの。再発する可能性のあるAF,疾患あるいは死亡原因となると思われるAF,長期治療が予想されるAF,抗凝固薬の禁忌のないもの,rhythm,rateいずれの治療も適応となるもの。
■患者背景:平均年齢69.7歳,女性39.3%,高血圧70.8%(これが心疾患の主たる疾患であるもの50.8%),冠動脈疾患38.2%(同じく26.1%),左房拡大64.7%,左室機能低下26.0%,AF初発例が1/3以上,6週間以内にエピソード発症90%以上,症状が2日以上持続2/3以上。
治療法 rhythm control群(2033例):使用する抗不整脈薬は主治医が選択。洞調律維持のため必要に応じ除細動。使用する抗不整脈薬は,amiodarone, disopyramide, flecainide, moricizine, procainamide, propafenone, quinidine, sotalol, dofetilide。
rate control群(2027例):β遮断薬,Ca拮抗薬(verapamil, diltiazem),digoxinを投与。AF中の心拍数は安静時および活動中(6分間歩行)に評価。目標心拍数は安静時<80拍/分,6分間歩行時<110拍/分。
rhythm control薬あるいはrate control薬で治療がうまくいかない場合は,アブレーション,Maze手術などの非薬物療法を考慮。
warfarinによる抗凝固療法の目標INRは2.0~3.0。rhythm control群では抗凝固療法の継続を奨励したが,抗不整脈薬で洞調律を4週間以上(好ましいのは12週間)維持した場合,医師の判断で中止した。rate control群では抗凝固療法の継続を必要とした。
結果 rate control群ではβ遮断薬で治療を開始した例が半数近く,ついでCa拮抗薬(diltiazem>verapamil)。5年後の洞調律維持は34.6%, 80%以上の例で心拍数が適切となった。アブレーションは105例(5.2%),rhythm control群へのクロスオーバーは248例(クロスオーバー率:1年後7.8%,3年後11.6%,5年後14.9%)で,うち86例がrate control群に戻った。
rhythm control群での使用薬剤はamiodarone, sotalolが2/3以上。試験終了時にはほぼ2/3がamiodaroneを1回は投与されていた。除細動は368例,2回以上は214例,3回以上が187例。アブレーション14例。洞調律は1年後82.4%,3年後73.3%,5年後62.6%。rate control群へのクロスオーバーは594例(16.7%, 27.3%, 37.5%,rate control群と比べp<0.001),うち61例がrhythm control群に戻った。
warfarin投与例はrate control群で85%,rhythm control群で70%。INRが2.0~3.0は62.3%であった。
一次エンドポイントはrhythm control群356例,rate control群310例,5年後の死亡率はそれぞれ23.8%, 21.3%でrhythm control群で高い傾向を示したが,有意差は認められなかった(ハザード比1.15:95%信頼区間0.99-1.34, p=0.08)。
二次エンドポイントは両群で同様であった(rhythm control群 32% vs rate control群32.7%, p=0.33)。
入院,薬剤による有害事象例はrhythm control群の方がrate control群より多かった。脳卒中の大半は両群ともwarfarin投与中止後あるいはINRが治療域以下の場合に発生した。
★結論★rhythm controlによる心房細動の管理はrate controlを凌ぐ生存効果はなく,rate controlには薬剤による有害事象のリスクが低いといった有効性の可能性がある。本試験におけるような高リスク例においては,rhythm control,rate controlにかかわらず抗凝固療法は継続すべきである。
文献
  • [main]
  • The atrial fibrillation follow-up investigation of rhythm management (AFFIRM) investigators: A comparison of rate control and rhythm control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2002; 347: 1825-33. PubMed
  • [substudy]
  • digoxinにより死亡リスクが有意に上昇。
    ランダム化から6か月以内,試験期間中にdigoxinを投与されたものは2,816例(69.4%),うちβ遮断薬との併用が1,647例(58.5%[digoxin非投与例は718/1,244例;57.7%]),ACE阻害薬との併用が1,898例(67.4%[734例;59.0%]。
    digoxin投与例の全死亡の推定ハザード比:1.41;95%信頼区間1.19~1.67(p<0.001),心血管(CVD)死:1.35;1.06~1.71(p=0.016),不整脈死:1.61;1.12~2.30(p=0.009)。digoxin投与例における死亡リスク増大は,心不全合併の有無を問わず(合併例:1.41;1.09~1.84, p=0.010,非合併例:1.37;1.05~1.79, p=0.019),性別との有意な交互作用も認められなかった(全死亡:p=0.70,CVD死:p=0.95):Eur Heart J. 2013; 34: 1481-8. PubMed
  • 抗不整脈薬別に死亡率,入院をrate controlと比較。
    amiodarone群(721例),sotalol群(606例),Class 1C薬群(268例)とpropensity scoreをマッチさせたrate control群の症例と比較:死亡+心血管疾患による入院の複合はrate controlのほうが抑制(amiodarone群のハザード比1.18;95%信頼区間1.03~1.36[p=0.02],sotalol群1.32;1.13~1.54[p<0.001],Class 1C薬群1.22;0.97~1.56[p=0.10])。
    amiodarone群ではrate controlに比べた死亡率は非有意(1.20;0.94~1.53[p=0.15]),非心血管死リスクは有意に増大した(1.11;1.01~1.24[p=0.04])。
    3年間の心血管疾患入院初発のrate controlに比べたハザード比はamiodarone群1.20(p=0.02),sotalol群1.364(p<0.001),Class 1C薬群1.24(p=0.09)。amiodarone群ではICU入院期間が短かった(1.22, p=0.03):J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 1975-85. PubMed
  • functional status substudy: rhythm control群の方が6分間歩行距離が94フィート延長。AF例はNYHA心機能分類が悪化した。認知機能に差はみられなかった:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 1891-9. PubMed
  • 心エコーでの左房径増加は心室細動の再発と関連するが,脳卒中と相関する心エコーパラメータはない:J Am Coll Cardiol. 2005; 45: 2026-33. PubMed
  • 一過性脳虚血発作あるいは脳卒中の既往は13%,うっ血性心不全は23.1%。warfarin投与例はrate control群84%,rhythm control群52%。脳卒中の発症は211例,うち脳梗塞は157例(心塞栓が35例)で両群間に有意差はなかった。しかし,AF例では脳梗塞の発症率が60%高く,warfarin投与例はそのリスクが69%低下した:Arch Intern Med. 2005; 165: 1185-91. PubMed
  • rhythm control群における6年間の不整脈イベントは96例。EF<40%例ではイベント発症が多かった:J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 1276-82. PubMed
  • rhythm control群は心臓死あるいは血管死抑制においてrate control群を凌げなかった。これは同群の非心血管死率の増加と関連している可能性がある:Circulation. 2004; 109: 1973-80. PubMed
  • rate control群の試験開始薬:β遮断薬24%,Ca拮抗薬17%,digoxin 16%,β遮断薬+digoxin 14%,Ca拮抗薬+digoxin 14%。全体の70%(digoxin併用の有無を問わず)がβ遮断薬で,54%(digoxin併用の有無を問わず)がCa拮抗薬で,58%がdigoxinで,全体では試験開始薬あるいは併用投与で54%が心拍数のコントロールができた。薬剤の変更あるいは併用投与が必要になったのは37%で,β遮断薬への変更が有意に多かった:J Am Coll Cardiol. 2004; 43: 1201-8. PubMed
  • warfarinの使用が生存率を改善。洞調律は生存の重要な決定因子で,生存に関連する因子のマーカーである:Circulation. 2004; 109: 1509-13. PubMed
  • rhythm control(抗不整脈薬)群:1年後の生存+試験薬継続服用+電気的除細動なし+洞調律維持は,amiodarone群(62%) vs I群不整脈薬群(23%)(p<0.001),amiodarone群(60%) vs sotalol群(38%)(p=0.002),sotalol群(38%) vs I群薬群(23%)(p=0.488)。amiodarone群は洞調律維持で最も有効であった。2剤以上の抗不整脈薬±除細動治療により洞調律維持率は約80%。有害事象による治療中止率はamiodarone群12.3%,sotalol群11.1%,I群28.1%:J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 20-9. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2012.12