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FIELD
Fenofibrate Intervention and Event Lowering in Diabetes Study

目的 2型糖尿病患者において,高脂血症用薬fenofibrateの長期治療が心血管イベントに与える影響を検討。
一次エンドポイントは冠動脈(CHD)イベント(CHD死+非致死的心筋梗塞[MI])。
コメント フィブラート系薬剤を用いて2型糖尿病患者を対象としたもっとも大規模な予防試験であり,きわめて期待されていた試験である。一次エンドポイントの有効性が示されなかったため若干物足りなさを感ずるが,実際には各種イベントは有意に抑制されており,フィブラートの有効性を示した試験と評価される。一次エンドポイントに有意差が出なかった理由として,プラセボ群にスタチンが多用されていたことや一次エンドポイントに冠動脈死を加えていたことなどがあげられる。むしろ,懸念されていた副作用においてプラセボ群と有意差がなかったことは注目すべき点と思われる。また,対象とした患者背景を見ると必ずしも顕著な脂質異常が多いわけではなく,2型糖尿病であればこの種の治療が有効であることを証明したことになる。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(オーストラリア,ニュージーランド,フィンランドの63施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は5年(中央値)。ランダム化期間は1998年2月~2000年11月。2005年1~5月終了。
対象患者 9795例。50~75歳;WHO基準により2型糖尿病と診断されたもの;総コレステロール(TC)116.0~251.4mg/dLおよびTC/HDL-C比4.0以上あるいはトリグリセリド88.6~443mg/dL;脂質改善治療の適応あるいは受けていないもの。
除外基準:腎機能障害(血中クレアチニン>130μmol/L[1.47mg/dL]);慢性肝疾患あるいは症候性胆嚢疾患;3か月以内の心血管イベント。
■患者背景:平均年齢62.2歳,男性63%,白人93%,心血管疾患(CVD)既往22%,脂質代謝異常(HDL-C;男性<39.8mg/dL,女性<49.9mg/dL,およびトリグリセリド>150.6mg/dL)38%。
治療法 16週のrun-in期間(食事改善4週,単盲検プラセボ6週,単盲検fenofibrate 6週)終了後,fenofibrate群(4895例):200mgカプセルを1日1回(朝食時),またはプラセボ群(4900例)にランダム化。
年齢,性別,MIの既往,脂質,尿中アルブミンなどの重要な予後因子により層別化。サブ解析はCVD既往の有無,性別,65歳未満/以上,メタボリックシンドロームの有無,総コレステロール(<174.0mg/dL, 174.0~212.7mg/dL, >212.7mg/dL), LDL-C(<116.0mg/dL, 116.0~135.3mg/dL, >135.3mg/dL)。
結果 試験薬投与の中止はfenofibrate群954例(20%)vs プラセボ群950例(19%)で5年間の平均脱落率は11% vs 10%。試験薬以外の脂質低下薬の投与はfenofibrate群に比べプラセボ群で有意に多く(8% vs 17%, 95%信頼区間[CI ]0.44~0.51, p<0.0001),このうちスタチンの使用は各94%, 93%であった。
一次エンドポイントはfenofibrate群256例(5.2%)vs プラセボ群288例(5.9%)で(ハザード比[HR]0.89, 95%CI 0.75~1.05, p=0.16),このうちCHD死は110例(2%)vs 93例(2%)と両群間に有意差がなく(HR 1.19, 95%CI 0.90~1.57, p=0.22),非致死的MIは158例(3%)vs 207例(4%)とfenofibrate群で有意に低下した(HR 0.76, 95%CI 0.62~0.94, p=0.010)。
二次エンドポイントである全CVDイベントは612例(13%)vs 683例(14%)とfenofibrate群で有意に低く(HR 0.89, 95%CI 0.80~0.99, p=0.035),血行再建術は290例(6%)vs 364例(7%):HR 0.79, 95%CI 0.68~0.93(p=0.003),全死亡は356例(7.3%)vs 323例(6.6%):HR 1.11, 95%CI 0.95~1.29(p=0.18)であった。
fenofibrate群ではアルブミン尿の進展(p=0.002),レーザー療法を要する網膜症(3.6% vs 5.2%, p=0.0003)が有意に少なかった。fenofibrate群では膵炎0.8%vs 0.5%(p=0.031),肺塞栓1.1% vs 0.7%(p=0.022)がわずかに多かったが,その他の重要な有害事象はなかった。
★考察★fenofibrateは一次エンドポイントである冠動脈イベントのリスクを有意に低下しなかったが,主に非致死的MIおよび血行再建術の抑制により全心血管イベントが減少した。プラセボ群において試験薬以外の脂質低下薬の投与率が高かったことから,fenofibrate治療の有効性がmaskされた可能性がある。
文献
  • [main]
  • Keech A et al for the FIELD study investiogators: Effects of long-term fenofibrate therapy on cardiovascular events in 9795 people with type 2 diabetes mellitus (the FIELD study): randomised controlled trial. Lancet. 2005; 366: 1849-61. PubMed
  • [substudy]
  • fenofibrateにより下肢切断リスクが抑制される(三次エンドポイント)。
    1回以上の非外傷性の糖尿病性下肢切断の初発は115患者で,プラセボ群に比べfenofibrate群で有意に低下した:fenofibrate群45例 vs プラセボ群70例:ハザード比0.64;95%信頼区間0.44~0.94(p=0.02)。大切断(足首関節から上)は両群間差はなかった:24例 vs 26例:0.93;0.53~1.62(p=0.79)が,大血管疾患を合併していない小切断(足首関節から下)はfenofibrate群の方が少なかった:18例 vs 34例:0.53;0.30~0.94(p=0.027)。
    切断例は,その他の心血管イベント発症例,非発症例に比べ,男性が多く,微量アルブミン尿および顕性アルブミン尿が多く,血糖値が高かった。平均脂質値の差は7.7mg/dLと小さかった。また心血管疾患・細小血管疾患・非外傷性切断あるいは皮膚潰瘍既往,喫煙例が多く,糖尿病罹病期間が有意に長かった:Lancet. 2009; 373: 1780-8. PubMed
  • fenofibrateによる抗動脈硬化は認められず。
    Helsinkiコホート(170例)の結果
    頸動脈内膜-中膜肥厚,augmentation index(AI)は試験期間中両群同様に増加し,CRP,インターロイキン-6,分泌型フォスフォリパーゼA2(Phospholipase A2;PLA2),E-selectin,血清アミロイドA蛋白 (SAA),細胞間接着分子VCAM-1およびICAM-1は両群とも変化はみられなかった:J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 2190-7. PubMed
  • 糖尿病性網膜症サブ解析(1012例:fenofibrate群512例,プラセボ群500例):一次エンドポイントであるETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study)病期分類による網膜症の2段階進展においては両群間差なし(9.6% vs 12.3%, p=0.19)。ただし,網膜症既往例ではfenofibrate群で有意に抑制(3.1% vs 14.6%, p=0.004)。
    fenofibrate群で初回レーザー治療(網膜光凝固)の必要な全網膜症が有意に低下(3.4% vs 4.9%,ハザード比0.69;95%信頼区間0.56~0.84, p=0.0002)。網膜症の2段階進展,黄斑浮腫,レーザー治療も同群で有意に低下:Lancet. 2007; 370: 1687-97. PubMed

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EBM 提供:大日本住友製薬 「循環器トライアルデータベース
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収載年月1999.09
更新年月2009.06