循環器トライアルデータベース

LIPID
Long-Term Intervention with Pravastatin in Ischaemic Disease

目的 冠動脈心疾患(CHD)患者において,コレステロール低下がCHD死を予防するかを検討。一次エンドポイント:CHD死[致死性心筋梗塞(MI),突然死,MIと推定される入院中の死亡,心不全や他の冠動脈疾患死]。二次エンドポイント:総死亡率,冠動脈疾患死または非致死性MI,MI,脳卒中,非出血性脳卒中,PTCAまたはCABG,入院期間,血清脂質,心血管エンドポイントと血清脂質の変動との比較。
コメント 平均的コレステロール値のMI,不安定狭心症患者に対する二次予防試験において,CHD死,総死亡率の抑制を示した試験はなかった。本試験は,これらの評価項目を9000例以上という大規模なレベルで,すべて有意に示した点で高く評価されるが,加えて,脳卒中の抑制効果を示した点でも評価できる。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(87施設:オーストラリア67施設,ニュージーランド20施設),intentino-to-treat解析。
期間 追跡期間は平均6.1年。登録期間は1990年6月から'92年12月まで。'97年9月フォローアップ終了。
対象患者 9014例。31~75歳で平均的コレステロール値(42%がコレステロール値213mg/dL未満)のMIもしくは不安定狭心症既往者(3~36か月前に発症)。
治療法 HMG-CoA reductase阻害薬 pravastatin群(4512例):40mg/日投与,プラセボ群(4502例)にランダム化。
結果 男女比は両群とも83:17,65歳以上の高齢者は両群とも39%。
一次エンドポイント,二次エンドポイントともに,pravastatin投与により有意に抑制された。pravastatin群ではプラセボ群に比較して総コレステロール-18%,LDL-C -25%,HDL-C +5%,トリグリセリド-11%の効果が得られた。CARE trialで問題となった乳癌についてpravastatin投与で増加するということはなかった。自殺,事故,暴力行為などについても有意差は認められなかった。
文献
  • [main]
  • The long-term intervention with pravastatin in ischaemic disease (LIPID) study group: Prevention of cardiovascular events and death with pravastatin in patients with coronary heart disease and a broad range of initial cholesterol levels. N Engl J Med. 1998; 339: 1349-57. PubMed
  • [substudy]
  • プラセボ群での主要なCHDイベント率は,正常空腹時血糖値例に比べ糖尿病例で61%高く,空腹時血糖値異常(IFG)で23%高く,心血管イベントリスクはそれぞれ37%,19%高かった。主要なCHDイベントは全体でpravastatin群12.3%,プラセボ群15.9%(相対リスク低下24%, p<0.001)。糖尿病例では19.6% vs 23.4%で有意差はなかった(p=0.11)。心血管イベントは糖尿病例で45.2% vs 52.7%(p<0.008),IFGで37.1%vs 45.7% (p=0.003)。脳卒中は糖尿病例で6.3% vs 9.9%(p=0.02), IFG例で3.4% vs 5.4%(p=0.09)。pravastatinは糖尿病を低下しなかった。pravastatinの6年間投与による主要なCHDイベント1件予防のNNTはIFG 23例,糖尿病18例:Diabetes Care. 2003; 26: 2713-21. PubMed
  • ベースライン時に白血球数(WBC)が多かった例において,プラセボ群では冠動脈疾患死が増加したが,pravastatin群では関連しなかった。pravastatinにより1000例当たりで予防できる冠動脈疾患死は,WBC<5.9×109/Lは0, 6.0~6.9×109/Lは9例,7.0~8.19×109/Lは30例,>8.29×109/Lは38例。WBCはpravastatin治療の有効性の強い予測因子である:Circulation. 2005; 111: 1756-62. PubMed
  • 低LDL-C(≦140mg/dL),低HDL-C(≦40mg/dL),トリグリセリド≦300mg/dL例:pravastatinは主要冠イベント(相対リスク27%低下),脳卒中(51%低下),全死亡(21%)を有意に低下。6年間で主要な冠イベントを抑制するためのNNTは22:Eur Heart J. 2004; 25: 771-7. PubMed
  • 試験開始時の脂質値はCHDイベント発生の有意な予測因子であり,もっともイベント抑制に重要なのは,アポリポ蛋白B,LDL-C,総コレステロール+HDL-Cである:Circulation. 2002; 105: 1162-9. PubMed
  • 8年後もpravastatinは全死亡および心血管死(p<0.0001),脳卒中(p=0.015)を抑制した。この有効性は女性,70歳以上,総コレステロール<212.3mg/dLの例で強くみられた:Lancet. 2002; 359: 1379-87. PubMed
  • 急性冠症候群(ACS)生存例のCHD長期リスク層別化により,スタチン治療にもかかわらず高リスク例の同定が可能である:J Am Coll Cardiol. 2001; 38: 56-63. PubMed
  • 入院を要する骨折はpravastatin群で107例,プラセボ群で101例であったが,入院を要さない者も加えると175例 vs 183例であった(オッズ比0.94)。無作為試験で骨折予防効果のエビデンスが得られるまで骨粗鬆症予防の目的でスタチンを使用すべきではない:Lancet. 2001; 357: 509-12. PubMed
  • 不安定狭心症既往群3260例,MI既往群5754例でpravastatinの効果を比較;死亡相対リスクの低下,予後,不安定狭心症の発生,有効性は両群で同様であった:Lancet. 2000; 355: 1871-5. PubMed
  • 追跡期間6年で脳卒中は373例・419件発症。虚血309件,出血性31件,型不明79例。pravastatinはいかなる原因の脳卒中および非出血性脳卒中のリスクを低下:N Engl J Med. 2000; 343: 317-26. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2006.06