循環器トライアルデータベース

CARDIA
Coronary Artery Disease Risk Development in Young Adult

目的 生活習慣ほかの因子の冠動脈疾患進展への寄与に関する長期研究。
デザイン 疫学。
期間 1984年に登録開始。
参加者 1年後の時点では18歳以上30歳以下の青年男女5116名。黒人・白人,男性・女性,25歳以上・25歳未満がほぼ同数となるよう登録。
調査方法 登録時に血圧測定,肺機能や身体測定,運動機能や病歴,現在受けている医療などの医学的側面ほか,居住環境,学歴,家庭的背景や,喫煙習慣の有無,生活満足度,食習慣などを調査。
結果 下記参照
CARDIAホームページ
http://www.cardia.dopm.uab.edu

[主な結果]
  1. 米国の中年コホートにおいて,公共施設での完全禁煙施策の実施はCVD発症リスク低下と関連。
    1995~2015年の参加者3,783人のデータを,バー,レストラン,非サービス産業の職場における米国国勢統計区(Census tract)単位の禁煙施策実施状況と連動させ,禁煙施策の実施と心血管疾患(CVD)*発症との長期的な関連を検証。先行研究で欠落していた個人の社会人口学的特性や心血管危険因子,州別たばこ税などの交絡因子で調整し,検討を行った。参加者の居住地確認は6か月ごとに行い,居住地や法令により変わる禁煙施策への曝露(smoke-free policy exposure)を時間依存性変数として扱った。完全禁煙実施率は経時的に増加し,最終的に対象者の62%が完全禁煙実施地域への居住経験をもった。
    追跡期間中央値20年間(68,332人・年)で,CVDの発生率は2.52/1,000人・年であり,禁煙施策の非実施地域にくらべ実施地域で低かった(レストラン:2.08 vs. 4.79,バー:1.85 vs. 4.09,職場:1.80 vs. 4.04)。
    完全禁煙の実施はCVD発症リスクの低下と有意に関連したが[レストラン:ハザード比(HR)0.60; 95%信頼区間0.42~0.85,バー:0.55; 0.39~0.78,職場:0.45; 0.31~0.64],すべての交絡因子を調整すると,職場における禁煙施策実施地域の居住者はCVDリスクが低かった(職場:0.54; 0.34~0.86)一方,レストランおよびバーでは有意な関連は消失した。ベースラインの喫煙状況は結果に影響を及ぼさなかった。
    *致死的/非致死的冠動脈疾患(心筋梗塞,心筋梗塞を除いた急性冠症候群),うっ血性心不全,脳卒中
    Mayne SL, et al: Longitudinal Associations of Smoke-Free Policies and Incident Cardiovascular Disease. Circulation. 2018; 138: 557-66. PubMed
  2. 若年成人期のApoBとLDL-Cの不一致と中年期の冠動脈石灰化-25歳時のApoBは50歳時の石灰化と用量依存性に関連。ApoB高値・LDL-C低値の不一致例もリスクが高かった。
    若年成人期のアポリポ蛋白B(ApoB),ApoBとLDL-C(またはnon-HDL-C)の一致・不一致と中年期の冠動脈石灰化(カルシウムスコア>0)との関係を定量的に評価(2,794人;追跡期間は25年)。若年成人期のApoBレベルを三分位で層別。また,ApoB/LDL-C(またはnon-HDL-C)レベル別に下記4群に層別:Low/ Low群(1,153人・平均24.6歳・男性42.0%),Low/ High群(244人・25.5歳・41.0%),High/ Low群(241人・25.1歳・38.2%),High/ High群(1,156人・25.3歳・46.8%)。ApoBはそれぞれ70.5, 79.9, 99.3, 110.9mg/dL, LDL-Cは83.4, 119.0, 96.1, 137.2mg/dL,25年後の石灰化は25.7%, 44.0%, 51.6%, 61.6%。
    石灰化リスクは若年成人期のApoBレベルが高いほど高かった(第3,第2 vs 第1三分位群の調整オッズ比:2.28, 1.53,ともにp<0.001)。不一致解析ではLDL-C,non-HDL-CともにHigh/ Low群はLow/ Low群にくらべリスクが高く(オッズ比1.55, 1.45),High/ High群はもっともリスクが高かった(1.94, 1.91)。
    Wilkins JT, et al: Discordance between apolipoprotein B and LDL-cholesterol in young adults predicts coronary artery calcification: the CARDIA study. J Am Coll Cardiol. 2016; 67: 193-201. PubMed
  3. 若年成人期のアテローム性動脈硬化リスクと中年期の石灰化-リスクスコアとその変化は25年後の冠動脈・腹部大動脈石灰化を強く予測。
    画像診断上の潜在性アテローム動脈硬化症が判明する前の18~30歳時(1985~’86年)のPDAYリスクスコア*が,25年後の冠動脈(CAC)・腹部大動脈石灰化(AAC)を,25年後(43~55歳時)のスコアよりも強く予測するかを検証(3,008人;男性1,312人,女性1,696人)。5年ごとに測定した冠動脈PDAYリスクスコアは,男性:ベースライン時(25.0歳)2→25年後6,女性:(25.1歳)0→2,大動脈リスクスコアは1→3, 2→4(いずれも中央値)に変化。25年後のCAC有病率は28.1%(15年後の9.6%から増加),AACは52.8%。
    CACリスク予測能は,ベースライン時のPDAYスコアのほうが25年後のスコアより高く(1ポイント増加ごとのオッズ比1.29 vs 1.12),AACリスクもベースライン,5年,10年後のスコア(それぞれ1.29, 1.32, 1.33)が25年後(1.22)より高かった。CAC予測のc統計量はベースラインスコア(0.731)が25年後(0.705)より高かったが,AACは0.665, 0.670と差はなかった。ベースライン時のPDAYスコアに25年間のスコアの変化を加えると,CAC予測能は0.731→0.745に,AACは0.665→0.693に改善した。
    * Pathobiological Determinants of Atherosclerosis in Youth(PDAY)リスクスコア:若年者におけるアテローム性動脈硬化の病理生物学的決定因子。冠動脈,腹部大動脈を年齢,性, non-HDL-C,HDL-C,喫煙,血圧,BMI,高血糖でスコア化し,動脈硬化の発症を予測。
    Gidding SS, et al: Pathobiological determinants of atherosclerosis in youth (PDAY) risk score in young adults predicts coronary artery and abdominal aorta calcium in middle age: the CARDIA Study. Circulation. 2016 ; 133: 139-46. PubMed
  4. 若年成人期(25.3歳)の果物・野菜摂取と冠動脈疾患-高摂取量と20年後のCAC有病率に有意な逆相関がみられた:Circulation. 2015; 132: 1990-8 →詳しく
  5. 若年成人期からの高血圧と心機能-25年間の累積高血圧曝露は中年期の左室収縮・拡張機能障害と関連:J Am Coll Cardiol. 2015; 65: 2679-87. →詳しく
  6. 若年成人期からの血圧の軌跡(trajectory)と無症候性動脈硬化-血圧の高値推移は中年期のCACリスク上昇と関連:JAMA. 2014; 311: 490-7 →詳しく
  7. 左室重量と糖尿病リスク-25歳から25年間の糖尿病発症は9%。左室心筋重量係数が糖尿病リスク例同定の有用な非侵襲的マーカーである可能性が示される:Diabetes Care. 2013; 36 :645-7. →詳しく
  8. 若年成人でのFramingham Heart Study高血圧発症リスク予測モデル-前高血圧よりも発症予測能が高い:Hypertension. 2013; 62: 1015-20. →詳しく
  9. CVDと早期再分極(ER)-無症候の若年成人(25歳)でのERは約19%→20年後5%。黒人,低BMI,低TG,QRS時間の延長がER長期持続の関連因子:J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 863-9. →詳しく
  10. 糖尿病発症時に正常体重だった成人は,過体重/肥満だったものよりも死亡リスクが高い:JAMA. 2012; 308: 581-90 →詳しく
  11. 中年において,高めの血圧は糖尿病発症の危険因子か?(アフリカ系アメリカ人,白人)
    :Diabetes Care. 2011; 34: 873-9. →詳しく
  12. 50歳未満において,10年間の発症低リスク/生涯発症高リスク例は低リスク/低リスク例に比べ,無症候性アテローム性動脈硬化の程度も進展度も大きい:Circulation. 2009; 119: 382-9 →詳しく
  13. 睡眠時間が長いと冠動脈石灰化の発症頻度は少ない。これは寄与因子(mediators),交絡因子(confounders)とは独立している:JAMA. 2008; 300: 2859-66. →詳しく
  14. 酸化LDL高値は,メタボリックシンドローム(MetS)およびその構成因子である肥満,高血糖,高トリグリセライドの増加と関連:JAMA. 2008; 299: 2287-93. →詳しく
  15. 長期にわたりBMIが安定している若年成人は危険因子の進展が小さく,ベースライン時のBMIにかかわらずメタボリックシンドロームの発症率が低い:Circulation. 2007; 115: 1004-11. →詳しく
  16. 15年目の冠動脈石灰化(CAC):J Am Coll Cardiol. 2007; 49: 2013-20. →詳しく
  17. 運動後の心拍数回復とメタボリックシンドローム:Eur Heart J. 2006; 27: 1592-6. →詳しく
  18. 喫煙,間接喫煙と耐糖能異常:BMJ. 2006; 332: 1064-9. →詳しく
  19. マグネシウムの摂取量の多いものはメタボリックシンドロームに進展するリスクが低いことが示唆される:Circulation. 2006; 113: 1675-82. →詳しく
  20. 教育と冠動脈石灰化は逆相関。この相関はベースライン時に有していた危険因子とある程度関係するが,危険因子の15年間の変化との関連度は低い:JAMA. 2006; 295: 1793-800. →詳しく
  21. ファーストフードを利用する回数の多さは体重増加およびインスリン抵抗性と強い正の相関関係にある:Lancet. 2005; 365: 36-42. →詳しく
  22. 青年期の心理的ストレスに対する大きな血圧反応は中年期の高血圧リスクとなる可能性がある:Circulation. 2004; 110: 74-8 →詳しく
  23. アフリカ系アメリカ人において,epoxide hydrolase(sEH)遺伝子のArg287Gln多型は冠動脈石灰化の有意な予測因子:Circulation. 2004; 109: 335-9. →詳しく
  24. 若年の体力不良(トレッドミル負荷試験で評価)は心血管疾患の危険因子(糖尿病,高血圧,代謝不全)の進展と関連:JAMA. 2003; 290: 3092-100. →詳しく
  25. 心理社会的要因と高血圧リスク:JAMA. 2003; 290: 2138-48. →詳しく
  26. 健常青年において,10年間の収縮期血圧およびBMIの上昇は左室構造(左室筋重量および左室壁厚)と強く関連:J Am Coll Cardiol. 2003; 41: 955-60. →詳しく
  27. 体重過多例において,乳製品摂取量の増加はインスリン抵抗症候群と逆関係を示し,2型糖尿病および心血管疾患のリスクを低下する可能性がある:JAMA. 2002; 287: 2081-9. →詳しく
  28. 憎悪(hostility)のレベルが高いと 若年でも冠動脈石灰化になりやすい可能性がある:JAMA. 2000; 283: 2546-51. →詳しく
  29. 10年間の喫煙率の増減と人種,性別,学歴,出身地との関係:Ann Epidemiol. 1998; 8: 301-7. →詳しく
  30. 魚食,n-3脂肪酸と血液凝固因子:Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1998; 18: 1119-1123. →詳しく
  31. うつ症状,アルコール摂取と血圧:Alchohol Clin Exp Res. 1996; 20: 420-7. →詳しく
  32. 心機能と喫煙:J Am Coll Cardiol. 1995; 26: 211-6. →詳しく
  33. 肥満と妊娠に関する長期研究:JAMA. 1994; 271: 1747-51. →詳しく
  34. 僧帽弁逆流,大動脈弁逆流の健常青年層における比率:Circulation. 1994; 90: i282. →詳しく
  35. CARDIA; study design, recruitment, and some characteristics of the examined subjects:J Clin Epidemiol. 1988; 41: 1105-16. →詳しく

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収載年月1999.09
更新年月2018.10